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現代病

作者: 稜 リウ

読後感悪いショートショートです。

 僕はずっと困ってる。

 一体、何がいけなかったんだろう?

 居間にあるテレビから派手な声が聞こえた。ニートだの引きこもりだの、現代らしい特集の番組で頭の良さそうな人々が賑やかに討論している。

 そうやって語れるあなた達は平和で良いね、と思った。


 僕が家から出なくなったのは何年前だったろう。必死に記憶を手繰り寄せて、確か小学生の頃だったと思い出した。それから十年は優に過ぎたのだと思う。その間の期間というのは長かった気もするし、短かった気もする。時間の感覚もとうになくなってしまった。

 僕が家から出なくなって、母さんは一度家から姿を消した。何年かして帰ってきた母さんは老け込んで見えた。そして夜になると一人静かに泣くようになった。

 僕はただその背中を見つめるだけ。父さんは早い段階に家を出ていったから、母さんを慰める者はこの家のどこにもいない。

 僕のことを思って母さんが泣くのを知っている。ちゃんと愛を尽くして育てたのに何をどう間違えたのだろうと母さんが泣きながら呟いたのも聞いたことがある。

 けれど、もうどうしようもない。

 母さんは僕を愛してくれていた。今でもそう思う。僕の部屋には母さんが買ってくれた沢山の遊び道具が転がっている――それらはもう僕にとって興味の対象ではなく、触れることもないのだけれど。

 賑やかなテレビの番組が終わった頃、外は薄暗くなっていた。もうすぐ夜が来る。

 母さんは今夜も泣くのだろう。

 僕の遺影の前で。

 僕にはその姿を見つめることしかできない。子育てで心の病気になった母さんに殺された日から……ずっと。 

何年か前に書いたもの。暗いしよくあるネタでショートショートとして不出来だけど、せっかく書いたものだし当時の自分のために投稿。

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