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二十七話 二度目の死闘③

今更ながら、400日ボスの好感度上昇判定に相性を考慮するの忘れてました。あと、500日までの探索報酬を獲得させるのも忘れていました(クソザコ運営)


詫び石は特にないけど許してください。


とりあえず毎度のこと長くなる500日の死闘もこれで完結です。本当に、長かったですね。

 自身を抉り取る銃弾の雨。


 肉体は何度も塵になっている。


 だから、魂で物事を考える。


 気合い。男は歯を食いしばった。


 そして、魔法を発動させた。




――魔法【絶対勝者アブソルートゥス・ウィクター


――【責務(レスポンシビリティー)


――【|骸を背負う者《クィー・ポルタ―レ・カダバー》】
















 とある異世界に、1人の少年がいた。


 少年の名前はウィン。とある魔術の門下に弟子入りをした、最強の魔術師を志す少年である。


 また、彼と同時期に弟子入りした少年がいた。


 アミークス。あまり肉が付いておらず、どこかひよわな印象を受ける少年であった。


 しかし、アミークスはその貧弱そうな見た目に関わらず、非常に魔術の才能に恵まれており、ウィンとたびたび模擬戦をすれば、3回中2回はアミークスが勝利するような実力差があった。


 ウィンとて非才な身ではない。

 

 彼自身、魔術の師に10年に1人の逸材と言われた男である。ただ、アミークスは50年に1人だと言われていたが。


 自分以上の実力を持つアミークスより強くなるために、ウィンは熱心に修行を繰り返していた。


 ただ、アミークスも同じように努力家であった。


 アミークスには夢があった。


 物語で見た英雄のように、世界で一番強い魔術師になる。


 そんな青いアミークスの夢に、ウィンは共感を示した。


「でも、世界で一番強い魔術師になるのは俺だぜ!」


 ウィンの言葉に対して、アミークスは負けないよと笑った。




――しかし、現実は残酷であった。




 アミークスは病にかかった。


 治療法が見つかっていない難病だ。アミークスの死は、避けられないものとなった。


 日に日に衰えていくアミークスを見て、ウィンは世界の不条理に対して怨嗟の念を抱いた。


――どうして、アミークスなんだ…っ!


――どうして、どうしてなんだよ…っっ!!


 そして、最期の日。


「ウィン……僕と、試合をしてくれないか?」


「なんで…もう…お前は……」


「いいんだ。本当に、最期だからさ」


 試合が開かれる。


 最期の試合。


 アミークスは死の淵に立ってなお、その技の冴えは衰えるものではなく。


 ウィンは、アミークスに敗れた。

 

 そして、アミークスは倒れた。


「ねえ、ウィン……」


「……なんだ」


「君は、世界一になってよ」


「そしたらさ……」




――君に最期まで勝ち続けた僕が……世界一位だろう?




 ぽたり。ぽたりと。ウィンの涙が、アミークスの頬に落ちた。


「おう、約束だ…っ!」


 そしてウィンは、誰よりも強くなった。


 魔術師の中で最も強い者を決める大会で、ウィンはチャンピオンの栄光を勝ち取った。


 ウィンには負けられない想いがあった。だから、最後まで勝ち抜けた。


 しかし、ウィンは学んだ。


――負けられない想いを持っているのは、俺だけじゃねぇんだ。


 大会の中で、ウィンは様々な人と出会った。


 親の願いを背負う者。師匠の想いを背負う者。はたまた、事情によって優勝しなければ破滅する者。本当に様々な者がいた。


 ウィンはそんな彼らに勝利することで、彼らの想いや願いを踏みにじってきた。


 だから、思うのだ。




――俺は勝ち続けてきたからこそ、負かした相手に誇ってもらえるような、勝者に相応しい男にならなければいけない。




 勝つということは、背負うことだ。


 打ち砕いた誰かの想いや願いの骸を背負って、生き続けていくのだ。


 負けたことによって流した誰かの涙を。死んだ者の無念を。全て、背負って進んでいくのだ。


 だからあの日。俺はアミークスに負けたが、同時に勝っていたのだ。


 だってアミークスは俺に最期の想いを託したのだから。




――負けられない。


――だから、負けられねぇよなっっ!!




