第15話「♰四天王♰の存在を知って絶望した件」
♰聖なる森♰での夜は静かで美しかった。
焚き火を囲んで座る四人の間には、和やかな雰囲気が流れている。
「花子さんと♰記憶の共有♰ができて、少し安心しました」
太郎が微笑みながら言った。
「僕の作品を理解してくれる人がいるって、悪い気分じゃありませんね」
「私こそです」
花子が嬉しそうに答える。
「太郎くんと作品について話せて、本当に幸せです」
「よろしいですね」
エリーゼも笑顔だった。
「太郎様と花子様の絆が深まって」
「♰過去の絆♰が現実で結ばれる素晴らしい現象でした」
アルフレッドが感慨深く語る。
「しかし...」
急にアルフレッドの表情が真剣になった。
「そろそろ次の段階について説明しなければなりません」
「次の段階?」
太郎が首を傾げる。
「まだ何かあるんですか?」
「はい」
アルフレッドが重々しく頷く。
「聖典『♰終焉の黙示録♰』には、まだ続きがございます」
「続きって...」
太郎は嫌な予感がした。
「♰滅びの剣♰を手に入れたら終わりじゃないんですか?」
「いえいえ、それは序章に過ぎません」
アルフレッドが聖典を開く。
「真の試練はここからです」
「真の試練...」
太郎の顔が青ざめていく。
「具体的には?」
「♰四天王♰との戦いです」
アルフレッドがきっぱりと答えた。
「♰四天王♰!?」
太郎が絶叫した。
「何ですかそれは!」
「太郎様がお書きになった、♰闇の支配者♰の四人の部下たちです」
「部下って...」
太郎は記憶を必死に辿った。
「ああああああ!思い出した!」
太郎が頭を抱える。
「確かに四人のボスキャラを作ったことがありました!」
「そうです」
アルフレッドが聖典を読み上げる。
「まずは♰炎の支配者♰」
「♰炎の支配者♰...」
太郎は呟いた。
「僕のネーミングセンス、酷すぎる...」
「続いて♰氷の女帝♰」
「♰氷の女帝♰って...」
太郎の恥ずかしさが限界に達する。
「なんで僕はこんな厨二病全開の名前を...」
「♰風の覇王♰に♰土の守護者♰」
アルフレッドが続ける。
「♰風の覇王♰!?♰土の守護者♰!?」
太郎が絶叫した。
「やめてください!これ以上読み上げないでください!」
「でも、素晴らしい設定ですよ」
花子が無邪気に言う。
「♰四天王♰、私も大好きでした」
「大好きって...」
太郎は震えた。
「花子さんまで詳しいんですか?」
「もちろんです」
花子が明るく頷く。
「SNSでも♰四天王♰は大人気でしたから」
「大人気って...」
太郎の顔が真っ青になる。
「具体的にはどの程度の...」
「人気投票もありました」
花子が嬉しそうに語る。
「人気投票!?」
太郎が驚愕した。
「僕の作ったキャラで人気投票ですか!?」
「はい」
花子が無邪気に答える。
「1位は♰氷の女帝♰でした」
「♰氷の女帝♰が1位...」
太郎は言葉を失った。
「ちなみに2位は♰炎の支配者♰、3位が♰風の覇王♰、4位が♰土の守護者♰でした」
「順位まで覚えてるんですか...」
太郎は絶望した。
「ファンアートもたくさん描かれてましたよ」
花子が追い打ちをかける。
「ファンアート!?」
太郎が絶叫した。
「僕のキャラがイラストに描かれてるんですか!?」
「とても素敵な絵ばかりでした」
花子が嬉しそうに語る。
「特に♰氷の女帝♰のファンアートは美しくて」
「やめてください!」
太郎が手を振る。
「これ以上詳細を聞くと死んでしまいます!」
「でも、みんな太郎くんの創造力を讃えてましたよ」
花子が励ます。
「『♰四天王♰の設定が素晴らしい』『作者の想像力に感動』って」
「想像力って...」
太郎は複雑だった。
「中学生の妄想ですよ」
「妄想なんかじゃありません」
花子がきっぱりと否定する。
「♰四天王♰それぞれに個性があって、とても魅力的でした」
「魅力的って...」
太郎は恥ずかしそうにした。
