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そこは近代的な作りの大都市の中だった。日本というよりは西洋風の建物が多い。

沢山の人が行きかう中、俺は手を握ったり足を上げたりして動作の確認をする。

「思ってたより動きやすいんだな」

そして早速ウォッチャーを起動してメニュー画面を開いた。ゲームとしては基本的な装備であったりアイテムであったり色々な項目が並んでいる。

「ふーん。どこのサイトも似たり寄ったりな作りだな」

初期武器とアイテムを確認したあと、軽くこのサイトでのルールを流し読みする。

「あー、もうこういう細かいの苦手なんだよなー。ま、どこのサイトも大体おんなじようなもんだし、適当でいっか。しっかし初期装備が木刀とか……」

そんなことを一人ぶつぶつ呟いていると、急に誰かがぶつかってきた。まあ、こんな大通りのど真ん中で突っ立っていたらぶつかるのも当たり前だ。

「すみません」

途端に謝罪の言葉が口をついて出る。

だが、俺にぶつかってきたそいつはちらりと俺を一瞥すると

「ぼーっと突っ立ってんじゃねーよ、カス」

まるで吐き捨てるようにそれだけ言うと、何事もなかったかのように歩いていく。

俺は突然のことに絶句したが、慌てて振り返る。

「……は?」

俺は自分の目を疑った。

そいつは治療師の服を着た赤い髪の少女だったからだ。

「おいちょっと待てよ!」

確かに突っ立っていた自分も悪いが、それにしても言い方っていうものがある。俺はその辺のことに関しては親から口うるさく言われていたためどうしても許せなかった。

俺の手がそいつの肩を掴もうとしたところで突然横から腕を掴まれ引っ張られる。それは俺よりも体格が大きな男で筋力で劣っていたため抵抗することが出来なかった。

「あぶねぇな。お前、新顔か?」

「いきなり何なんだよ、あんた」

俺が掴まれた腕を振り払いながら言うと、男はため息をついた。

「お前、あの女にちょっかいかけようとしてただろ?」

「ちょっかいっていうか、注意をしたかっただけだ」

「……物知らずってのは怖いねぇ。いいか、ここでプレイしたかったらあの女にだけは関わっちゃいけねぇ」

「は?」

「三度は言わないぞ。あの女にだけは関わるな。自殺行為だ」

「……っていうか、そういうお前は何者なんだよ?」

「あ、俺? 俺はロックだ。新人支援ギルドに所属している一般PCだよ。ほら、CSキャラクターシート

「キャラクターシート?」

俺が首を傾げると、ロックと名乗った男は呆れ顔で俺を見た。

「おいおい、そんなことも知らないのかよ?」

ロックは自分のウォッチャーを操作したあと、俺にメニュー画面を開けと言ってくる。

「ほら、これがキャラクターシート。通称CSだ。まあ、簡単に言ってしまえば名刺みたいなもんだな。ほら、ここに書いてあるのが俺のキャラクターネームと現在のレベルだ。あとはこのゲーム内だけでしかつかえないメールアドレスだな」

俺のメニュー画面を見ながらロックは細かく説明してくれた。

「お前、初期設定もしてないみたいだな。まるっきりの初心者かよ。いいか……」

俺が口を挟む暇も無く、ロックは色々なことを教えてくれた。それどころか、やりやすいように感単に設定をしてくれる。

「……まあ、初期設定はこんなところかな。後で自分でカスタマイズできるから慣れたらやってみな」

「あ、ああ……ありがとう」

「後は戦闘に関する説明ってところだな」

ロックが説明に入ろうとしたところで突然辺りが騒がしくなった。

何事かと見ると、さっきの赤髪の少女を中心に人だかりができている。

少女の前には数人の男たちが重なって倒れている。

「な、何だ……?」

少しすると、倒れた男たちの身体が虚空へと掻き消えた。

少女はそれすら見ることなく、人垣をその存在感で割りながら歩いていく。

「何だ……今の?」

「……あっちゃー、今日の目標達成失敗だな」

「は?」

「いや、こっちの話だ。で、さっきの話の続きなんだが、このゲームでは他のサイトのゲームと違って町中でもPC同士の戦闘可能となっている」

「町中での戦闘が?」

「ああ。大抵こういうネットゲームっていうのはプレイヤーキルを禁止していたり、町中での攻撃等は禁止っていうルールが主流だが、このゲームは違う。どこでも戦闘可能なんだ」

「それが、さっきのあれか?」

俺が、男たちが倒れていた方を指差すと、ロックは頷いた。

「でも、それじゃあ周りのPCが巻き込まれたりしないのか?」

「そうだな。じゃあ、試しにやってみようか。お前、名前はナギトだったよな。ナギト、そのウォッチャーのメニュー画面からターゲット選択画面を開け」

「わかった」

「画面を開いたら近くにいるPCの名前が表示される。一応CS交換したのは俺だけだから俺以外のPCのレベルは開示されていないはずだ」

確かに、ロックの言うとおり表示されているキャラクターネームにだけレベル30という表示が出ている。

「そこに表示されているネームの一覧から俺の名前を選んで決定キー押してみな」

ロックに言われた通りにすると、『戦闘開始しますか?』という表示が出てきた。

「そのまま決定キーだ」

「わかった」

すると、決定キーを押した瞬間に周りの景色が一変する。

風景は同じなのだが、周りにいたPCが俺とロックしかいなくなっており、色が藍色のように一色になっている。

「ここは……」

「ここはバトルフィールドだ。戦闘開始するとこういった空間に飛ばされる。途中で空間が切れてるが、ま、表示されている空間がPCが動けるところってところかな」

「へぇ……」

「ちなみにバトルフィールドでどれだけどんぱちやっても建物や地面には何の影響もないから安心しな。もちろん、本来その場にいるPC、NPCにもな」

俺はバトルフィールドの建物を触ってみた。ただの背景かと思ったらちゃんとしたオブジェクトだった。

「ま、バトルフィールドとはいえ背景は同じだからな。町でもフィールドでもどこで戦闘をしかけるかも勝ち抜くためには重要になってくる。ま、基本的な戦闘はメニュー画面で確認できるから後でよく読んでおけよ」

「教えてくれないのか?」

ロックは少し渋ったようだが、少し考えた後答えた。

「……んー、ま、いっか。じゃあ、お前、今から俺と簡単なクエストやってみるか?」

「クエスト?」

「ああ。どの町にもあるいわゆるクエストを専門に扱ってる店だ。通称よろずや。クエストから一般PCの依頼の斡旋まで請け負ってる」

「PCからの依頼?」

「ああ。例えばレアアイテムが欲しかったら、よろずやに依頼して依頼料を払えば請け負ってくれるんだ。まあ、それくらいならPC同士での交換だったり売買もできるんだがな。ま、とりあえず行こうぜ」

そういったわけで、俺は突然知り合ったロックというPCと行動を共にすることになった。



ちょっとだけ書いたので上げます。あまりシステム面の説明は詳しく描写しませんのでもしわかりにくかったらごめんなさい。

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