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カミカゼエース先輩の話をしようと思う  作者: BNorider
「S先輩との再会」編
1/17

前編

現在42歳のおっさんブロガー。元々このネタは自分のブログに投稿していたものですが、こういったオカルトネタはいまいちウケがよくなかったため、こちらへ重複投稿してみることにしました。


なお、本文は今から5年前の当時37歳だった頃に経験したことを元にフィクションで話を展開していきます。おっさんブロガーの昔話に付き合っていただければ幸いです。


しばらくはブログと重複投稿となると思いますがご了承ください。

 それは’08年8月頃の話だった。

 実家がある地元で開催された町内会の夏祭りに遊びに行った時、ばったり中学時代の部活の先輩であるSさんと会った。実はS先輩とは自分が大学時代の先輩でもあり、会うのは大学を卒業して以来だから十数年ぶりくらいになる。

 そしてひさしぶりに会ったということで、どこかに遊びに行こうという話になり、S先輩が一つ提案してきた。


「ちょうどいい時期だし、きもだめしに行かねーか?」


 それを聞いて自分は正直困った。自分はオカルト系には比較的興味があったが、ネットで怖い話を読むことはあっても、実際にオカルトスポットに行くのは嫌いなタイプだったからだ。

 最初は断るつもりでいたのだが、そこは後輩という弱い立場ゆえ断りきれず、半強制的に連れて行かれることになった。


 自分はオカルトスポットには全然詳しくなかったが、S先輩が案内してくれるという。

 そこでお互いに一旦自宅に帰った後、その日の23時ごろにS先輩が自分の車で迎えに来てくれ、2人で地元のオカルトスポットへ向かうことになった。

 そして迎えに来てくれたS先輩の車を見てちょっと驚いた。


「これ今年出たばかりの最新型のクラウンアスリートですよね。しかも一番いいグレードじゃないですか?」


「へへへ。いいだろこれ。ついこの前やっと買ったんだよ。車のスタイルももちろん気に入ってるが、もっと気に入ってるのはスマートキーなんだよ。おまえスマートキーって知ってるか? これ持ってるだけで、キーを使わなくともドアロック解除や、エンジンをかけられるんだぜ。もうこれに慣れたら、普通のキーじゃめんどくさくてな」


 スマートキーなら自分も知ってる。これ確かにすごく便利なんだよな。

 今でこそ軽自動車にすらスマートキーが普通になってきているが、当時自分はヴィッツに乗っていて、ヴィッツはキーレスエントリーしかなかったので、すごくうらやましかった。

 ただ車高が微妙にどky、いやいや、これ以上は触れないでおこう。

 そうこうしているうちに目的地である○○沼というオカルトスポットに到着し、S先輩がこう言った。


「水場ってのは霊が集まりやすいんだよ。だからここは昔からそういう曰くありげな話が結構あってな。特に今はお盆で、どこぞのご先祖様もご降臨なさってるだろうから絶好の時期だぜ」


「いやいや。別に集まってきて欲しくないです。こんなところ怖いからとっとと帰りましょうね」


「何言ってんだよ。今日はここでオカルト現象に出会うまで野宿するつもりだから、覚悟しとけよ」


 ちょ、そんな話聞いてないっすよ。

 そうだ。昔からこの人はそうだった。こっちの意向などおかまいなしで、全部自分で決めちゃう人だった。すっかり忘れていた。


 ここでちょっとS先輩の紹介をしておくと、自分は中学時代バスケ部に入ってて、S先輩は自分より1コ上。

 そしてS先輩のバスケの攻撃スタイルが、とにかく相手チームの陣地に強引に突っ込んでいって点を取るというスタイルで、時にはあまりにも無謀すぎる突っ込みのせいで自爆することも多々あったため、当時はS先輩の頭文字を取って『カミカゼエス』というあだ名で呼ばれていた。

 ある意味皮肉とも取れるあだ名だったのだが、S先輩はそんなことは意に関せず、それどころか『カミカゼ”エス”じゃかっこ悪いからカミカゼ”エース”と呼べ』という、これまた本人の強引な言い分で、みんなにカミカゼエースと呼ばせていた。


 そんな人だったため、大学時代にばったり会った時はびっくりした(ほんとに自分は知らなかった)のと、中学時代の先輩、後輩という間柄ゆえ、なにかとパシリ? 子分? いやいや、自分はそうだったとは認めたくないぞ。まぁ、そんな関係(とりあえずみなさんのご想像にお任せします)で大学時代は”とても楽しく”過ごさせてもらいました!


 話は戻って、S先輩はこれまたちゃっかり自分の分だけ、寝るとき用のタオルケット用意していた。

 泊まるつもりなら、最初に誘った時に言っておいて欲しかった……。


 沼のそばには大きめの公園があるおかげで広い駐車場も用意されていたが、さすがにこんな深夜に明かりもないような駐車場に止まっている車などいなかった。

 S先輩は沼が一望できる一番眺めがいい場所を選んで、沼に向かって前向きに車を止めた。

 沼の水面から駐車場までは高さ10mくらいあって、駐車場の柵から先はすぐ崖になっている。

 そしてその柵も、見た目にとても頼りない細い柵なので、周りが暗いと柵がまったく見えず、より一層怖い。

 で、よりによってS先輩はよく沼が見えるようにと、柵のぎりぎりまで車を寄せて止めた。


「ちょ、S先輩あまり前に進むとやばいですよ。落ちますよ」


「大丈夫だって。そんなヘマなんかしねーよ。とりあえず車を降りてその辺歩いてみるぞ」


 車を降りた後、沼のそばまで降りていける道を通って、水辺まで行ってみた。

 しかし今夜も蒸し暑い。そんな中、水辺周りをひととおり歩いてみたが、特に変わった様子もなかった。


「これだけ蒸し暑いと霊だって暑さでだるくて、わざわざ出てきて人間を怖がらせようなんて思わないですよ。だからさっさと車に戻りましょうよ」


「おまえ、ここに来たばかりで何言ってんだよ。まだまだこれからだっつーの。そのうちあちらさんからお出まししてくれて、しかもご丁寧に挨拶までしてくれるかもしれねーだろ? 今から楽しみにしとけよ?」


 いやいや、出て来て欲しくないし、ましてやご丁寧に挨拶されるなんて、まっぴらですから。

 結局それから小一時間ほど連れまわされることとなったが、相変わらず何も変化はなかった。


「まぁ、まだ朝までには時間もあるし、いったん車に戻るか」


「そうしましょう! 外にいると暑いですし、車のエアコンで涼みましょう!」


 自分は待ってました、と言わんばかりの勢いでS先輩に返事をした。

 そして車に戻ってきて、S先輩が車のドアを開けようとドアノブに触れたときに、ちょっとした異変が起きた。

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