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二話 少年の日常

この作品のテーマの一つに、主人公のほのぼの(?)とした日常があります。できるだけ実際の生活感がある日常を描写したいものです。


このお話では日本など、現実に存在する国は出てきません。主人公が住んでいる国は和国といい、日本ではないのです。もしうっかり実在する地名が出ていたら報告をください。それは作者のうっかりです。


主人公のイメージですが、無表情のジト目ショタって感じです。まあ、ショタというほど身長は低くないですが、高校生の平均よりは結構低いです。


よく分かりませんが、自分の好きな属性を主人公にぶち込むことが多いので、私の作る主人公はだいたい無表情ジト目がデフォルメになります。


あまり表情は豊かではありませんが、背景のエフェクトは表情豊かな感じ?(意味不明)


あと、アホ毛が表情豊かです。今流行(?)のサイコミュアホ毛。なお、本人も自覚しているので、学校に行くときは固めのワックスでアホ毛を固定しています。

 朝。


 あなたは目を覚ます。


 月曜日の朝6時、いつも通りの時間にあなたは起床した。


 あなたは自分の記憶にある出来事が夢だったのか確かめるため、携帯を見てみる。



<メニュー>



 どうやら夢ではなさそうだ。


 ということは魔法書を読んだ時の反動に耐えられなくて、自分は死んだのだろうか。


 それなら、遊戯中の出来事で良かったと心底安堵する。


 現実で読んでいたら本当に死んでいたかもしれない。


 あなたはぐぐっと伸びをして、息を吐いた。


 そして数秒ぼーっとする。


 ぼー。


 ……起きなきゃ。


 布団から起き上がり、顔を洗うなど、朝の身支度をする。それが終わったら、朝食の準備をするために台所へ向かう。


 昨晩に炊いておいたご飯と卵、醤油を用意し、卵かけご飯にする。


 醤油をかける量が、卵かけご飯には重要だ。多ければしょっぱいし、少なければただのぬるっとしたご飯だ。このさじ加減が、一日のあなたの生活の質を左右するだろう。多分。


 ちょろろ。


 醤油をかけ終え、スプーンでご飯をまぜる。


 あなたは卵かけご飯において、お米ごと混ぜて食べる派だ。


 そして、お茶漬けや卵かけご飯を食べる時は、基本的に箸ではなくスプーンを使って食べる。なぜならその方が食べやすいからである。


 ぱくり。もむもむとご飯を咀嚼する。


 今日の卵かけご飯は……


 ――おいしい!


 今日は一日楽しい気分で過ごせそうである。


 あなたは朝食を済ませた。


 鼻歌を歌いながらあなたは洗い物を済ませ、干していた洗濯物を取り込み、たたみ、しまう。


 育てている植物に水をやり、手入れをする。


 育てている植物はガジュマルといい、根っこが人のような形をしている面白い植物だ。


 以前適当に街をぶらついている時に、店頭で運命的な出会いをした。


 あなたはこの奇妙な根っこの造形を、なんとなく気に入っていた。


 さて。


 何もすることがなくなったあなたは携帯を取り出しつつ、立ち上げたPCで動画サイトからゲーム実況などの動画を見つつ、日課のソーシャルゲームへのログインとデイリーミッション、スタミナの消化を済ませる。