――魔法【絶対勝者アブソルートゥス・ウィクター


――【責務(レスポンシビリティー)


――【|骸を背負う者《クィー・ポルタ―レ・カダバー》】




 その魔法は、今まで(ウィン)が背負ってきた想いを纏う魔法。


 故に、それはどこまでも、誰よりも強い意思の力を男に与える。


「……っっ」


 思わず、あなたは後退(あとずさ)った。


 あなたの目は人の感情などをオーラのごとく可視化する特別な瞳だ。


 だから、見えてしまった。


 どれだけ強い想いを男が背負っているのか。


 もはやあなたの目を焼き尽くさんばかりに、強すぎる意思の輝きが男からあふれ出していた。


――倒せない。こんなの、絶対に削りきれない……。


 絶望に近い心境があなたを支配する。


「……っっ!」


 それでも、あなたは魔術を構築する。戦うことを止めない。


「ふっ…いいぜ、坊主。そうこなくっちゃ、面白くない…!」




――心象領域【歓迎する等活地獄】




 あなたはその世界に呑まれた。


――まずい。


 この世界に対抗しなければ、あっという間に負けてしまう。


――心象領域【波風なき悠久の湖畔(パシフィック・ラクス)


 対抗してあなたも心象領域を展開するが、圧倒的に押し負けてしまう。


 心象領域同士の空間の奪い合いは、魔法の衝突と同じように意思の力がものを言う。


 尋常ではない意思の力を纏う男を相手にしては、やはりこの争いは分が悪い。


――限定展開。


 あなたは男が以前やっていたように、心象領域の展開をここら一帯にするのではなく、自己の周辺のみに限定する。


 そうすることで、心象領域の密度が上がり、ある程度は格上の意思の力を持つ相手に対抗できるようになるのだが。


 だめだ…負ける…。


 そう思った瞬間。




「――チェックメイトだぜ、坊主」




 更なる絶望があなたを襲う。




――深淵魔法【栄光もたらす勝利の槍アブソリュート・グングニル




 それはあなたが開戦からずっと使わせないように気を付けていた、男の究極の必殺技。


――チャージをする必要があったはずなのに。


 思わず弱音がこぼれた。


「悪いなぁ。この状態ならめっちゃ短い間で、魔法を使いながらでもチャージできちまうんだ」


 だから、俺の勝ちだぜ。




――槍が投げられた。




 それは空間を引き裂き、次元を引き裂き、一つの概念として飛翔する。


 もはや法則には左右されない。ただ一つの想いを達成するための願望機。


 この時点で、男の勝利は決まっていた。


 そして前回のようなトンチの如き回避法も、それは勝利ではないと男が否認した時点で不可能となった。


 だから。


 だから、あなたは。




――ここで奥の手を発動した。




――概念接続。


――概念内包。


――境界消滅。


――自我消滅。


――女神転生。




 それは、至る一つのプロセス。


 高次の概念へ接続し、取り入れて、その概念と自己を同一化する。




――【超越(ファナーウ)運命を司る女神イデア・オブ・フォルトゥーナ




 あなたの髪が金色に変わる。


 羽の生えた靴を履き、船の舵のようなものを携えて、底の抜けた壺を持つ。


 そしてふわふわと不安定な球体の上に腰掛ける。


 古代に繁栄した大帝国の民の如き衣服を纏い、いつの間にかあなたの肉体は女性になっていた。


 それはまさに女神の顕現。女神そのものへの変貌。


 覚醒スキルのさらに上。肉体を、魂そのものを神と呼ばれる概念に変成させるスキル。


 超越スキル。それはあなたが200日目のボス戦で入手した超越スキルオーブによって、【幸運】のスキルが進化したものである。


 人を超越した現在のあなたは、ただ無感動に自身に迫る槍を見据えた。


 手に持った舵が高速で回転する。


 それは運命の変更。


 定まった覆されるはずのない勝利の概念を、別の方向へ転換する。


 そして。




――槍はどこか別の方向へ飛んでいき、そのまま消えていった。




 あなたはそれをただ無感動に見つめていた。


――ピキッ


 突如、あなたの頬の辺りの空間に罅が入る。


――パキィィイイン!!!


