第14話「二人で黒歴史を共有する地獄の時間が始まった件」
「それにしても、花子さんが僕の小説の読者だったなんて...」
太郎は未だに信じられない気持ちだった。
「読者なんて言葉じゃ足りません」
花子が嬉しそうに答える。
「大ファンです」
「大ファンって...」
太郎は恥ずかしそうにした。
「どのくらい読んでくれたんですか?」
「全部です」
花子がきっぱりと答えた。
「全部!?」
太郎は目を見開いた。
「太郎くんが書き終えた分は全部読みました」
太郎の顔が青ざめる。たしか第3巻には特に恥ずかしいシーンが...
「あの...第3巻の内容って覚えてますか?」
太郎が恐る恐る聞く。
「もちろんです」
花子が明るく頷く。
「特に♰必殺技命名大会♰のシーンは印象的でした」
「♰必殺技命名大会♰!?」
太郎が絶叫した。
「やめてください!それは僕の最高機密です!」
「でも、とても面白かったですよ」
花子が無邪気に続ける。
「♰シュバルツ・フェニックス♰が『俺の必殺技を見せてやる!』って叫んで、♰超絶闇夜爆裂黒翼乱舞斬♰って技を繰り出すシーン」
「言わないでください!」
太郎は頭を抱えた。
「公開処刑です!」
「♰超絶闇夜爆裂黒翼乱舞斬♰って何ですか?」
エリーゼが興味深そうに聞く。
「気になります」
「絶対に説明しません!」
太郎が必死に止める。
「でも、花子様がご存じなら...」
アルフレッドも興味を示した。
「よろしければ教えていただけませんか?」
「はい!」
花子が嬉しそうに答える。
「やめてええええ!」
太郎の制止を無視して、花子が語り始める。
「♰シュバルツ・フェニックス♰が敵と戦ってる時に、『くらえ!』って叫んで繰り出す最強の技なんです」
「最強の技ですか」
エリーゼが感心している。
「それで、『♰闇の力よ、我に集いし♰』って詠唱をしながら」
「♰闇の力よ、我に集いし♰...」
太郎は穴があったら入りたかった。
「『♰黒き翼を纏いて、敵を葬らん♰』って続けるんです」
「なんて厳かな詠唱でしょう」
エリーゼが感動している。
「やめてください、エリーゼ」
太郎が懇願した。
「感動しないでください」
「でも、本当に格好いい技ですよ」
花子が続ける。
「最後に『♰超絶闇夜爆裂黒翼乱舞斬♰!』って叫んで、黒い翼で敵を一掃するんです」
「一掃って...」
太郎は複雑な気持ちだった。嬉しいような恥ずかしいような...
「特に、技の後の決めポーズが印象的でした」
「決めポーズ!?」
太郎が絶叫する。
「それは言わなくていいです!」
「あら、格好良かったのに」
花子がいたずらっぽく微笑む。
「片手を前に突き出して、『♰これが真の闇の力だ♰』って言うところ」
「やめてください!」
太郎は必死だった。
「どんな決めポーズですか?」
アルフレッドが興味深そうに聞く。
「学術的に興味があります」
「やめてください、アルフレッド!」
太郎が止めるが、花子は嬉しそうに答える。
「♰シュバルツ・フェニックス♰が片膝をついて、片手を地面に、もう片手を天に向けるポーズなんです」
「片膝をついて...」
太郎は顔を赤くした。
「それで『♰闇よ、光よ、全ては我が支配下にあり♰』って宣言するんです」
「詩的な表現ですね」
アルフレッドが感心する。
「太郎様の創造性が光っています」
「創造性なんてものじゃありません!」
太郎は否定した。
「中学生の妄想です!」
「妄想なんかじゃありません」
花子がきっぱりと言う。
「読んでいて本当にワクワクしました」
「ワクワクって...」
太郎はドキッとした。
「♰シュバルツ・フェニックス♰の戦闘シーンがとても詳細に書かれていて」
花子が目を輝かせる。
「まるで太郎くん自身が戦ってるみたいでした」
「自分が戦ってるって...」
太郎は慌てた。
「そんなわけありません」
「でも、とてもリアルでしたよ」
花子が微笑む。
「きっと太郎くんも、♰シュバルツ・フェニックス♰みたいに格好良く戦うことに憧れていたんでしょうね」
「そ、そんなこと...」
太郎は否定しようとしたが、言葉に詰まった。
「やっぱりそうですね」
花子が嬉しそうにする。
「私にも分かります」
「分かるって...」
太郎は困惑した。
「♰記憶の共有♰ですね」
アルフレッドが興味深そうに分析する。
「作者と読者の間に生まれる特別な絆です」
「♰記憶の共有♰って...」
太郎は首を振る。
「そんな大げさな話じゃありません」
「でも、他にもすごい技がたくさんありましたよね」
