表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

殺人者の女

作者: しき

星新一のショートショート風です。

久々に読んで気になったので書いてみました。

「やあ」

「どうも」

「今日は天気が良いですねぇ。実に素晴らしい朝だ」

「そういえばそうですね。気がつきませんでした」

「天気が良いのだから外に出てきているものだと思っていました」


男がそう言うと女は黙った。

男は終始無表情である。


「実は、さっき夫を殺したところなんです。だから気分転換にというかなんというか」

「ほう。それは落ち込みますなぁ。周りが見えなかったというのも分かります」

「今日がこんなに晴れていたら殺してはいなかったのに…。私は最初から周りなんて見えてはいなかったんでしょうね」


女はため息混じりに言うが、顔は血行の良い色をしているし悪びれた様子もなかった。


「それじゃあ、僕はそろそろ散歩を再開するとします。そんなに落ち込まないで。それではまた」

「さようなら」


やがて男が去ると女は頭皮をひっぱった。すると頭の後頭部の所が開いた。そこからマイクロチップを抜き取る。そして、ポケットにいれておいた別のマイクロチップを取り出すと、また頭に差し込んだ。


技術が進歩した世界では、自分の好きなロボットを作り結婚することが可能だった。

人間として生まれたものも自らの体をサイボーグにすることが当たり前になっていた。


女は結婚したロボットが飽きたと言い、その気に入らなくなった顔を切り裂き、使える部品だけを残してロボット製作所に持っていくところであった。ロボットが使っていたマイクロチップのデータは、自分のチップにコピーして初期化する。こうすることで、またチップは再利用できるし、自分の知識も増やすことができた。

朝の男も何度も殺しているし、他の人も数人は殺しているだろう。女も殺人者ではなくただの一般人だった。


2098年の天気の良い朝の会話には当たり前で日常であった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