 空間が割れ、ガラスのようなものが飛び散る。


 驚くことではない。変成の解除だ。


 これにより、あなたの姿は衣服共々もとに戻っていた。


 なぜ戻ったのか?それはあれ以上変成し続ければ、女神という概念に呑み込まれ、自我そのものを失ってしまうからだ。


 人間を超越した存在に変成すること。それは常に自我の完全なる消失というデメリットを含んでいる。


「やるな、坊主…」


 男は荒い息を吐いている。あなたが女神となってあの槍を防いだ時、男はそれでも攻撃を直撃させようと莫大な意思の力を使っていた。


 結果、この様子である。あなたは超越スキルがどれだけ凄まじいものか、改めて実感した。


「だが、まだ終わらんぞ」




――男は再び槍を形成した。




 二発目。


 再び絶望があなたを襲う。


 思わず、【異空間収納箱】のスキルへあなたの意識が向いた。


 厳密には、そこに眠っているとある武器へだ。




『ほう…私の助けが欲しいのか?いいぞ。ただしちゃーんと大きな声で、情けなく懇願するんだぞ。強欲(グリード)様、助けてください、と』




 あなたは覚悟を決めた。


 拳を強く握る。




――魔法【防衛機制ディフェンス・メカニズム


――【逃避(ウィズドロール)秘密基地(アジト)


『おい、待て。何をする気だお前』


 ごめんなさい。今は応答する猶予が存在しないんです。


――魔術【延々】


――魔術【加速】


 いつも通りの慣れ親しんだあなただけの世界で、あなたは自分の体感速度を最大限まで加速する。


 そして全力で、ただ前に進むことを思った。


 飛翔。


 速く、速く。どこまでも速く。あなたは限界を超えて加速する。


 この世界において、速さはあなたの感覚が決定する。


 強く前に進むことを願えば、それだけ速くなる。そしてその速さはあなたの体感速度に依存する。


 あなたにとっての速い移動速度が、そのまま再現される世界なのだ。


 例えば体感速度が普通の状態の速い速度で移動するとしたら、体感速度を10倍にすると、移動速度も普通の状態の速い速度の10倍になる。


 それはエネルギーに依存しない、心を表わす移動である。


 だから、あなたは考えていた。


 これを利用すれば、光速を超えたスピードを実現できるのではないか。


 現実世界において、アインシュタインの相対性理論をもとにするのなら、光速を超えることはできない。


 なぜなら、物質を光速で移動させることには、無限大のエネルギーが必要になるからだ。


 速度が速くなるにつれて、物を速く飛ばすにはより多くのエネルギーが必要になるように、光速に近づけば近づくほど、必要なエネルギーが上昇するのだ。


 だから、限界を超えることはない。光速より速い速度は相対性理論上、あり得ない。


 しかし、現実世界ではない場所でならどうだろうか。


 この世界に真っ当な物理法則は存在しない。あなたは物体をすり抜けるし、考えるだけで移動することができる。この世界にいる間はお腹が減らないし、睡眠欲求も生じなくなる。


 だからこの世界においては、あなたは光速を超えることができる。


 そして、あなたはその速度を現実世界に持ち込むことができる。




――【逃避(ウィズドロール)秘密基地(アジト)




 それは車が車線変更をするように。


 あなたは光速を超えた移動速度のまま、現実世界に帰還した。




――深淵魔法【栄光もたらす勝利の槍アブソリュート・グングニル




 投擲(とうてき)


 空間も次元も法則も。全てを穿ち、勝利を掴み取る必勝の槍。


 それに対してあなたは。




――光速を超えた拳を叩きつけた。




<――――――FはFう゛ぁvhmsyrvfshfう゛ぃgも胃F、死vmfvmがshフィFは魚差dフィ宇h差dfう゛ぁいふぁふあsんふぁう゛おfshpfさうおfふdふぁうvfはすおhvすおあdmひうsとうmwなうもあうvmふあそfはすdfphmすfvsう゛ぉうあのあすdvふぁfほfvふぁlsfhsんもあすふぃhsみうなふぁ――――――>




 光速を超えた物体は存在しない。この世界は光速を超えるくらいなら、時間そのものを遅らせて光速の物体を出現しないようにする。


 例えば、光速に限りなく近い宇宙船ができたとして、光速で進む宇宙船の中で宇宙船の進行方向に走ると、光速を超える速度で移動したことにならないだろうか?