 何らかのキャンペーンで、一日一回10連ガチャが無料になっているソシャゲ―があると、あなたは普段よりもワクワクしながらアプリを開くことになる。


 今日の戦果は…


 ――クソである。爆死であった。


 ガチャ結果はグロ画像。


 キャンペーンだから実質ノーダメージ。適当な言い訳を脳内で反芻(はんすう)しながら、あなたはこの世の不条理を嘆いた。


 やはりガチャは悪い文明です。


 だいたいすることがなくなったあなたは、例の遊戯のアプリを開く。




<ステータス>


<エーテル交換所>


<ランキング>


<プレゼントボックス>


<ヘルプ>




 どうやら新たに追加されている項目があるようだ。あなたは試しにそれを開いてみることにする。




<ランキング>


<一位 水瓶 999日>


<二位 Alejandra 9日>


<三位 无 9日>










 ランキングを見て、あなたは首を傾げた。


 これに表示されている日にちはおそらく生存日数的なものだと予想できるが、あなたは初日に魔法書を読んでからの記憶が一切無い。


 もしかして第二の自分が目覚めたとか、魔法が暴走したとか、何かおかしなことがあったのだろうか。


 とりあえずあなたはステータスを見て、魔法が習得できたのか確認することにした。




【ステータス】

水瓶 LV1326

種族:人間

力:+0

体:+2

技:+4

感:+3

知:+4

速:+12

魔:+44

心:+42


残りポイント:13250

エーテル:10000E


≪魔術≫

【火矢】

火の矢を飛ばす。威力は魔力に依存する。


≪魔法≫

秘密基地アジト

自分だけの次元へ飛ぶ。




「????」


 異常なレベルの高さにあなたは驚く。


 あの後何があったんだろう。


 あなたは不思議に思うが、考えても解決し難いことなので、あなたはそれを考えることを放棄した。


 それはともかく、魔法を習得していたことにあなたは驚く。


 自分だけの次元とは何だろうかという疑問はさておき、なんとなくだが魔法及び魔術は使おうと思えば使える感覚があなたの中にはあった。


 しかし、あなたは特に追究することもなく、次の遊戯で試せばいいとこの件は保留にした。


 自分だけの次元というよくわからないところに行った瞬間死んでしまう懸念があったため、死んでも戻ってくることができる遊戯の時に試そうという判断だ。


 とりあえず。あなたはステータスポイントを振っておくことにする。




【ステータス】

水瓶 LV1326

種族:人間

力:+500

体:+752

技:+2004

感:+1003

知:+2004

速:+3012

魔:+4044

心:+1042


残りポイント:0

エーテル:10000E




 何が重要なステータスになるか分からない中、情報なくステータス配分を決めてしまうのは迂闊な判断かもしれないが、あなたにとってこの神々の遊戯はただのゲームでしかなかった。


