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二十六話 二度目の死闘②

いつも誤字報告ありがとうございます。非常に助かっております。


感想、評価、お気に入りもありがとうございます。感想は本当に励みになります。



さて、予約投稿です。この戦いは熱い内に更新しまくって、熱が冷めないうちに終わらせたいですね。


しかしながら、魔法使いの戦いは頭脳戦が多くて、戦闘描写に頭を使うので面倒くさいです。


ぶっちゃけドラゴンボールくらい適当に殴り合ってくれた方が、書く側としては非常にやりやすいんですよね。

 魔法を使うのには、魔力と同時に心の力を消耗する。


 それは体力でも魔力でもない。気力とも呼ぶべき、意識が生み出す意思の力を消耗していく。


 特に対になる魔法が衝突した時などは、顕著にその力を消耗する。


 魔法には絶対に攻撃を回避する魔法や、絶対に攻撃を当てる魔法などが存在する。


 矛盾した魔法同士がぶつかり合ったとき、どのようにしてその結果は決定されるのか。


 結論から言うと、より強い方が勝つ。それに限る。


 比べられるのは主に意思の力であり、心のステータスだ。それにプラスして魔力や氣の力、エネルギー的なものにも左右されるが、それでも比率としては意思の方が重視される。


 であるからして。


 あなたは静かに拳を構えた。


 目の前の男が何らかの魔法の力で蘇ったというのなら、殺し続ければいずれ意思の力に限界が訪れる。


 息を吐く。


 慌てるな、消耗戦ならこちらの方が有利だ。徹底的に相手の魔法との衝突を避けて意思の力の消費を抑えつつ、魔術を乱射して魔法を使わせ、相手の意思の力を消耗させる。


 あなたは戦略を整えつつ、自身の体…心臓部分に意識を集中させる。


――炉心起動。接続確認。


――解放。


――【等覺(エンライティン)星辰へ繋がる炉心(アストラルゲート)


 一瞬だけ、あなたの意識が超次元へ接続される。


 イメージ。それは、魔力の海。


 法則。万物の法を司る。その根源となる、海。


 あなたはそこから、自分の魂を器として、法則のもととなる魔力を汲み上げた。


 ――意識が覚醒する。


 覚醒スキルの使用。あなたの枯渇しかけていた魔力は一瞬で全回復した。


 次は、躱す空間なんて与えない。


 あなたは【延々】と【加速】の魔術で自分の体感速度を向上させつつ、迅速に魔術を構成する。


 魔術の最大出力を上げて威力を向上させると、魔術式の構成が非常に多くなり、術式の構成に時間がかかる。


 しかしながら、同時に魔力にものを言わせて【延々】と【加速】の出力を上げれば、より体感速度が向上するので、その問題も解決する。


 だから、一瞬で構築された魔術式はあまりにも膨大で。


 笑い声をあげていた男の顔が、一瞬で引き攣った笑いに変わる。


 ――複合魔術【太陽焦土】


 それはまるで太陽が顕現したかのような有様だった。


 炎。違う、もはやそれは炎というよりも、純粋な熱エネルギーとしての光であった。


 白い地平線が全て焼き尽くされる。


 ここが地球であったら、到底放つことはできなかったであろう一撃。


 もしそれが放たれたら……地表の全てを焼き尽くしていただろう。


 ――【等覺(エンライティン)星辰へ繋がる炉心(アストラルゲート)


 そしてすぐさま魔力を補充する。


 再び魔術を構築。次の攻撃の準備をすれば……


「おいゴラ待てや」


 拳を構えて、尋常ではない速度で飛びかかってくる男。


 先ほどの魔術はどうやらあの五次元を跳ぶ魔法で回避したのだろう。


 あなたの目論見通り男は魔法を連発させ、意思の力を消耗している。


「……」


 殴りかかってくる男。それに対して、あなたは魔術を発動させる。


――魔術【延々】


 スローモーションのごとく、急激に動きがゆっくりになる男。


「それはもう知ってんぜっ!!」


――【凌駕(サマウント)上を歩む疾走スーパラ・スキャンダレ


 男は再び五次元を跳び、延長された空間を飛び越えてあなたに接近する。


――複合魔術【木精転身】


 自身の体を、一時的に魔力をもとにして再構築する。


 あなたの髪が緑に変わり、臀部の辺りまで伸びる。そしてその毛先は樹木のようになっており、まさに木の精といった様相に変身する。


 この状態のあなたなら肉体を何度も再生できる上に、魔力をある程度身体能力に流用できる。


――魔力充填・2000%


――全力全開・過剰駆動(オーバードライブ)


