四十九話 ソフィアとのコミュ3
本日のダイス
ソフィアのメンタルケアの成果(1d10)
1~6.少回復+信頼アップ中
7~9.中回復+信頼アップ大
10. 大回復+信頼アップ超
※前回のダイス結果のおかげで、マイナスと変化なしを除き、確定でメンタル回復に。
和国の温泉の入り方は独特である。和国は男女に分かれて全裸で入るというスタイルだが、世界的には男女に分けず水着で入るというのが標準スタイルだ。
その点を踏まえると、ソフィアの水着で入るという提案はさしておかしいものではない。むしろ世界ではこれが一般常識だし、恥ずかしいことではない。みんなやってることだよ。そんな感じの迫り方をしなかった分、ソフィアのアプローチは良心的だったのかもしれない。……いや、ライバルの言葉を悪用する方が駄目なのでは?
ともあれ、あなたは水着になった。
「……」
ソフィアは水着になったあなたを見て言った。
「……緑、上着を着ましょう」
――??
あなたは首をかしげた。自分は男だが。
「今は男性でも、みだりに肌を見せてはいけない時代よ。動画サイトでも規制があると聞いたことがあるわ」
――なるほど、分かりました。
あなたは木属性の魔術の応用で簡易的なパーカーを作り出し、それを着た。
「……なんていうか、少女に男性の水着を着せているような犯罪臭がしたのだわ……」
ボソッと呟いたソフィアの声をあなたは聞き逃した。
――??
「なんでもないわ!さ、入りましょう」
うへぇ……。あなたは内心でため息をついた。
「緑、体を洗ってあげるわ!」
――大丈夫です。魔法の心象領域を応用すれば……はい、終わりました。
「……。じゃ、じゃあ、私の体を洗ってもらえるかしら」
――了解です。はい、完了です。
「……」
「緑はそこに座って。よし、じゃあ、失礼するわね」
あなたが浴槽につかると、その上からあなたに座るようにソフィアは浴槽に入ってきた。
狭い浴槽なので、二人も人が入るとどこかしら体が触れ合ってしまう。お湯の温度と人肌の温度。寒い日にプールに飛び込んだようなゾワリとした感覚があなたを襲った。
「ふふ、温かくて気持ちがいいわ。いくら超人的な力を得ても、この心地よさは変わらないわね」
ソフィアは上機嫌に言った。
「あなたはどう?」
あなたというイスに座るように浴槽に浸かっていたソフィアは、体の向きを変え、密着しながらあなたと向かい合う。あなたの視界の50%近くをソフィアが占領した。すごく近い。怖い。
一人で入るなら、リラックスできるので好きですよ。
と言いたかったが、まだ嫌味を気安く言えるほどあなたの心が開かれているわけではなかった。
――自分もそう思います。力をもらっても、趣向はあまり変わりませんから。
そう言うと、ソフィアは少し残念そうな顔をした。
「別に嫌味の一つや二つ、気軽に言ってくれてもいいのよ」
あなたはドキっとした。もしかして、心を読めるタイプの能力か……?
「目を見れば何となく分かるわ」
どういうことだ……?
「まあ、雰囲気で何となく分かるわ。あと、この特徴的な前髪」
緊張感を表すように逆立って硬直していたあなたの一房の前髪を、ソフィアは指で弾いた。つまるところ、アホ毛というやつである。普段はワックスで動きを拘束しているが、あなたの瞳と同じようにこの髪の毛は特殊で、あなたの心情をかなり代弁した動きをする。表情の100億倍くらい感情豊かである。
「これ、すごく可愛いわね」
おろおろと揺らめくあなたのアホ毛をソフィアはいじくり回す。本当に、ここだけ別生物が入ってんじゃないかってくらい動き回っている。
――……。
「あ」
あなたは手をアホ毛にかざすと、アホ毛はシナっとして動かくなった。魔術のちょっとした応用である。
「可愛かったのに……」
じとーっとしたソフィアの視線に、あなたは逃げるように目をそらした。
「まあいいわ」
パシャリとソフィアは向きを変えて、あなたに再びもたれかかった。
それから、少し無言の時間が続いた。
「ねえ、緑」
もたれかかったまま、見上げるようにソファアがあなたの目を見つめる。
「私がそばにいることに、慣れた?」
――……。
それを聞かれたことに少し驚いて、それから、あなたは自分の心をさぐった。
ソフィアさんにひっつかれてお風呂に入ることは、最初はすごく落ち着かなかった。でも、冷たいプールに入ってもだんだん温度に慣れてくるように、今はあんまり怖くはないような気がした。
――意外と慣れてきています。
まっすぐ見つめてくるソフィアの目が少し怖くて、あなたは目を閉じた。
――でも、こんなに急に変わっていくことが、怖いです。
