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第10話「♰運命の赤い糸♰が物理的に見える世界だった件」

朝日が♰聖なる森♰の木々を照らし、泉の水面がキラキラと輝いている。太郎は目を覚ますと、昨夜のことを思い出して顔が熱くなった。

「おはようございます、救世主様」

♰光の巫女♰が泉のほとりで微笑んでいる。朝日を浴びた彼女は、昨夜以上に美しく見えた。

「あ、おはようございます」

太郎は慌てて立ち上がった。なんだか昨夜から♰光の巫女♰と話していると、胸がドキドキする。こんな気持ちになったのは初めてだった。

「よくお休みになれましたか？」

♰光の巫女♰が優雅に首を傾げる。その仕草が可愛らしくて、太郎はまた顔が赤くなった。

「はい、よく眠れました」

「それは良かったです」

♰光の巫女♰がにっこりと微笑む。太郎は改めて思った。こんな美人と普通に会話している自分が不思議だ。

「救世主様、おはようございます」

エリーゼとアルフレッドも起き出してきた。

「おはよう、エリーゼ、アルフレッド」

太郎が挨拶すると、エリーゼが泉の水で顔を洗い始めた。アルフレッドは例のごとく♰終焉の黙示録♰を開いている。

「今日も良いお天気ですね」

♰光の巫女♰が空を見上げる。太郎も一緒に空を見上げた。青空に白い雲がぽっかりと浮かんでいる。

「本当ですね。こんなに綺麗な朝は久しぶりです」

太郎が素直に感想を述べると、♰光の巫女♰が嬉しそうに微笑んだ。

「救世主様がそう言ってくださると、森も喜んでいると思います」

「森が喜ぶって...」

太郎は苦笑いした。でも、♰光の巫女♰の言葉には不思議な説得力がある。本当に森が喜んでいるような気がしてくる。

「あの...」

♰光の巫女♰が少し恥ずかしそうに言った。

「はい？」

「昨夜はお話しできて、とても楽しかったです」

「あ、僕もです」

太郎は照れながら答えた。確かに昨夜は楽しかった。♰光の巫女♰と話していると、時間があっという間に過ぎてしまった。

「また今度、お時間がある時にお話しできればと思うのですが...」

♰光の巫女♰が上目遣いで見つめる。太郎の心臓が跳ねた。

「もちろんです！いつでも！」

太郎は思わず大きな声で答えてしまった。♰光の巫女♰がくすりと笑う。

「ありがとうございます」

二人が見つめ合っていると、エリーゼが顔を上げた。

「あ...」

エリーゼが何かに驚いたような表情をしている。

「どうしたの？エリーゼ」

太郎が振り返ると、エリーゼが目を丸くして二人を見つめていた。

「救世主様...♰光の巫女♰様...」

「何？」

「赤い糸が...赤い糸が見えます」

「赤い糸？」

太郎は首を傾げた。何のことだろう。

「え？どこに？」

♰光の巫女♰も不思議そうにしている。

「お二人を結んでいる赤い糸です」エリーゼが指差す。「とても綺麗な赤い糸が、救世主様の小指から♰光の巫女♰様の小指に繋がっています」

「えええええ！？」

太郎は自分の小指を見た。確かに何も見えない。でも、エリーゼの表情は真剣だった。

「ちょっと待ってよ、エリーゼ。赤い糸って、あの運命の赤い糸？」

「はい！まさに♰運命の赤い糸♰です」

エリーゼが感動した様子で言う。

「比喩じゃなくて物理現象かよ！」

太郎は叫んだ。運命の赤い糸なんて、普通は比喩表現だろう。それが実際に見えるなんて。

「あの...」♰光の巫女♰が恥ずかしそうに言った。「私にも見えます」

「えええ！？♰光の巫女♰さんにも見えるんですか！？」

「はい...とても美しい赤い糸です」

♰光の巫女♰が頬を赤らめる。

「俺には見えないのに！？なんで！？」

太郎は必死に自分の小指を見つめたが、やはり何も見えない。

「興味深いですな」

アルフレッドが♰終焉の黙示録♰を確認しながら言った。

「聖典にも記述があります。『♰運命の赤い糸♰は、純粋なる心を持つ者にのみ見える』とあります」

「純粋なる心って...」

太郎は複雑な気分だった。自分には見えないということは、心が純粋じゃないということなのか。

「そして、『糸の太さは♰宿命の絆♰の深さを表す』とも書かれています」

アルフレッドが学術的に解説する。

「糸の太さで愛の深さがわかるって...」

太郎は頭を抱えた。なんて恥ずかしい設定を考えていたんだ、中学時代の自分は。

「救世主様の糸は、とても太くて美しいです」

エリーゼが感動して言う。

「太いって...」

太郎の顔が真っ赤になった。つまり、愛が深いということなのか。

「本当ですか？」

♰光の巫女♰が嬉しそうに微笑む。

「はい！とても立派な糸です」

エリーゼが興奮して答える。

「立派って言われても...」

太郎はますます恥ずかしくなった。

「素晴らしいですな」アルフレッドが満足そうに頷く。「聖典の記述通り、救世主様と♰光の巫女♰様は♰魂の共鳴♰を起こしているということですな」

「♰魂の共鳴♰って何ですか？」

♰光の巫女♰が首を傾げる。

「お互いの魂が深く響き合っている状態です。運命的な出会いをした者同士にのみ起こる現象だそうです」

アルフレッドが解説すると、♰光の巫女♰が顔を赤らめた。

「そ、そうなんですか...」

「やめてくれ！」

太郎は叫んだ。

「恥ずかしすぎる！なんで俺はこんな設定を考えたんだ！」

「でも、とても素敵だと思います」

