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九話 助けるor見捨てる

○イベント判定(1d100)

結果【57】なし


※76以上


○??(1d100)

結果【45】

 11日目の朝。あなたはいつも通りの時刻に起床し、食事や身支度をする。


 本日のあなたの予定は、昨日見つけた少年を観察することだ。


 自分以外のプレイヤーの実力を測り、今後の情勢予測の材料にする。未だプレイヤーの実態を掴みかねているあなたにとって、プレイヤーの情報は非常に貴重なものだ。


 ストーカー染みた行為にはかなりの抵抗があるものの、背は腹に変えられない。


 情報を非常に重要なものと捉えていたあなたは、腹をくくることにした。


 あなたは魔法を使って姿を隠し、少年の気配を探って居場所を特定する。


 高速で空を飛翔し、あなたは少年の元へたどり着く。すると、そこでは激戦が繰り広げられていた。


 少年と、それに群がる鎧のようなものを着た白いマネキンのエネミー達。


 そのエネミーたちは10日目まで外をうろついてたエネミーより強そうだ。


 少年とエネミーとの戦いを観察していると、やはり先日までのエネミーよりステータスが全てにおいて上だと分かる。


 このエネミーはエネミー2と名付けるとして、エネミー2はエネミーと違って武器を持っている。


 さらに集団で遭遇しようと適当に襲いかかってきたエネミーたちと違って、エネミー2は連携や戦術の心得があるようだ。


 エネミー2は少年を囲うように動いたり、お互いの隙をカバーし合えるよう攻撃のタイミングを工夫している。


 エネミーの戦闘能力が精々喧嘩慣れしたチンピラ程度なら、エネミー2は特殊部隊の隊員程度の戦闘能力を持つ。


 それらが連携して襲いかかってくるのだ。いかにプレイヤーが卓越した戦闘能力を持つとはいえ、今はまだ発展途上。実力差が明確に現われていた。


 本来10日目のボスを倒し得る力を持つならこの程度の敵には苦戦しないのだが、あなたがボスを倒してしまったせいで、この少年は実力に見合わないステージに連れてこられてしまったのだ。


 気づいてしまえば、理解は早い。少年が今後ランキングにその名前が掲載され、実力に見合わない評価を受けたら。そこから派生するいくつもの可能性に気づき、あなたは自分の失態を理解した。


 少年が生存日数に見合わない記録を持っていた場合、それは不自然なので当然理由が追及される。そうなれば自ずと自身の存在が具体的な情報を持って露わになってしまうのだ。


 更にあなたはこの和国の地で、しかも自宅から比較的近い地域でプレイヤーを助けてしまった。


 これはつまり、そこらが所在地とは確定されることはないものの、あなたを探す際にはここの地域が重要な候補地になり得るのだ。


 この少年の気配は覚えているので、あなたは現実世界に戻ればおそらくこの少年を殺害することはできる。しかし、いくら自分の平穏のためとはいえ、あなたはそこまでするつもりはない。つまり、あなたは詰んでいるのだ。


 考えれば簡単に気づくが、裏を返せばどれだけ簡単なことでも考えなければ気づかない。あなたは知のステータスが万能ではないことを改めて悟った。


 そんなことを考えていると、少年は戦況の不利を悟ったのか逃走に入り始めた。


 あなたは援護することも考えたが、これ以上あなたが深入りすれば、いずれ自身の存在が露見したとき、この少年に対してあなたが助ける価値のある存在と見なされてしまうかもしれない。もしくは、自身が人の命をそこそこに大切にするという評価を受ける可能性も。


 それすなわち、あなたが一般的な感性を持つ存在であると思われれば、人質をとるなど、非人道的な手段で封殺される可能性があるということでもある。


 下手なことをすると、逆に様々な人物にいらぬ迷惑をかける可能性があるのだ。


 あなたがこの少年の面倒をずっと見続けるなら助けるのはありかもしれないが、あなたは誰かと関わることに忌避感を感じていた。


 故にあなたは何もせず、ただプレイヤーの情報収集に徹した。


 自身よりも年下の子どもを見捨てる罪悪感に苛まれながら。


 少年は逃走しようとしているが、既にエネミー2による包囲網が敷かれており、少年を狙う弓をもったエネミー2もいることから、その逃走は非常に困難な様子だった。


 端的に反省するなら、少年は退き際を間違えた。包囲が厚くなる前に、エネミー2が仲間を呼ぶ前になど、退くべきポイントを見逃していたのだ。


 だからこそ、その失敗の代価は少年が身も持って払うことになる。


 少年の右肩に矢が刺さり、右手が使えなくなる。これにより、少年が今まで剣を使って応戦していた中で見せていた技が急に鈍り出す。おそらく右手が利き腕だったのだろうか。


 右腕が使えなくなった途端、今までギリギリで保たれていた拮抗状態が崩れ、少年は一気に追い込まれる。今まで避けられた攻撃が避けられなくなり、通じたはずの攻撃が通じなくなる。足を切られ、更に動きが鈍り、放たれた攻撃を身を捩って躱した結果、左腕を深く抉られた。


 満身創痍で動けなくなった少年の頭部に、とどめの一撃が放たれる。


 あなたはそれを眉を顰めて、ただ見ていた。


 あなたの目には非常にゆっくりと見える速度でエネミーの剣が振下ろされ……そして、血が飛び散る。


 少年の体は粒子となり、消えていった。




――見捨てた。




 罪悪感があなたを突き刺す。


 しかしその罪悪感さえも、心のステータスで軽減されてしまうものだった。


 痛みを感じるはずなのに、その痛みの苦しみは掠り傷のようで、本来あったはずの本当の痛みを奪い取ってしまった。


 今後も、きっとこんなことがある。あなたはそれを確かに予感した。そして力があるあなたは救わないことに再び傷を負うのだろう。


 しかしそれでもあなたは、少年が殺されることと自身の平穏を秤にかけ、自身の平穏を優先した。


 富豪が金銭に困った人に寄付をすることが義務ではないように、あなたも大きな力を持ち、少年を救うことが出来たとはいえ、それは義務ではない。


 特に今回は遊戯世界での出来事だ。殺されても死ぬことはない。


 それでも、あなたは自分が己の嫌った醜い心の持ち主になっているのではないかという思いを隠せなかった。

○救助判定(1d100)

結果【45】やらない


※91以上でやる




見知らぬプレイヤーくんを助けるか助けないかの判定。主人公は色々と拗らせているので、判定は滅茶苦茶厳しいです。


この作品のテーマの一つとして(チート化してからテーマになった)、強い力をどのように振るうかというものがあります。


強いからこそ、助けるor助けられない。ではなく、助けるor見捨てる。となります。そこには実力不足という言い訳がない、自分で道を選ぶことができるが故の苦悩があるのだと思います。

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