あなたはソフィアに徐々に心を開いている自分がいることを自覚した。あれ以来、人に心を委ねることなく一人で生きてきたというのに。誰にも気に留められず、誰にも関わられず。冷たくも、楽に生きることができていたというのに。神々の遊戯に巻き込まれてから、その生き方が散々に打ち壊されている。
――やっぱり不思議です。
自分が変わり始めているのは、間違いなく目の前にいる少女の想いのせいだ。こんなちっぽけでどうしようもない人間に、彼女はどうしてここまで想いをよせてくれるのだろうか。前に聞いた時は、理由なんてないと言っていたが、やっぱりそれはおかしいと思う。
ああ、もしそれが本当にそうなら、喜ぼうじゃないか。理由がなく誰かを愛せるのなら、自分じゃなくてもいい。そして、急にそれが途絶えたって不思議ではない。
――あなたはどうして、ここまで私を想ってくれるのですか。
あなたの視線とソフィアの視線が交差した。
「緑。私はあなたを愛しているわ」
ソフィアの強い眼差しがあなたに向けられる。
「愛は、信念よ。使命であり、誓い。ソフィアという人間のアイデンティティなの」
「きっといつか、どこかの私は誓ったのだわ。あなたを愛し続けることを。だから、時も世界も超えて、私がソフィアであり続ける限り、私はあなたを愛し続けるわ」
「そして、愛し続けることは強さよ。弱き心に愛は根付かない」
あなたはソフィアの瞳の中に、神格に匹敵するような強い力の輝きを見た。
「信じて。私はあなたに愛を証明し続ける」
――……そうですか。
――……ありがとうございます。
こんな強さがあれば、自分も誰かを救えたのだろうか。
荒れ狂う内心を悟られぬようにあなたは目を閉じた。
それから風呂を上がり、少し話をして、歯磨きをして、就寝時間になった。
ソフィアはあなたと同じ布団で寝ることを主張したが、あなたは別の布団を用意しようとした。どこで寝るのか、再び両者の意見がぶつかることになったが、あなたと混浴することに成功し、ゾーンに入ったソフィアにあなたが叶うはずがなかった。
虚しい抵抗が3分ほど続いたが、あなたは無事同じ布団に引きずり込まれることになった。
最初は頑なに抵抗していたあなただが、今日一日を通して調教され続けた結果、あなたはソフィアに触られても怖がらなくなっていた。
ぎゅうぅと、毛布とソフィアに抱きしめられる。
「ふふふ、温かいわね、緑!」
――……。
――……。
――まあ、そうですね。
温かくて、どこか安心できる。母親の温もりを思い出した。
色々あって疲れていたのもあって、案外あなたはすぐに眠りに落ちた。
スヤァと眠りについたあなたの様子を見て、ソフィアは柔らかな微笑みを浮かべた。
深夜。あなたはぱちっと目を開いた。
抱きしめられていたソフィアの腕からするりと抜ける。
――……。
あなたはじーっとソフィアのことを見つめた。
――……。
自分には、分からない。
どうしてお母さんが一人で自殺してしまったのか、分からない。
ずっとそばにいてくれるって言ったじゃん。
自分が悪かったのだろう。きっと何かを間違えていたのだ。
こんな自分に、お母さんとソフィアさんは同じような気持ちを向けてくれている。
信じて、とソフィアさんは言った。
同じ気持ちを向けてくれていたお母さんがああなってしまったのに、その気持ちの何を信じればいいのだろうか。
――でも、信じたいんです。
あなたのそばが温かいと知ったから、一人が冷たいことを思い出してしまった。
ぽろぽろと涙がこぼれる。
あの時、ソフィアさんの瞳の奥に見えた輝き。あれは深淵魔法や超越スキルに類する、理を超えた強さの輝きだった。
それがあるなら、信じていいのだろうか。
――自分は、あなたを、信じていいのでしょうか。
ガバっと、毛布が急に動き出し、あなたを包みこんだ。
ぎゅうぅと、強く、強く抱きしめられる。
「いいよ」
その言葉を聞いて。
ぎゅっと。
初めて、あなたは自分から、心のままに誰かを抱きしめた。
リザルト
ソフィアのメンタルケアの成果(1d10)
1~6.少回復+信頼アップ中
7~9.中回復+信頼アップ大
10. 大回復+信頼アップ超
結果【10】大回復+信頼アップ超
強い・・・・・・あまりに強すぎる・・・・・・。ぶったまげたことに、これ、やらせじゃないんだよなぁ・・・・・・。ダイスの女神様が、曇らせはもう止めてくれと言っているのでしょうか。まるで黒閃決めまくる主人公みたいだな。
それと、一緒に風呂に入ってる割には男女の雰囲気がかけらもないけど、仕様です。片方は心を病んでいるのでそれどころじゃなくて、もう片方は色々と超越しているので肉欲に囚われないのです。




