4話 ルミナス
前回のあらすんじ
なんか新しいキャラがデタァ\(^o^)/
白く無機質な空間。対に置かれたふたつの椅子。
ここはどこだろう。
いつかどこかで、こんな景色を見た気がする。
意識だけがある。逆に言えば、意識以外がない。手の感覚も、足の感覚もない。どの方向に首を動かしても自分の体が見えない。
「それじゃぁ優希くん?あの日のこと、先生に話してくれるかな?」
その椅子に一人の女性がうっすらと浮かび始めた。茶髪で、白衣を着ている。
よく見えない。誰なのかわからない。でもきっと、無関係の人じゃないはずだ。
「ごめんなさい…………………」
また声が聞こえた。今度は幼い声だった。それと同時に、女性が座っている椅子とは反対側に子供が浮かび上がる。
「…………ごめんなさい」
子供は口を動かす。絞り出したような声を必死に吐き出し、生気のない目から大粒の涙を流しながら。
音と口に動きが上手く噛み合っていない。
誰?どうして謝っているの?
なんで泣いてるんだろう?泣く必要なんてないのに。
悪いのは全部父さんであるべきなんだから。
「………………………………」
ここはどこだろう?ここは、家だ。
なんだか変な夢を見ていた気がする。よく思い出せないが、思い出さない方がいいのかもしれない。
体中が痛い。全身酷い筋肉痛になってるみたいだ。
今、何時だろ?時計は、いやスマホがいいか。
優希は痛みに耐えながら枕元にあったスマホで時間を確認した。時刻は午後19時。あれから3時間程度しかまだ時間が経っていないみたいだ。良かった。それにしても痛い。よく見ると手が少しただれていた。
(なにがあったんだっけ……………怪獣にあってそれで…………)
あの時のことをしっかり思い出そうと、優希は記憶を巡る。
すると、下から誰かが上がってくる音が聞こえた。
基本的にベルゼは空を飛んでいて足音などでないため、ベルゼではないはずだ。
優希はドアの向こうを警戒し、冷や汗をかく。
考えたくない存在のことばかりが浮かんで、恐怖で体が震える。音が止まった。おそらく今、ドアの目の前にいる。
そのうちガチャりと音がして部屋の外からは
「あっ、起きた?」
水色髪の女性が入ってきた。背は、少し優希より高いくらいだろう。
その姿を見た時、曖昧になっていた3時間前の記憶が蘇ってきた。
あの時、あの時助けてくれた魔法少女だ。
ただし、目の前にいる女性はあの時の可愛らしい衣装ではなく、無地の白ティに藍色のワイドパンツを履いていた。
女性は、水色の綺麗な髪を左側に結び、アクアマリンを宿したような瞳で優希のことを見つめていた。その顔には心配や不安といった類いの感情が張り付いているように見えた。
「ごめんねぇ……勝手に家上がっちゃって…………あと住所も勝手に調べちゃったんだけど………」
女性は申し訳なさそうにそう言いながら、手に持った包帯や消毒液をベッドの横にあったサイドテーブルの上に置いた。
「あっ…………えっと」
「あっ、動かないで、君は安静にしてなくちゃ………傷口が開くよ」
女性が心配したような顔で放ったその言葉に優希は首を傾げる。
そんな大きな傷なんかあっただろうか?攻撃は当たらなかったわけだし…………
確認するように体中を見回すが、特に大きな外傷はない。あるとしたらやはり、手のただれくらいだ。
「外側じゃなくて内側の傷。無理に魔法を使ったせいで魔法管がぐっちゃぐちゃになってるんだよ……………………君、最近魔法少女になった新入りでしょ?いきなり大量の魔力を使うのはご法度だからね」
優希の不信感が現れた表情と視線に、女性はあきれ顔でそう説明する。だが、そんなことを言われてもいまいちピンとこない。
「魔法管がぐちゃぐちゃのままだと上手く魔法が使えなくなって、最悪爆発死するから、だいぶやばいよ?今の状況」
いまいち理解できていない優希の心情を察したのか、女性は補足をする。爆発死などという恐ろしい単語に優希は顔を引きつらせる。
「爆発死が嫌ならしばらくは魔法を使わないこと。あと、安静に」
女性はそう言いながらベッドを指さした。寝ていろということだろうか。優希は女性の指示に従い、再び体をベッドに沈めた。女性は優希の手を引き、ただれた部分に消毒液をかけ、手際よく手に包帯を巻く。
「……えっといろいろ………すみませんあの………あなたは」
「私?私はー……………ルミナス。あと、岩月 理沙………」
「…………?…………………?」
優希は口を半開きにして首を傾け、間抜けな面をさらす。女性は、優希のそんな反応に頭を抱え、唸り声をあげた。
「えっとね、魔法少女には魔法少女としての名前があってね、なんであるのかはよく分からないけど………………」
「でも…………………僕にはありませんよ?」
「君もそのうちわかるよ。私も自分の魔法少女としての名前を知ったのは、魔法少女になった一年後くらいだし…………」
