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第一章 佛國品(2) 体育会系言葉でブッダを賞賛してみる

 

 於是長者子寶積即於佛前以偈頌曰……


 そこへ500人の若者のリーダーである宝積が、みんなの注目する中でブッダの前へ出て、偈頌(即興の詩や歌のようなもの)を唱えた。


 他の経典でも偈や頌はよく見られるけれど、この時代、宗教関連の質問をするときはこういう形で問い掛けるのか礼儀だったのでしょうか?

 ともあれ、宝積がなんと歌ったのか……正確な翻訳は学者か宗教家に任せて、ここではだいたいの意味だけ追ってみましょう。


「♪青い蓮華の葉のように目を浄め各種の禅定によって心を浄め

  長いこと浄い行いを修めて無量の人々を導いて

  いま、このような物凄い奇跡を他の世界にまで見せた

  凄い世尊ヴァガボン(もっとも尊い人)を、敬い礼拝するっス。(なぜ体育会系言葉?)

  今、世尊がこの小さな傘の下に、三千大千世界を、

  天竜ナーガディーヴァの宮殿、乾闥婆ガンダルヴァから夜叉ヤクシャまで

  すべての生き物まで包んでしまったこと(つまり救いの教えをそこまで広げたということ)に

  みんなごっつ喜んでるっス。

  いま、ダルマ(救いの教え)の王である大聖(ブッダ)を見るに、

  浄らかな心ですべてを見て、心は動かずは落ち着いてるっス

  この世の法則から離れた世尊がみんなの前で行ったこの神力を見たことで

  一言でも教えを聞けば、各々に応じた理解ができるっス

  この世の法則から離れた世尊の言葉の神力によって、

  一言でも教えを聞けば、各々に応じた理解ができるっス

  この世の法則から離れる修行をさせていただける神力によって

  一言でも教えを聞けば、みんなビビりあるいは大喜びするかするっス

  あるいは生を離れあるいは疑いを断つ神力でこの世の法則から離れ

  十力によって精進(努力)を続け何者をも畏れることのない先生を敬うっス

  すでにこの世の法則から離れていて全ての生き物の先生である先生を敬うっス

  全ての生き物を束縛から断ち悟りの世界へ到らせる先生を敬うっス

  世の中の、生きたり死んだりする苦しみから永遠に離れた先生を敬うっス

  先生は世の中の人々と一緒にいても全ての法(真理)を得て解脱してるッス

  泥水の中に生えた蓮が泥に汚れていないように常に「(くう)」を体現して

  全ての現象から関わりを断ち、望むところも頼るところもないもない

  そんな先生を敬うっス!」


 さて「(くう)」という言葉が出てまいりました。大乗仏教、特に般若思想で非常に重要な単語です。

 順番からいうとここでこの言葉を解説しなきゃならないとこですけど……残念ながら「空」の概念は大乗仏教の悟りを開かなければ正確には理解できないそうで、言葉で説明してわかるものでもなければ、筆者ごときに正確に解説できるシロモノでもありません。

 禅門や密教の方々はこの「空」を理解するために、瞑想し労働し苦行し行脚し断食し山篭りし、と、何年も修行するのでして。

 筆者も、多数の入門書やら経典やらを読んだけどよくわからず。山寺で20日ほど体験参禅させてもらった時や、彼女に心変わりされて心を落ち着けようと読経してみた時、あるいは恩師の死を送って悲しみにくれてたときに、ようやく「もしかするとこういう意味なんじゃなかろうか?」という想像が少々できたのみです。


 え、わかんなくてもいいから勿体つけずにとにかく説明しろ?

 それじゃ、古人の言葉をお借りして説明してみましょう!!


「空とは。有るのでもなく。無いでもなく。有かつ無でもなく。有らずに無くないものでもない。」

「色即是空(存在は空)、空即是色(空は存在)、是諸法空相(あらゆる法則の正体は空)」

「お前は、自分がどこから来たのかも知らないくせにどこへ行こうっていうんだ!?」

「もしう●こが出ても、それは本当はう●こではない」

「ゼロはいくつ足してもゼロ」

「…………」=☆ (言葉もなくいきなり棍棒でガンメン殴られ鼻血ドバッ!)


 …………etc,etc。


 これらが「空」の説明だそうですが……わかりましたでしょうか?

 本当にわかった人はその瞬間に悟りがひらけ、もう人生に苦しみも悩みも感じず、死への恐れも何かへの欲望もなくなります。

 でも言葉で考えれば考えるほど「空」はわからなくなる気がします。たぶん、言葉の説明を参考にしつつ体を使わないとわからないんじゃなかろうか……もしそうなら、武道やスポーツの基本技とちょっと似ていますね。

 筆者はまだ人生に苦しみも悩みもありまして、死ぬのはやっぱり恐い。さらに、美味いもん食いたいとかゼニ欲しいとかエロゲしたいとか周囲の人にはできるだけ幸せになってほしいとか「なろう」や「ノクタ」に発表した作品に感想と評価点をいっぱいもらいたいとか、そういう欲望があります。ということは、やはり「空」をわかってはいないのでしょう。(涙)

 「諸行無常(ゆく川の流れは変わらずしてもとの水にあらず)」という言葉がヒントになるそうですが、これは答えそのものではない。

 「空」について言葉でもっとつっこんでみたい方は、般若経とか禅の公案あたりでも紐解いてみていただきたく。


 え? わかんねえなら最初から説明なんかするな?

 どっちだよ!(涙)


 ともあれ「維摩経」は、この「空」という概念をテーマにしているようです。この話をじっくりと読んでくだされば、あるいは「空とはこんなようなものなんじゃなかろうか?」と想像できるようになるかもしれません。あるいはこの機会に悟りを開いて完全に理解してしまうかも(いや、それはないだろ;)。


 ……ということで閑話休題、気を取り直して物語を続けましょう!


 さて、宝積が偈を唱え終わり、ブッダに

「尊い方ッ。この500人の若者は、みな、菩提心(悟りを求める心)を起こしたっス。で、自分たち、『仏国土を浄める』ってどういうことなのか、知りたいんス。プリーズ尊い方、菩薩の皆さんが国土を浄めるとはどういうことか、説明をしてくださいっス」

 ブッダはそれに答え、

「いいぞ、宝積! なかなかいい質問だネ。それじゃ、気をつけて聞いといて、あとでよーッく考えなさい。宝積プラス500人、君たちのために説明しようじゃないの」

「はい、聞かせていいだくっス!」



 --- つづく!

 

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