 答えは、ならないである。なぜなら、光速で移動する物体は時間がそもそも遅くなるからである。


 光速で移動する宇宙船の中では、地球にいる人より遙かにゆっくりな時間が流れる。俗に言うウラシマ効果というものであり、こういった事象により、宇宙船の中でさらに移動しようと光速を超えた速度で移動することはできない。


 つまり世界にとって、光速を超える物体を誕生させるくらいなら、時間そのものを歪める。という程度には、光速超えは法則的に禁忌なのである。


 故にそれは、世界の悲鳴だった。法則の断末魔であった。


 空間が裂けた。次元が裂けた。法則が息絶えた。


 世界そのものが、破壊された。


 黒い(ひず)みが生まれる。それは崩壊した世界の裂け目。


 無限大のエネルギーという、世界にとって完全にエラーとなる物体が出現した代償。


 通常の魔法も想顕武術も、この歪みの前には意味をなさない。


 法則そのものを破壊する終焉の一撃。




――だが、法則ではなく概念である必勝の槍は止まらない。




 わずかに効果は薄れたかもしれない。内に秘める勝利への願いの幾ばくかを消し飛ばしたのかもしれない。


 だが、その程度ではこの槍に込められた想いは砕けない。


 それはまさに火事の家に一杯のコップの水をかけるようで。


 あなたの光速を超えた一撃でさえ、まさに焼け石に水であった。


 そして槍に対して叩きつけた右腕は、発動していた【変身】の術式ごと消し飛ばされていた。


 ダメか。


 これでも、ダメだったのか。


 あなたにとってこの奥の手は、光速を超えて無限大のエネルギーを顕現される以外全くよく分からない技だった。


 使ったらどうなるか分からない。多分凄いことになるだろうから、現実世界では実験することができないし、遊戯世界でも死を覚悟した場面でもなければ使えない。


 それでも、あなたは一縷の望みを託してこの技を使ったのだ。


 また、負けちゃうな。

 

 失敗。そう、自分はまた。


 あなたの脳裏に童子の姿が思い浮かんだ。


 ごめんなさい。


 謝った。自分の情けなさを。


――槍が迫る。


 それを見て、すごいな、と。


 あなたは目の前の男に強い尊敬の念を抱いた。


 確かに争いを好む気質は好きになれないが、それでもここまで強い信念がこの人には存在するのだ。


 すごい。


 心の底からそう思った。


 そんな輝きがあれば、あの子を救えたのだろうか。


 もっと強くなることができれば、あの子は自分の手を取ってくれたのだろうか。


 分からない。分からないんだ。


 だから。


 だからっ。




――別に勝ちたいわけじゃない。


――あの人みたいに、凄い人になりたいというわけじゃないんだ。




 残された左の拳を握る。


――【逃避(ウィズドロール)秘密基地(アジト)