「どんな風に魅力的だったんですか?」
「♰炎の支配者♰は熱い男気があって」
花子が目を輝かせる。
「『仲間のためなら命も惜しくない』っていう信念が素敵でした」
「男気って...」
太郎は照れた。
「そんなキャラでしたっけ?」
「♰氷の女帝♰は美しくて強くて」
花子が続ける。
「でも心の奥に優しさを秘めているという設定が完璧でした」
「完璧って...」
太郎は嬉しいような恥ずかしいような気持ちだった。
「♰風の覇王♰は自由奔放で、♰土の守護者♰は仲間思いで」
「仲間思いって...」
太郎は記憶を辿った。
「確かにそんな設定にした気がします」
「全員違う魅力を持っていて、本当に素晴らしいキャラクターでした」
花子が感動している。
「太郎くんの人物造形能力に感動しました」
「人物造形能力って...」
太郎は困った。
「そんな大げさなものじゃありません」
「でも、事実ですよ」
花子がきっぱりと言う。
「SNSのコメントでも『♰四天王♰全員に魅力を感じる』『どのキャラも好きになる』って書かれてました」
「全員に魅力って...」
太郎は複雑だった。嬉しいけど恥ずかしい。
「ちなみに」
花子がいたずらっぽく微笑む。
「♰四天王♰の薄い本もありました」
「薄い本!?」
太郎が絶叫した。
「やめてください!それは聞きたくありません!」
「でも、とても丁寧に描かれていて」
「聞きたくないです!」
太郎が耳を塞ぐ。
「太郎様」
アルフレッドが真剣に言う。
「♰四天王♰は聖典の設定に忠実に再現されているはずです」
「忠実に再現って...」
太郎は震えた。
「つまり、僕の書いた通りの性格で現れるってことですか?」
「その通りです」
アルフレッドが頷く。
「外見も、性格も、能力も、すべて太郎様の創造された通りに」
「外見も僕の設定通り...」
太郎は青ざめた。
「ということは、ファンアート通りの見た目ってことですか?」
「きっとそうですよ」
花子が明るく答える。
「みんなが想像していた通りの♰四天王♰に会えるんです」
「会えるって...」
太郎は絶望した。
「僕が作ったキャラと直接対面するんですか?」
「はい」
エリーゼが嬉しそうに答える。
「どんな方々なのか、とても楽しみです」
「楽しみって...」
太郎は頭を抱えた。
「僕にとっては恥ずかしさの極限です」
「でも、太郎様の創造されたキャラクターたちですよ」
アルフレッドが励ます。
「誇りに思うべきです」
「誇りって...」
太郎は苦笑いした。
「中学時代の妄想キャラに誇りを持てって言われても」
「妄想なんかじゃありません」
花子が再び否定する。
「素晴らしいキャラクターたちです」
「でも、恥ずかしいです」
太郎が正直に言う。
「自分の作ったキャラと話すなんて」
「きっと太郎くんのことを尊敬してくれますよ」
花子が励ます。
「SNSでも『作者様に会いたい』『♰シュバルツ・フェニックス♰先生にお礼を言いたい』って書かれてました」
「先生呼びって...」
太郎は震えた。
「♰四天王♰からも先生って呼ばれるんですか?」
「きっとそうです」
花子が頷く。
「みんな太郎くんを尊敬していますから」
「尊敬って...」
太郎は複雑だった。
「自分の作ったキャラから尊敬されるって、なんか変ですよね」
「変じゃありませんよ」
エリーゼが微笑む。
「太郎様は♰四天王♰の創造主ですから」
「創造主って...」
太郎は恥ずかしそうにした。
「そんな大げさな」
「しかし、現実問題として」
アルフレッドが聖典を閉じる。
「♰四天王♰との戦いは避けられません」
「戦いって...」
太郎は不安になった。
「本当に戦うんですか?」
「聖典によれば、♰四天王♰を倒さなければ♰闇の支配者♰のもとにはたどり着けません」
「♰闇の支配者♰...」
太郎はさらに暗い気持ちになった。
「♰四天王♰の後にはもっと恥ずかしいキャラが待ってるってことですね」
「はい」
アルフレッドが頷く。
