表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

最後のひとひら風になびいて

作者: 昼月キオリ
掲載日:2026/03/27



妻に先立たれた次の日。

ギンイチは縁側に座り、庭に植えられた色とりどりのチューリップをポーっと見つめていた。


腫れた目としわくちゃな手。

風になびく白い髪。


昨日まで君は隣にいた。


心にぽっかりと穴が空き、その隙間を風が駆けていく。


ミツが育てていたこのチューリップが全部枯れたら後を追おう。

そう思っていた。


数年が経ち、最後の一輪が残った。

 

赤いチューリップ。

君が一番好きな色だった。

この花が枯れて散るまで。

そうしたら俺は・・・。


けれど、一年経っても二年経ってもチューリップは枯れなかった。

ギンイチの時が止まったまま

三年、四年、五年・・・と過ぎていく。


そしてギンイチが亡くなったその日に

チューリップは枯れて散った。


止まっていなかったのだ。

ギンイチの中にある時計は確かに時を刻んでいた。

ずっと一人じゃなかったのだ。


後を追ったのはギンイチなのか。

それともチューリップなのか。


最後のひとひらが地面に落ちて

風に飛ばされた。


一匹の渡り鳥が茜色の空を羽ばたいていく。


最後の花びらは

どこへ向かうのか。

どこへ行くのか。

どこへ帰るのか。


きっと辿り着く先はギンイチと一緒だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