優希はそうゆうものなのか、と完全なる理解はできないものの、その場をとりあえずしのぐために相槌をうった。
(あれ?そういえば……………………)
あることに気が付いた優希はあたりをきょろきょろと見まわす。
「どうしたの?」
「あ、えっと、僕と契約した妖精を探してて………………」
理沙の問いかけに答えながら、優希は不安な表情を浮かべる。別に迎えに来てと頼んだわけではないが、学校に迎えにも来なかったし、家にもいないとなると、もしかしたらベルゼも怪獣に襲われて、怪我を負ってしまったのではないかと不安になった。何となく、ベルゼが怪獣に負ける姿は想像できなかったが、不安になると不穏なことをとにかく考えてしまう。
「へぇ、契約した妖精と一緒に過ごしてるんだぁ、妖精は気まぐれだからなかなか一人だけの契約者と一緒にいるってことはないんだけど…………私の契約妖精も契約終わった瞬間どっか行っちゃったし」
「そうなんですか…………」
まぁ確かに、ベルゼはなんだか普通とは違う気がする。悪趣味というほどでもないけど、変り者ではある気がする。ベルゼ以外の妖精には会ったことはないが、何となくそんな気がしていた。なんだか何となくが多い気がするけど、案外なんとなくというのは当たっているものだ。
「そうだ!君の契約妖精が戻るまで、私が魔法を教えてあげようか?」
「えっ……………でも…………」
「だって何も知らない新人くんを放置したら大惨事になりそうだし……………さっきみたいに怪獣に襲われても対処できないでしょ?私がそうだったからさ、ほっとけないわけだよ」
理沙の提案は優希にとって悪くないどころかとてもありがたいものだった。でも、快く了解できない。なぜなら、優希は人と関わることが得意な方でもなく、好きな訳でもなかったから。
優希が迷っていると理沙は立ち上がり、ドアを開けた。
「じゃぁ明日も来るから!」
「えっ!?ちょっと待って!」
てっきり諦めたのかと思った優希は思わず大きな声で引き留める。その言葉に理沙は足を止め、優希のほうを向く。
「あっえっと……………」
断ろう。正直このテンションというか、テンポについていけない。
「あのっ……………」
だが、あと少し足りない。人の意見を否定したことも、反対したこともないものだから、なんと言っていいのかがわからない。理沙の青色のきれいな瞳がはっきりとこちらを見ている。
その瞳を見た瞬間優希はひとつ確信した。
「明日は学校だから、来るなら土曜日で……………」
自分には断れるわけがないと。
「おkー!わかった!じゃぁ今週の土曜日ね!」
そう言い残し理沙は一階へと降りていき、しばらくして玄関が閉まる音が響いた。
(はぁ……………うわぁ…………)
どっと疲れた優希は玄関の鍵を閉めたあと、トボトボと自分のベッドに戻った。
「優希君」
「うわっ!?びっくりしたっ!!」
ベットに入り、目を瞑ろうとした優希の目の前に、突然ベルゼが現れた。
「はぁ……もう……………もしかしてずっといたの?」
「いたっぷよ、ずっと。でもあの女、苦手な臭いがしたっぷから………………」
そんな特徴的な匂いをしていたわけでもなかったと思うけど、と優希は不思議に思い、目だけでベルゼに問いかけた。
「妖精は縄張り意識が強いんだっぷよ、どう見えてるか知らないっぷけど……………あの女からはほかの妖精の臭いがして不快だったっぷ」
明らかに不機嫌な声色でベゼルはそう答えた。珍しく圧がかかった声に驚きながら優希は相槌を打つ。
「まぁでも、同じ魔法少女から魔法を教わるのはなかなかいい経験になると思うっぷから、土曜日、頑張ってっぷ!!」
ベルゼの言葉に優希は大きくため息を吐いた。あまり人付き合いは得意なほうではない。不快にさせなければいいけど。
「ベルゼが帰ってきたから回避できると思ったのに………」
「がんば!っぷ」
ベルゼからのエールをもらった優希はひとまず今日は寝ようと、ベッドに横になった。
「電気消すっぷか?」
布団を自分に被せようとしている優希にベルゼはそう問いかける。その言葉にうーんと唸り声をあげながら優希は返事に迷っていたが
「怖いからヤダ」
と、小学生でも割と言わなさそうなことをはずがしげもなく言った。言い終わってから、自分の発言の恥ずかしさを自覚したが、言ってしまったものは仕方がない。
「おこちゃまっぷね」
「どっかの妖精のせいでね!」
ベルゼのどこか小馬鹿にしたような発言に、肝心な時に助けてくれなかったことへの怒りが急に湧きだし、優希は勢いよく布団を被りながら捨て台詞を吐き出す。そして目を瞑り、優希はあっという間に眠りに落ちていった。
ホタルイカって美味しそうだよね!だから(?)理沙兼ルミナスのキャラデザというか魔法少女衣装のモチーフはホタルイカになってるよ!ホタルイカ食べたい!