♰光の巫女♰が優しく微笑む。

「救世主様の心の純粋さが表れていますね」

「純粋って...俺、糸見えないよ？」

太郎が困惑していると、エリーゼが説明してくれた。

「救世主様は謙虚でいらっしゃるので、ご自分の心を客観視できないのです。でも、私たちには救世主様の純粋なお心がよく見えます」

「そういうものなのか...」

太郎は納得しきれないでいた。

「それにしても、本当に美しい糸ですね」

♰光の巫女♰が感嘆する。

「♰光の巫女♰様にも見えるということは、お心が純粋な証拠ですな」

アルフレッドが学者らしく分析する。

「ありがとうございます」

♰光の巫女♰が上品にお辞儀をする。太郎は改めて彼女を見つめた。確かに純粋そうだ。天使のような美しさがある。

「でも、なんで急に糸が見えるようになったんだろう？」

太郎が疑問を口にすると、アルフレッドが聖典を確認した。

「『♰運命の赤い糸♰は、真の出会いを果たした瞬間から可視化される』とあります」

「真の出会いって...」

太郎は昨夜のことを思い出した。確かに♰光の巫女♰と話していて、特別な感情を抱いた。

「昨夜、お二人がお話しされた時ですね」

エリーゼが嬉しそうに言う。

「あの時から糸が見えるようになりました」

「そうだったんですか...」

♰光の巫女♰が恥ずかしそうに微笑む。太郎も顔が赤くなった。

「つまり、聖典通りの展開ということですな」

アルフレッドが満足そうに頷く。

「素晴らしいです！」

エリーゼも嬉しそうに拍手する。

「みんな、そんなに喜ばないでよ...」

太郎は恥ずかしがったが、内心では悪い気はしなかった。♰運命の赤い糸♰なんて恥ずかしい設定だが、♰光の巫女♰と繋がっていると思うと、ちょっと嬉しい。

「救世主様」

♰光の巫女♰が太郎を見つめる。

「はい？」

「私、とても嬉しいです」

「僕も...です」

太郎は素直に答えた。確かに嬉しい。こんな美しい人と運命で繋がっているなんて、夢のようだ。

「あ、糸が光っています！」

エリーゼが興奮して指差す。

「光るの！？」

太郎は驚いた。

「はい！お二人の気持ちが通じ合った時に光るのでしょうね」

エリーゼが感動している。

「恥ずかしい...」

太郎は顔を手で覆った。でも、指の隙間から♰光の巫女♰を見てしまう。

「私も恥ずかしいです...でも、嬉しいです」

♰光の巫女♰が微笑む。その笑顔があまりにも美しくて、太郎の心臓がドキドキした。

「まあ、糸がまた光りました」

エリーゼが楽しそうに実況する。

「実況しないでよ！」

太郎が叫ぶと、みんなが笑った。♰光の巫女♰のくすくす笑う声が特に可愛らしい。

「しかし、興味深い現象ですな」

アルフレッドが学者らしく観察している。

「糸の色も変化しているようです。最初は薄い赤でしたが、だんだん濃くなっています」

「濃くなってるって...」

太郎は恥ずかしさで死にそうになった。つまり、愛が深くなっているということなのか。

「とても美しい深紅になりました」

♰光の巫女♰が感嘆する。

「深紅って...」

太郎はもう限界だった。

「あああああ！恥ずかしい！なんで俺はこんな詳細な設定を考えたんだ！」

「でも、素敵だと思います」

♰光の巫女♰が優しく言う。

「救世主様の豊かな想像力の賜物ですね」

「想像力って言わないでよ...」

太郎は泣きそうになった。中学時代の妄想が現実になるなんて、恥ずかしすぎる。

「ところで」アルフレッドが聖典を確認しながら言った。「次の章では、♰運命の赤い糸♰で結ばれた二人が特別な会話をすることになっているようですな」

「特別な会話？」

太郎が不安そうに聞く。

「はい。『運命の言葉を交わし、永遠の絆を確かめ合う』とあります」

「運命の言葉って何ですか？」

♰光の巫女♰が興味深そうに聞く。

「それは...」アルフレッドが聖典をめくる。「詳しくは次のページに書かれているようですが...」

「読まないで！」

太郎が慌てて聖典を取り上げようとしたが、アルフレッドが避けた。

「いえいえ、重要な情報です」

「お願いだから読まないで！絶対恥ずかしいから！」

太郎が必死に頼んだが、アルフレッドは既に読み始めていた。

「なるほど...これは確かに恥ずかしいですな」

「でしょ！？」

「しかし、美しい内容です。きっと♰光の巫女♰様もお喜びになるでしょう」

「やめてください！」

太郎は絶叫した。また恥ずかしいセリフを言わされるのかと思うと、気が遠くなりそうだった。

「大丈夫ですよ、救世主様」

♰光の巫女♰が優しく微笑む。

「どんなお言葉でも、救世主様からいただけるなら嬉しいです」

「そんなこと言わないでください...余計に恥ずかしくなる」

太郎は顔を真っ赤にした。

「あ、また糸が光っています！」

エリーゼが嬉しそうに指差す。

「もう実況やめて！」

太郎の叫び声が♰聖なる森♰に響いた。

「ふふふ」

♰光の巫女♰の楽しそうな笑い声が、朝の森に美しく響いていく。太郎は恥ずかしさで頭を抱えていたが、心の奥では少しだけ期待している自分がいることに気づいていた。

「次はどんな恥ずかしい展開が待ってるんだろう...」

太郎は小さくため息をついた。でも、その顔には小さな笑みが浮かんでいた。

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