二十二話 少年の変貌
あけましておめでとうございます。
クッソ短いですが、前回の事件から主人公がどんな変貌を遂げたのか早めにお見せしたくて、短いながらも投稿です。
100日目。
ただ白いだけの地平線が続く世界。
戦いのためだけにあつらえられた空間に、勝利を求める男がいた。
「お?今日はしっかりと戦うんだな、坊主」
口角を上げ、男は嬉しそうな笑みをうかべる。
「しかし悪いな。100日目の状態の俺じゃ、色々と能力を制限されていてな。まあ、ガチンコバトルは500日目の楽しみにしといてくれ」
そこまで言って、男は異変に気づいた。
男が相対するのは、前回の遊戯の500日目で打ち破ったいつぞやの少年。
年齢的には青年と定義される年頃ではあるのだが、あまり発育が良くないのか、どうにも青年と表現するには体格が少々不適切だ。
そんな少年なのだが、纏う雰囲気が以前見た時と大きく違っていた。
まるで一切の光を見出せない、その心の絶望をつぶさに表わしたかのような瞳。
凍り付いたように微動だにしない表情は、それは全てを諦めた落伍者のごとく。
それでもどこか餓狼のごとき飢えを感じさせるような。
「ほぉ……なんかあったのか、坊主」
前に見た時よりも、俺好みだぜ。
そんなことを思いながら、男は拳を構える。
以前に比べると手札の枚数は非常に少ない上に、切り札も使えない。
だが、それでも男は容易に負ける気はなかった。むしろ勝つ気でさえいた。
「いくぜ、坊主…っ!」
能力が制限されていても、男を最も象徴する魔法は健在である。解釈による二次的、三次的魔法は使えなくても、これさえあればどんな存在にだって打ち勝ってみせる。
それは勝利する魔法。相手のあらゆる全てを上回る魔法。
男は意思を高め、魔法を―――
――戦いたくない。
それは誰の心情だったのか。
男には理解できなかった。ただ、男もいつの間にか同じように考えていた。
戦いたくない、と。
だから、魔法は発動しなかった。男の心は瞬間的にとはいえ、戦いそのものを拒絶するような心情だったのだから。
――これは、相手の心に干渉する魔法かっ!?
待て、逃げることが本質であった坊主の魔法が、どうしてこんな……。
グシャッ
気づけば、男の頭は何らかの手段で完膚なきまでに破壊されていた。
思考はある程度脳に依存する。つまり、頭を潰せば大抵の人間の思考は止まる。
思考が止まれば、魔術も魔法も発動できない。だから、潰した。
残酷だが、非常に合理的な選択肢であった。
元々、100日目のボスのステータスは少年に大きく劣っている。
初手で相手の速さを上回るように魔法を使わなければ、そのままステータスの差でごり押しされる程度には、基礎能力が大きく離れているのだ。
その魔法の初動を潰されたのは、致命的であった。
故に、男は敗北した。
グラリと。頭を失った男の死体が傾く。
その様子を少年はただ見つめていた。
ドシャッ!
死体が倒れ、粒子となり消えていく。
「……」
どこか、迷いや悲哀を浮かべた少年の瞳。
少年は一度目を瞑った。
再び少年は目を開く。
そこには最初と同じように、深い絶望を表わした瞳があった。
ふと、少年は男の死体があった場所に宝箱が現われたことに気づいた。
宝箱を開けると、中には上位魔術書が入っていた。
<上位魔術書【変貌】を獲得>
【変貌】……。
少年は【変身】の魔術を習得している。
ほぼ被りである。下位魔術書では結構な被りを体験してきた少年であるが、上位魔術における被りは初めてであった。
散々だ……。
少年はため息をついた。
≪リザルト≫
○100日目ボス勝利報酬(1d6)
結果【4】魔術書
1.アイテム
2.装備
3.スキル
4.魔術書
5.武術書
6.???
<100日ボスなので、上位魔術確定!>
○品質(1d100)
結果【8】+【幸運】スキルバフ(5)+【座敷童子の祝福】バフ(9)
⇒最終判定【22】悪い
○悪いとは?(1d3)
結果【3】効果が被っている
1.使えない 2.習得済み 3.効果が被ってる
<上位魔術書【変貌】を獲得した>
一つの出来事を通して心境が変わった人物が、少し時間が経過したことになって、その間滅茶苦茶成長して無双をするのとか見るのが、バトル漫画っぽくて私は好きです……。