 深く考えていないし、真剣みも少ない。


 このことがあなたの今後に大きな影響を与えるということを、この時は想いもしなかったのだ。

































 違和感に気づいたのは、あなたがいつも通り学校へ行き、一時間目の授業を受けていた時である。


 世界史の教科書を開き、教師の説明する声を聞きながら流し読みをする。


 驚くことに、あなたはそれだけでその教科書の読んだ範囲全てを完全に暗記できてしまった。目を閉じて暗唱することもできるだろう。


 一応、あなたはこの驚きの現象に心当たりがあった。


 あなたの現在の知のステータスは2004だ。


 もしあのステータスが遊戯中だけでなく、現実世界でも継続して保たれるものなら、この現象もおかしいものではない。


 しかし、あなたはこんなことが起こるとは一切考えていなかった。


 二時間目の数学の授業。三次方程式、普段はそこそこ時間をかけて解く問題をあなたは式を見ただけで答えを理解した。


 まるで1+1は見ればすぐに2だと理解できるように、あなたは数学の問題をすらすらと解くことができたのだ。


 あなたは少し自身の状態について思考を巡らす。


 体の感覚、思考の感覚は前とはそれほど変わっていない。


 現状を形容するなら、あなたの脳に別の何かが搭載されていて、考え事をするとそれが答えを出して提示してくれるような感覚だ。


 その力を引き出すトリガーは集中すること。


 同じく、今のあなたは集中すると時が止まったように感じる。


 おそらく3000ほどある速のステータスの恩恵だろうか。集中して時計を眺めていると知覚が極端に加速され、秒針がいつまで経っても動かない。


 さらに恐ろしいことに、あなたは集中すれば空気中のウィルスや菌なども目視できるようになっていた。これは感のステータスのおかげだろう。


 つまり、現在のあなたは超人と化していた。


 その事実に内心で非常に驚いていたが、その驚きで心が乱れることは一切無い。


 どうしようかと、あなたは冷静に思考することができた。


 この冷静ささえも、おそらく心のステータスの恩恵だろうか。


 だからこそ、あなたはその次の展開を考えることができた。


 おそらく、今後世界はとても面倒なことになる。


 まだあなたの力ステータスが生む破壊力や、魔ステータスが生む魔術の威力を試していないから正確な予想はできないが、少なくとも現状の社会は大きく変化する。


 ランキングを見るに、あなた以外にもプレイヤーが世界中に72人は存在するのだ。


 遊戯が今後どれくらい長く続けられるかは分からないが、レベルが上がりステータスを振り分ければいずれあなたと同じような力を持つ者が現われるだろう。


 いや、現状でも存在していたっておかしくはないとあなたは考えた。


 自分がよく分からない幸運で不相応なステータスを授かったのだ。自分のように幸運な者が他にもいないと考えるのは、不適切であろう。


 あなたはプレイヤーが与えうる影響力を考察する。


 自身のステータスを参照にすると……。


 知のステータスを2000振るだけで、その人物は科学者として前代未聞の業績を残すだろう。


 なぜなら昼休み、あなたは現状の知のステータスの効果を検証するため、図書室で科学系の本を読みあさったのだが、そこから得た知識だけであなたは本にも記述されていないような様々な理論や技術が脳裏に浮かび上がってきたのだ。


 このように高いステータスを得たものたちが本気で力を振るえば、おそらく社会で技術革新が何度も起きることになる。


 その際に起きる社会的混乱、また遊戯参加者を国の管理下に置く動き、はたまたは遊戯参加者が戦争に利用されたら。他にも遊戯参加者が力に溺れて天災と化す可能性もある。


 あなたの頭の中にいくつもの面倒な可能性が思い浮かぶ。


 様々な可能性が見えるようになるのは、それはそれで憂鬱なのだとあなたは実感することになった。


 心穏やかな幸せな日常、それがあなたの願いなのだが、どうにも頭に浮かび続ける懸念はそれとかけ離れたものばかりだ。


 まあ、問題が近づいたら考えればいいか。


 あなたは考えるのを止めた。


 今は手持ちの情報が少なすぎて、実現する可能性をまともに追っていたら数千数万通りときりがない。


 絞り込む情報をもっと集めなければ。


 あなたは今後訪れるだろう様々な出来事に憂鬱になるが、勉強をする時間を趣味にまわせるようになるからいいかな?と無理矢理ポジティブに気分を考える。


 今日は美味しいものでも食べよう。


 放課後。学校からの帰り道で、あなたはそんなことを考えた。




























 (すき)家。家の近くにある、あなたがよく行く牛丼屋である。


 あなたはアパートで一人暮らしをしており、自炊の技術をさして持っていないことから、このお店のかなりの常連だ。


 あなたはそこで夕食を食べることにした。


 注文したものは大根おろしにポン酢をかけた、おろしポン酢をトッピングした大盛りの牛丼に、サラダと味噌汁がついたサラダセットだ。


 おろしポン酢は美味しい。


 もともとあまり肉!といった脂身感?が少ない牛丼、言い換えると、他の肉料理に比べると、煮ることで肉の脂身が落ち、少しあっさりとした風味があるのが牛丼だ(個人の意見だが)。


 それでも確かにある牛肉の脂身をよりさっぱりとしたものに変えつつ、牛丼のタレと調和しながらも、肉の美味しさを引き立てるポン酢の風味。それが最高に牛丼にマッチしている。


 つまりはあれである。うまい(語彙喪失)


 牛丼のトッピングは色々とあるが、あなたは全体的にさっぱりとしたものが好みだ。


 なお、二郎系のラーメンも好みであるため、あなたの好みは一言では言い表しづらい。重要なのは気分なのだろう。


 完食後、ふとあなたは自分の体に疑問を抱く。


 大きい力を扱うには大量のエネルギーが必要になる。


 スーパーコンピューターを動かすのには莫大な電力が必要だったりするように、知のステータスによって強化された現在のあなたの高速の思考力を発揮するには、普通だったらたくさんのカロリーが必要になり、自身の食事摂取量は莫大なものとなるのが道理なはずだ。


 しかし実際あなたの食事量は前と変わらない。


 なら、脳を動かす、知のステータスを働かせるエネルギーはどこから持ってきているのだろうか。


 ……。


 まあ、どうでもいいか。


 やはり仮説を打ち立てても検証できないものは、考えるだけ時間の無駄だ。


 ごちそうさまと挨拶をし、あなたは息を吐く。


 あなたは人生をわりと刹那的に生きているが故に、あまり物事を深く考えることをしない。


 先のことを考えていない。面倒くさがり。そういった理由ではなく、あなたが自身の命を軽視しているからである。


 もし今ここで急に命を落としたとしても、あなたは驚きはすれども嘆きはしないだろう。あなたはそういう人間であった。


 あなたは家に帰宅すると、風呂掃除をしてお湯をためる。


 お湯がたまるのを待っている間に学校の課題、予習をすませる。本来そこまで早く終わらないのだが、超人化しているあなたのステータスを活かせば、課題などを迅速に片付けることができた。