花子が続ける。
「♰煉獄業火龍王拳♰とか」
「♰煉獄業火龍王拳♰!?」
太郎が再び絶叫した。
「それも言わないでください!」
「『♰炎よ、龍と化して敵を焼き尽くせ♰』って詠唱が格好良かったです」
「詠唱まで...」
太郎は完全にうなだれた。
「それに♰氷結極寒絶対零度斬♰も印象的でした」
「まだあるんですか...」
太郎は絶望的な気持ちになった。
「『♰氷の精霊よ、時を止めよ♰』って叫ぶところが特に好きでした」
「好きって...」
太郎は混乱した。
「はい」
花子が微笑む。
「どの技も、とても工夫されていて感動しました」
「工夫って...」
太郎は胸がドキドキした。
「技の名前だけで、その威力や効果が分かるような素晴らしいネーミングセンスです」
「ネーミングセンスって...」
太郎は嬉しいような恥ずかしいような複雑な気持ちだった。
「確かに」
エリーゼが同意する。
「とても分かりやすくて、迫力もあります」
「エリーゼまで...」
太郎は困った。
「でも、これは小説の話です」
「本当にそうでしょうか?」
花子が首を傾げる。
「太郎くんも、こんな格好いい技を使ってみたいと思いませんか?」
「使ってみたいって...」
太郎は考えた。確かに、格好いい技への憧れはある。
「ちょっとは思いますけど」
太郎は正直に答えた。
「やっぱり!」
花子が嬉しそうにする。
「♰過去の絆♰です」
「♰過去の絆♰...」
太郎は困惑した。
「太郎くんは、無意識に自分の憧れを♰シュバルツ・フェニックス♰に込めたんです」
「無意識にって...」
太郎は驚いた。
「そんなはずは...」
「でも、どの技も太郎くんらしいですよね」
花子が指摘する。
「格好良さを追求してて」
「格好良さって...」
太郎は記憶を辿った。確かに、どの技も格好良さを重視していた。
「まさか...」
太郎は愕然とした。
「本当に自分の憧れを?」
「きっとそうです」
花子が嬉しそうに頷く。
「だから私、♰シュバルツ・フェニックス♰の技にとても感動できたんです」
「感動って...」
太郎は混乱した。
「まるで太郎くんの心の声を聞いてるみたいでした」
花子が語る。
「格好良くありたいっていう純粋な願い」
「願いって...」
太郎はドキッとした。
「憧れも」
「憧れ!?」
太郎は驚いた。
「はい」
花子が微笑む。
「♰シュバルツ・フェニックス♰の技への憧れが、とても自然に感じられました」
「自然に...」
太郎は胸がドキドキした。
「でも、恥ずかしいです」
太郎が苦笑いする。
「こんなに詳しく覚えられていると」
「恥ずかしがることありません」
花子がきっぱりと言う。
「とても素晴らしい技ばかりです」
「でも、SNSで何百人もの人が読んだんですよね」
太郎は青ざめた。
「ということは、みんなこの技名を知ってるってことですか?」
「はい」
花子が無邪気に頷く。
「♰超絶闇夜爆裂黒翼乱舞斬♰は特に人気でした」
「人気って...」
太郎は絶望した。
「SNSのコメントでも『この技名格好いい』って書いてる人がたくさんいました」
「たくさんって...」
太郎の顔が真っ青になる。
「『作者のセンスが光る』『こんな技を考える人すごい』って」
「やめてください!」
太郎が絶叫した。
「これは完全に♰恥辱の洗礼♰です!」
「でも、みんな本当に感動していました」
花子が再び励ます。
「特に『技名を真似して叫んでみた』ってコメントが多かったです」
「真似して叫んだって...」
太郎は震えた。
「まさか、そういう人たちも...」
「はい、きっとこの世界にいるはずです」
花子が明るく答える。
「みんな太郎くんの技の大ファンですから」
「技のファンって...」
太郎は頭を抱えた。
「恐ろしいです...」
太郎がガクガク震える。
「いつ『♰超絶闇夜爆裂黒翼乱舞斬♰!』って叫ばれるか分からない状況です」
「でも、みんな太郎くんを尊敬していますよ」
花子が励ます。
「『♰技名マスター♰』って呼んでる人もいました」
「マスター!?」
太郎が驚愕した。
「やめてください!そんな称号恥ずかしすぎます!」
「でも、みんな本当に尊敬しているんです」
花子が嬉しそうに語る。
「『こんな格好いい技名を考える人は天才だ』って」
「天才って...」
太郎は完全に言葉を失った。
太郎の恥ずかしい冒険は、まだまだ続きそうだった。
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