 飛ぶ。そして、拳を心のままに加速させる。


 再び魔法を発動させる。


 あなたは左の拳を槍へ叩きつけた。


 黒い歪みが重なるように生まれる。


 激痛。左腕が消し飛んだ。




――でも、今のままじゃダメなんだ。




――魔術【木精転身】


 消し飛んだ右腕と左腕を再構築する。


 そして、魔法を使う。


 黒い歪みが生まれる。


 腕を再構築する。




――挑むことすらまともにしなかった。


――自分の可能性に見切りを付けた。


――でも、それじゃあもうダメなんだ。




 魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。


 魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。


 魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。


 魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。




――見てしまったんだ。知ってしまったんだ。


――烏滸がましくも、救いたいと思ってしまったんだ。


――でも、今の自分では救えない。


――だから、なりたい。少しでもより良い自分に。


――今の自分ではない自分に、変わりたいんだ。




 魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。魔法を使う。黒い歪みが生まれる。腕を再構築する。




――ここで諦めたら、前の自分と同じだ。


――だから、諦められないっ


――1歩でも、前に進むために。


――あの子を救えるような。そんな自分になるために。




 ただ、愚直に拳を連打する。


 魔力と意思の力を振り絞り、ひたすらに拳を叩きつけ、黒い歪みを生み出し続ける。


 なるほど。確かにこの行いは火事をコップの水で消そうとするような行いなのだろう。


 ならば、数百、数千、数万と数を重ねればどうだ。


 限界を超える。


 心を枯らすほどに、意思の力を振り絞る。


 自身に迫る槍は黒い歪みに晒されるたびに、飛翔する速度が減速する。


 だから、【加速】と【延々】を途絶えさせずに超光速を発揮し続ければ、それはいずれ男の深淵を穿つのだろう。


 光速を超えて、ただひたすらにあなたは腕を槍に叩きつける。




――重い。腕が、重い。


――辛い、苦しい。もう嫌だ。止めたい。




 あなたを補助していた心のステータスの力でさえ、魔法の発動に使い尽くした。


 【秘密基地(アジト)】の魔法は魔力消費が非常に少なくても、意思の力を普通に消費する。


 それでも、魔法の中では比較的消費が軽い方だ。100回程度の発動なら、少し疲れる程度で済む。


 だが、千や万ともなれば、確実にあなたの意思の力を使い切る。


 もはやあなたの背中を押してくれるものは何もない。


 それでも。




――歯を食いしばる。


――心を振り絞る。


――苦しい。苦しい。


――でも。




――あの子が死んでしまった時の方が、もっと苦しかったから。




 限界を超える。


 一滴残らず、意思の力を絞り出す。


 負けるかもしれない。


 それでも、それでもっ、1歩でも前に進むために。




――せめて、前のめりに倒れてみせろっ




 黒い歪みが何万と弾けた。


 槍が放たれてから、0.1秒にも満たない時間が過ぎた。


 もはや何度それを繰り返したのか分からない。そんな末に。




――パキィィィィイイイインンンンン




 男の深淵魔法が、砕けた。


「……っっ!!」




「――もう一発だ……っっっ!!!」


 しかし、それでは終わらない。


 執念。背負った想いをもとに。


 男も同様に限界を超えて、三本目の槍を形成する。




――深淵魔法【栄光もたらす勝利の槍アブソリュート・グングニル








<――――――FはFう゛ぁvhmsyrvfshfう゛ぃgも胃F、死vmfvmがshフィFは魚差dフィ宇h差dfう゛ぁいふぁふあsんふぁう゛おfshpfさうおfふdふぁうvfはすおhvすおあdmひうsとうmwなうもあうvmふあそfはすdfphmすfvsう゛ぉうあのあすdvふぁfほfvふぁlsfhsんもあすふぃhsみうなふぁ――――――>








「あっ?」


 拳を振り切った姿勢のあなた。


 男の深淵魔法が放たれることはなかった。


 男の胸に炸裂した、黒い歪み。


 それが男の発動前の術式ごと、男の腹部を木っ端微塵に吹き飛ばした。


「は…えぇ…」


 ズシャッ!と倒れ込む男。


 あなたは魔法を経由して超光速で移動することができる。


 だから、相手が深淵魔法を発動するよりさらに速く攻撃できることは、ある意味当たり前のことであった。


「…っ、…っ」


 いつもより数倍死んだような瞳で、あなたは荒い息を吐く。


 完全に、もはや気を抜けばすぐさま気絶しそうなほどに、あなたは意思の力を使い尽くしていた。


「へっ……」


 男はそんな様子のあなたを見て、どこか微笑ましげに笑った。


「坊主、ちょっとこっちに来い」


 男はちょいちょいと人差し指を動かし、あなたを呼んだ。


「……?」


 意思の力の使い過ぎで、幼児レベルまで判断能力が低下しつつあるあなたは、その呼びかけに何も考えずに近寄った。


 ガシッ。


 頭を掴まれた。




「すげぇじゃねえか、坊主」




 そしてあなたは頭を撫でられた。


 あ。


「見違えたぜ」


 ぽた、ぽたっ。


 それはきっと、心が弱っているからという影響もあるのだろう。


 それでも、あなたは涙を流していた。


 すごく久しぶりな気がする。誰かに、こうして褒められたのは。


 朧気な意識で、あなたはそんなことを考えた。


「へっ、お前はよ、なんか辛気くせぇ顔をしているけどよ…」


 ドンっ、と。男の拳があなたの胸を軽く打った。


「俺に勝ったんだから、もう少し自分に自信を持てよ」


 その言葉はあなたの胸に強く響いた。


「お前が情けない顔をしていると、お前に負けた俺も、俺に負けた奴らも浮かばれないぜ」


 男はあなたの前に拳を出した。グーの形である。


俺たち(敗者)の想い、少しは背負ってくれよ?」




「……」




――うん。




 コツン、と。あなたは男が出した拳に、自身の拳を軽くぶつけた。


「へへっ、約束だぜ」


 男は満足そうに笑った。


「この先も、気張って行けよ。坊主」


 そして男は粒子となって消えていった。


 あなたはその消えていく残滓を、じっと見守っていた。


 そして男と約束をした拳に目を向ける。


「……」


 自信を、持つ。


 想いを、背負う。


 うん。


 ありがとう、おじさん。


 あなたは拳をもう片方の手で胸に抱えるようにして、宝物をしまい込むように。


 その存在を確認するように、強く、握りしめた。




















≪リザルト≫


○勝敗判定(1d2)