 あなたは鼻歌を歌いながら風呂に入り終えると、電話が鳴っているのに気づく。


 携帯を手に取るとあなたは憂鬱になった。叔父からの着信だ。


 あなたは現在一人暮らしをしているが、これを叔父達に認めさせるまでに一悶着あったのだ。


 叔父自身が悪い人間というわけではないが、あなたは叔父のことが苦手だった。


 いや、そもそもあなたは他人の存在自体を苦手としているため、叔父のことが特別苦手というわけではない。


 事実、学校などで雑談をできるような人物は一人もおらず、あなたは基本一人ぼっちである。


『もしもし、緑か』


 あなたは肯定の意を示す。そして何か用があるのか尋ねた。


『ああいや、特に重要な用事があるわけじゃないんだ。今年のお盆はこちらに一度帰ってこないかという話だ』


 今は6月序盤。そろそろ梅雨入りの時期だが、随分気が早いとあなたは考えた。


 いや、先に言っておくことで予定が入ったからキャンセルという手段を潰したのだろう。


 来年度にある受験のために、どこかの塾の夏期講習を受けたい。だから行けない。そんな言い訳を思いついたが、あなたは中学生くらいから農家になりたいと主張していたので、そういった言い訳はやや不自然だ。


 自立していれば即座に嫌だというつもりなあなただが、あなたの社会的な立場はまだ子供である。


 公的な書類には親の判子や署名が必要であり、ここで変に角を立てれば面倒になる。


 あなたは渋々了承の意を伝えた。


『そうか、待ってるぞ』


 通話を切る。


 ため息。あなたは面倒なことになったと考え、布団に寝転がる。


 時計はまだ夜8時であり、あなたの普段の就寝時間にはほど遠い。


 ゲームでもするかな、とあなたは家庭用ゲーム機の電源を付ける。


 遊ぶのはFPSゲーム。オンライン対戦で遊ぶことにする。


 夜11時。あなたは三時間ゲームをプレイして気づいた。


 今のあなたがゲームを全力でやるのはあまり楽しくない、と。


 ステータスのせいで集中すれば知覚が加速するので、この時点でまずあなたを倒せるプレイヤーがほとんどいなくなる。


 さらに技ステータスで得られる器用さで操作においても圧倒し、感ステータスのせいで直感がひどく冴え渡り、相手の行動が全てなんとなくで予想できる。


 さらに戦略面さえも充実させる知ステータスのおかげで、勝負を楽しむことができなくなるほど、あなたのプレイは他者を圧倒することになってしまった。


 そんな状況でも楽しさを求めるというのなら、あえて適当にやるか、ハンデをかけまくる縛りプレイしかない。


 FPSゲームは銃を撃ち合うゲームなのだが、楽しむためにナイフ一本で敵を虐殺しまくるのはなんだか違う気がする。


 あなたは困っていた。


 自分より強い人に挑むのが好きだったのに、これでは楽しくない。


 上達する技量や一矢報いるあの感覚が楽しくてやっていたゲームが、楽しめなくなってしまった。


 あなたはため息をついて、明日から運要素が強いゲームをしようと決める。


 その後、あなたはすぐに就寝した。一体どのステータスが影響しているかは分からないが、布団に入って寝ようと思ったらすぐさま眠ることができた。


 こうして、超常の力を得た初日は幕を終えた。いずれ確実に訪れる混乱をあなたは予見しながらも、今のあなたは穏やかに眠ることができたのだった。

実は最初に、主人公以外が魔法を持つかという判定はしています。結果はランキング的にご察しください。たぶんダイスの女神様が俺TUEEEEを望んでいるんじゃないですか?


それと、プレイヤーがどの国に所属しているかという判定も既にしています。ミサイル撃ってくる国とかに所属していたら面白い展開があるかなと思ったんですが、それはなかったようですね。所属している国とその強さは決めているので、ランキングネームはその国のものに基づいてつけています。

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