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電話越しの少女

作者: 亡久むふ
掲載日:2026/08/27

夏といえば!そう…心霊なんですよ!


 満月が昇る真夏の夜の事。

高校1年生の璃音(りね)は部活帰りで遅くなっていた。

璃音は、夜遅く帰るのを嫌がっていた。

街灯は少なく基本暗闇で、夜はほとんど人気のない場所だから。

しかも高校では、メ(・)リ(・)ー(・)さ(・)ん(・)と言う都市伝説が流行っていた。

“もしもし…私メリーさん”

と言う合図と共に始まるメリーさんの追跡。

捕まると…死(・)ぬ(・)と言われていた。

メリーさんの電話が来るかも、たった一つの噂が璃音の恐怖心を余計に煽る。

 璃音がゴミ捨て場の横を通る。

ゴミ捨て場は、夜なのにもうゴミ袋の山が積み上げられている。

ゴミ捨て場には、少しヒビが入った西洋人形が一つ置かれている。

璃音が、人形の美しい瞳と髪に引き寄せられる。

気づいた頃には、人形を持ち上げていた。

見れば見るほど人形は美しい。

サラサラな金の髪、精巧に作られ璃音の顔を映し出す赤色の瞳、着せられている服もロリータ系統で可愛らしい。

見惚れたように人形を見つめていると、瞳が閉じる。

突然の瞬きに璃音は人形を投げ捨て家を目指し一目散に走り出す。

 家に辿り着くと、着替えもせずベッドへ入り込む。

掛け布団にくるまり眠りについた。

 璃音は、鳴り響く着信音で目を覚ます。

スマホを見ると画面には“非通知”と表示されている。

璃音は、恐る恐る電話に出てしまう。

[もしもし…誰ですか…?]

『もしもし…私メリーさん。

今…ゴミ捨て場にいるの。』

璃音は、スマホを投げ飛ばす。

恐怖の余り、声が出ない、脚も動かない。

逃げたくても逃げられないままベッドの上にいる。

 数分後、着信音が鳴る。

怯えてる璃音は、スマホを取れないでいる。

数秒後、着信音が止まる。

電話が切れたと思ったその時、

『もしもし…私メリーさん。

今…公園にいるの。』

璃音は、このままではいけないと思い。

壁に手を当て、震える脚を動かして勉強机へ向かう。

噂が本当なら、このままでいると死んでしまう。

 璃音は、ノートを開きメリーさんの通った二つの場所を書き記し、電話経路の予想を立てる。

{開始場所…ゴミ捨て場

2回目…公園

コンビニ……家}

璃音の家付近に目立つ場所は後コンビニしかない。

璃音は、鞄に財布、スマホ、モバイルバッテリー、ナイフ本当に最低限の物だけを入れ家を飛び出す。

 夜の道を走り続ける。

少しでもメリーさんとの距離をあけるため。

『もしもし…私メリーさん。

今…コンビニにいるの。』

着信音も無く、メリーさんの電話に繋がる。

璃音は、息を荒立てながら交番へ逃げ込む。

[あの!メリーさんに追われてて…!]

璃音の発言に警察は困惑している。

警察が心配そうな目で璃音を見つめている。

「いや…ね?メリーさんは都市伝説なんだよ…」

警察がそう言い残し、璃音を見捨てようとした。

『もしもし…私メリーさん。

今…璃音貴方の家の前にいるの。』

また、着信音が無く通話が開始されていた。

「本当なんですか…?

わかりました!貴方を誠心誠意守りましょう。

術すら持たない私でも…戦えます。」

この通話を聞いた警察は、半信半疑の状態だが味方をしてくれることになる。

警察は、警棒を構えて交番の入り口で待機する。

『もしもし…私メリーさん。

今…スーパーの前にいるの。』

メリーさんは徐々に近づいて来ている。

 数十分が経過した。

スーパーの後からも、5回ほど電話がかかってきた。

そして…

『もしもし…私メリーさん。

今…小学校の前にいるの。』

交番の一つ前の建造物にメリーさんが辿り着いてしまう。

「璃音さん…メリーさんがどう進むかは分かりません。

もしかしたら…交番の前を飛ばして、貴方の後ろに現れるかもしれません。

その時は、メリーさんの攻撃を一回は避けてください。

そうすれば、貴方を守れます。」

璃音は、静かに頷く。

 突如、打撃音が響く。

その音の数秒

"もしもし…私メリーさん。

今…貴方の後ろに来たの。"

スマホ越しではなく、背後から声が聞こえる。

璃音は、走り出す。

交番の前には、頭部の潰れた警察が倒れ込んでいた。

泣いてる暇はない、警察の死を無駄にしないために振り返ることは無く走り続ける。

“ねぇ…璃音知ってる?

メリーさんって朝になったら消滅するんだって!”

友達が言っていた一つの攻略法。

ソレを信じ続け走り続ける。

例え、脚が痛くなっても、呼吸が苦しくなっても走り続けた。

 徐々に月が沈み始める。

もう少しで朝になる。

太陽が上がり始め、街を徐々に陽光が照らす。

まだ…薄暗いでもあと少しで完全な朝になる。

璃音は、ギリギリまで走り続け途中で立ち止まり振り返る。

視界の先には、ゴミ捨て場にいた西洋人形と全く同じ見た目をしている少女がバールを握り追いかけて来ている。

[じゃあね!メリーさん…

もう朝だよ!私の勝ち!]

陽光が完全にメリーさんを照らす。

メリーの身体は粉々に砕け、霊気として消えていく。

一夜の逃走劇は、璃音の勝利で幕を閉じた。

 後日、死亡した警察は厚く弔われた。

たった一人の少女の逃走劇を成功させた英雄として。

 メリーさんに勝利した数日間、学校で璃音は怪異に勝った非術師として称賛された。

しかし、璃音は称賛を全て否定した。

[称賛すべきは私じゃない。

私を守った警察が一番強かった。]

そう、言い続けた。

 満月が昇る真冬の夜の事。

璃音は、懐かしのゴミ捨て場の横を通った。

ゴミ捨て場は、空っぽだった。

璃音は、その場に立ち止まり、ゴミ捨て場を眺めている。

すると、璃音のスマホが静かに鳴る。

画面を見ると非通知と表示されていた。

『もしもし…私メリーさん。

今…貴方の後ろにいるの。』

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