 バチッ バチッッ


 あなたの身体から漏れ出たエネルギーが、放電現象を起こす。


 破壊と再生。肉体の限界を超えた出力により、絶えず肉体が自壊する。それを強引に魔力で再生して、失った魔力を覚醒スキルによって補充する。


 それはまさに狂気の戦法であった。


 迫る、男の拳。


 魔術によって加速された知覚の中、ゆっくりと首をゆらす。


 チッ。と、男の拳が頬をこする音がした。


 ――そしてあなたの拳が男の顔面に叩き込まれた。


 バキッッ


 拳が、砕けた。


「やるねぇ…」


 男が笑う。


 激痛。拳の骨が砕け、出血する。


「でも俺の顔面の方が硬てぇぞ」


 男が拳を握る。


 拳打。


「……っ」


 咄嗟に地を蹴り、あなたはそれを躱した。


「俺の方が速い」


 気づけば男が後ろにいた。


 構え。万全で、渾身の力が込められていて。


 今にも炸裂しそうな、タメを充分に作った一撃。




 ――ボッッッ




 腕を交差して。


 防御は間に合った。しかし、凄まじいほどに防御に使った腕が痛む。


 あなたは想顕武術を使えば、それを躱すことができたが、あえて防御に徹していた。


 理由としては、やはり意思の力を回復可能な攻撃の回避に使いたくなかったからだ。


 肉体の損傷は魔力で回復できる。しかし、意思の力を回復することはできない。


 そういった意味では、その判断は至極真っ当と言えたが、しかしながらその判断は同時に誤った判断でもあった。


 ――あ、れ…?


 とても、苦しい。なんだ、これは…?


「俺の攻撃は勝利のための一撃だぜ、坊主」


 無駄打ちなんて一発もない。男はそう言った。


 つまりこのだるさは、倦怠感は…大幅に意思の力を削られたということだろうか。


 あなたは自身の判断の過ちに気づいた。この男の攻撃は、防御をしてはダメだったのだ。


 ――やっぱり、この人に主導権を握らせてはダメだ。


 あなたは自身の戦闘経験が、戦闘における巧みさが、目の前の相手よりずっと下であることを改めて自認した。


 故に、防御に徹して相手を消耗させるのは止めだ。駆け引きにおいて、こちらが圧倒的に格下なのだ。


 相手に主導権を握らせれば、相手の策に良いように翻弄されてしまうだろう。


――複合魔術【多重加速電磁砲】


 あなたの使える中で、最速かつ高威力の非常に優れた魔術。それを再び多重に展開させる。


「はっ、もう見飽きたぜそれは…」


 しかし。




――魔法【防衛機制ディフェンス・メカニズム


――【投影(プロジェクション)あなたは私(メウス・ウンブラ)




「ぐっ……」


 戦いたくない。そんな感情が男の心中を支配した。


 投影とは、自分の感情を相手が抱いている感情だと思い込む働きである。


 例をあげるなら、嫌いなAさんのことを、自分がAさんのことが嫌いなのではなく、Aさんが自分のことを嫌いだと思い込むようなケースがある。


 故に、その魔法は自分の心境を相手に押しつける魔法だ。


 ただの魔術師や武術使いにはわずかに手を鈍らせる程度の妨害にしかならないが、感情、心が魔法の発動に大きく関わる魔法使い同士の戦いにおいて、それは非常に大きな意味を持つ。


 瞬間的に、男は魔法を使えなくなった。


 感情と魔法の不一致。勝利を実現する魔法は、勝利を求める心なくしては発動しない。


「ぐっ、舐めるなぁっ!!」


――【凌駕(サマウント)上に立つ者なしソリタリー・バーテックス


 気合い。男は自身にかかる魔法の効果に対して、それを打ち破るように魔法を発動させた。


「……っ」


「…なんだとっっ!?」


 魔法の衝突が発生し、意思の力がぶつかり合う。


 しかし男はその最中、予想外に強い意思の力に驚愕の声をあげる。


(なんだこいつ…!?俺の真似といい、魔法の能力が多彩すぎるっ! こんな色んな解釈をしていれば、魔法の効果が本心から外れて、深まりが乏しいはずなのに…!)