「♰闇の支配者♰は太郎様の最高傑作のはずです」
「最高傑作って...」
太郎は絶望した。
「つまり、最高に恥ずかしいキャラってことですね」
「でも、きっと素晴らしいキャラクターですよ」
花子が励ます。
「♰闇の支配者♰も人気でしたから」
「人気だったって...」
太郎は頭を抱えた。
「もう何も怖くありません」
「怖くないって」
エリーゼが首を傾げる。
「どういう意味ですか?」
「恥ずかしすぎて、感覚が麻痺してきました」
太郎が苦笑いする。
「これ以上恥ずかしいことはないでしょう」
「まだまだありますよ」
花子が明るく言う。
「♰四天王♰のファンの人たちも、この世界にいるはずですから」
「ファンの人たちも!?」
太郎が驚愕した。
「つまり、♰四天王♰のファンクラブみたいなものがあるってことですか?」
「きっとそうです」
花子が頷く。
「SNSでも『♰炎の支配者♰推し』『♰氷の女帝♰が最高』って書いてる人たちがいました」
「推しって...」
太郎は現代的なファン文化に困惑した。
「僕のキャラに推しとか言われても」
「でも、愛されてるってことですよね」
花子が微笑む。
「太郎くんの創造したキャラクターたちが、たくさんの人に愛されてる」
「愛されてるって...」
太郎は少し嬉しくなった。
「それは...悪い気分じゃありませんね」
「そうでしょう?」
花子が嬉しそうにする。
「太郎くんは、たくさんの人に感動を与えてるんです」
「感動を与えてるって...」
太郎は照れた。
「そんな大したことじゃありません」
「大したことですよ」
エリーゼがきっぱりと言う。
「太郎様の作品で人生が変わった人もいるはずです」
「人生が変わったって...」
太郎は驚いた。
「そんなことあるんですか?」
「あります」
花子が真剣に答える。
「私も太郎くんの作品で人生が変わった一人ですから」
「花子さんが...」
太郎は胸がドキドキした。
「本当に?」
「はい」
花子が微笑む。
「太郎くんの書いた愛情表現を読んで、本当の愛って何かを考えるようになりました」
「本当の愛って...」
太郎は恥ずかしそうにした。
「そんな深い意味で書いたわけじゃないですよ」
「でも、結果的に多くの人の心を動かしたんです」
アルフレッドが感心する。
「これこそが真の♰四天王♰との戦いの意味かもしれません」
「戦いの意味?」
太郎が首を傾げる。
「太郎様が創造したキャラクターたちと向き合うことで、創造主としての自分自身と向き合うのです」
「自分自身と向き合うって...」
太郎は考え込んだ。
「まあ、逃げるわけにもいきませんしね」
太郎が深くため息をつく。
「分かりました。♰四天王♰と戦います」
「太郎くん!」
花子が感動している。
「さすが♰シュバルツ・フェニックス♰の創造主です」
「♰シュバルツ・フェニックス♰の創造主って...」
太郎は苦笑いした。
「やっぱり恥ずかしいですね、その呼び方」
「でも、誇らしい称号ですよ」
エリーゼが微笑む。
「はい」
太郎が決意を固める。
「♰四天王♰との戦い、頑張ります」
「まずは♰炎の支配者♰からですね」
アルフレッドが聖典を確認する。
「♰灼熱の迷宮♰に向かいましょう」
「♰灼熱の迷宮♰...」
太郎は再び恥ずかしくなった。
「僕のネーミングセンス、本当に酷いですね」
「素晴らしい名前ですよ」
花子が励ます。
「きっと♰炎の支配者♰も、太郎くんに会えるのを楽しみにしているはずです」
「楽しみにしてるって...」
太郎は複雑だった。
「自分の作ったキャラに楽しみにされるなんて、変な感じですね」
こうして、太郎たちは新たな試練に向けて出発することになった。
♰四天王♰との戦いという、更なる恥ずかしさの冒険が始まろうとしていた。
太郎の黒歴史との対面は、まだまだ続くのだった。
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