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海辺の蝶  作者: 宮野 圭
3/8

たんじょうび

 パンッ! パパパンッ!


 紙吹雪を飛ばしながら、軽やかに鳴るクラッカー。


「誕生日おめでとー、テツ」

「もう六歳だなぁ。大きくなった!」

「へへへっ」


 お父さんと、お母さんに、お祝いしてもらって、ぼくは胸を張った。


 そう。今日はぼくの誕生日。今日で六歳になったのだ。

 だからぼくはもう、子どもじゃない。大人になったのだ。はっはっは~。


「テ~ツ君!」


 ふんぞり返っていたら、お父さんとお母さんが、細長い箱を持ってきた。


「あ、プレゼント! ありがとう、お父さんお母さん」


 そう言いながら、プレゼントの箱を奪い取った。

「こらっ」って聞こえた気がするけど、気にしない。だって、大人は小さいことをいちいち気にしないからね。


 ガサガサと音を立てながら、包装紙を剥がし、ちょっとドキドキしながら、ゆっくりとふたを持ち上げた。


「……!」


 中に入っていたのは、虫取網だった。

 柄の部分はキレイな緑色で、光が当たってキラキラしている。網の部分も、ただの白色じゃなくて、所々緑色の糸も使われているのか、とても綺麗だ。


 こんな虫取網、今まで一度も見たことない。


 ぼくはそっと虫取網を箱に戻すと、お父さんとお母さんを振り返った。


「お父さん!お母さん!ありがとー! だいすきっ」


 そう言って、二人まとめて抱きしめた。手が届かなくて、逆に二人に抱きしめられてるだなんて、そんなのきっと気のせいだ。



<海辺の蝶 たんじょうび>

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