 魔法の効果は本心から望むことでなければ意思の力を発揮できず、非常に効果の弱いものになる。


 故に、様々な効果を発揮するように解釈をすればするほど、それは原初の願いから外れたものになりやすく、より効果が薄まるものになる。


 だからこそ、男は驚愕したのだ。自身に比肩しうるほどの意思の力を込められるこの魔法に。


 そう、まさにその問題はあなたの魔法の強さの中核でもある。


 あなたはこの魔法を開発する時、とあることに悩まされた。


 防衛機制になぞらえた魔法を使うのはいいが、それを実際にやりたくないが故に、強度が非常に弱くなるという問題だ。


 例えば投影。自身の感情を相手の考えていることだと思い込む。普通に考えれば気の狂ったような行いであり、あなたはそれをやりたいとは決して思わない。


 だから、悩んで。悩んで。そして思いついた。


――魔法【防衛機制】


――【合理化(ラショナリゼーション)致し方ない犠牲(コラテラル・ダメージ)


 合理化。心理学的な意味合いでは、尤もらしい理屈をつけて不満を誤魔化すこと。


 例をあげるなら、あの高いところにあって取ることができないぶどうは、酸っぱいものだから取れなくても良いものだ、と思うようなことだ。


 この魔法の効果は、本来あまりやりたくないと思った魔法においても、自身が納得してやりたいと思った魔法と同レベルの威力を発揮できるようになることだ。


 この魔法をもって、あなたの【防衛機制ディフェンス・メカニズム】は完成した。


 そしてさらに。


――魔法【防衛機制ディフェンス・メカニズム


――【代償(サブスティチュート)全てを一つに(オール・フォー・ワン)


 代償とは、満たされない欲求を別のもので満たそうとする心理的なメカニズムである。


 例をあげるなら、ハワイに旅行に行けなくなったから、沖縄に旅行に行くことにする。といったようなものだ。


 あなたのこの魔法は、あなたの想いを別のものに流れさせる。


 あなたの中にある様々な欲求。それらの一つ一つの向きを一つのもの変えていき、結果、あなたの内にある全ての感情を一つのものに向けさせる。


 結果、発動する魔法の威力は膨れ上がる。


 ――戦いたくない。


「ぐっっっ、こな…くそっ…!」


 故にその魔法の意思の力は非常に強力で、容易に勝利することはできない。


「負ける…かぁ…っっ!!!」


 しかしながら、気合いという面では男の方が数段上である。男は意思の力を大きく消耗したが、あなたの魔法を打ち破った。


 ――それでも、魔術の弾丸は既に無数に放たれていた。


 光に近い速度で、無数の弾丸が迫る。


 咄嗟に男は魔法を発動させようとして。




 ――複合魔法【共鳴する反動形成リゾナント・リアクションフォーメイション




 それは【投影】と【反動形成】の複合魔法であった。


 反動形成とは、思った行動とはつい真逆の行動を取ってしまう心理のメカニズムである。


 例をあげるなら、相手に対して強い怒りを抱いたが、笑顔で相手を褒める。といったものがある。


 この魔法は思ったことと反対の行動を取るという魔法であるのだが、【投影】の魔法によって、それを相手に押しつけることができた。


 故にこの複合魔法を受けた人物は。


 ――男は魔法を発動させ、その弾丸を避けようとした。


 魔法は発動した。


 男は速さを得た。


 ただ、足が思い通りに動かなかった。


 心に対する干渉から、体に対する干渉への鮮やかな切り替え。


 その切り返しに男は対応することができずに。




(なんだと……っっ!?)




 男に大量の銃弾が炸裂した。


実は退行とかの効果をどのようにするのかまだ悩んでいたりします。


しかも防衛機制、学者によって色々なものが唱えられていたりするので、その気になれば追加コンテンツがさらにあるという悲劇。強くなるのはいいんですけど、アイディアを絞り出さなければいけないのがなんともいえないです。


ぶっちゃけ、強い魔法使いのキャラクターは所持している魔法の解釈を考えるのがめっちゃ面倒くさいです。

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