結果【1】勝利


1.勝利 2.強欲召喚




<素の状態で勝利したので、Mr.ヴィクトリー(ウィン)の好感度、相性、関心が大きく向上した!>




○相性上昇判定(1d68)

結果【56】


相性【32】少し悪い

相性【88】良い


※相性に関しては、好感度と違って壁を用意していないので、最大値を出した場合相性が100になるように設定する。


○関心上昇判定(1d83)

結果【62】


関心【17】ない

関心【88】ある


※関心に関しては、好感度と違って壁を用意していないので、最大値を出した場合相性が100になるように設定する。


○好感度上昇判定(1d9)

結果【1】


※1(ダイス目)×0.88(相性)=0.88(好感度上昇値)

切り上げで計算するので、好感度は1上昇。


好感度【68】

好感度【69】


※好感度上昇の限度は8までだが、好感度の上昇はダイスの目に相性をかけるので、8がでても7しか上昇しない。よって相性を考慮すると、9がでると最大値の8まで上昇するので、ダイス判定は1d9とした。



○500日目ボス勝利報酬(1d10)

結果【4】魔術書


1.アイテム

2.装備

3.スキル

4.魔術書

5.武術書

6.アイテム

7.装備

8.コミュニケ―ションイベント

9.特殊アイテム

10.???


<100日ボス報酬なので、自動で上位魔術書確定!>


○品質(1d100)

ダイス目【31】+幸運バフ【5】+祝福【9】

結果【45】普通


○性質(1d3)

結果【1】攻撃より


1.攻撃より 2.防御より 3.両方


<【溶解】の上位魔術書を手に入れた>


ライバルから誇りを分けてもらう展開。王道ですね。主人公がほんの少しだけ前向きになれたお話です。


今回の結末に満足していただけたら、お気に入りや評価をしていただけると幸いです。あと感想も欲しいです(乞食)

それとすいません。少し所用があって、2週間ほど更新が途絶える予定です。

それが終わったら、2月が終わるまでに次の山場を終わらせたいですね。

そして、次回は設定集から入る予定です。スキルや魔法の設定について少し解説をする感じです。


○今回の勝敗判定について


すべて2分の1判定ですが、一回目の失敗で強欲の起動。二回目で座敷童子の献身。三回目で超越スキルの暴走があり、4回目で失敗するとようやく敗北しますので、今回の戦いはほぼ勝ちが確定した戦いでした。

ボスが弱いわけじゃなくて、主人公のダイス運が良いせいで奥の手が多すぎるんですよね。


○超越スキルについて


強すぎて制御できていない力はロマン。主人公自身、これを使い過ぎるとやばいことになると自覚しているので、追い詰められないと使いません。


○黒い歪みについて


相対性理論を少し囓って思いついた必殺技。超光速で殴った場所を、世界ごと崩壊させる。

めっちゃ強い人達はこれを【崩壊現象】と呼んでいたりするらしい。

基本的に魔法を使ってもこれを起こすことは難しいが、主人公が【秘密基地】の魔法で行ける空間が色々と曰く付きの空間なので、こういったことが起こる。

無限のエネルギーは色々な解釈があるかもしれないが、作中の世界においては殴った周囲の小さな空間のみを崩壊させる。たぶん神々が頑張って修正しているのだと思う。なお、イデオンとか別の作品を見てみると、無限エネルギーが宇宙を消し飛ばしていたりする。


○主人公のレベルについて


作者が面倒だからレベルアップの判定をスキップした。一応データとしては存在する。実際、この戦い中の主人公のレベルは500日までで381レベル上昇し、2816レベル。

なお、500日目のボスのステータスはレベル換算すると3000レベルあるので、主人公は若干ステータス不利で戦っていたりする。

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