エピローグ:それぞれの勝負を胸に
(舞台の照明がゆっくりと戻り、柔らかなアンバーの光がテーブルを包む。背景には「歴史バトルロワイヤル」の文字が金色に浮かび、しんと静まり返った空間にあすかの声が響く)
あすか(司会)(ゆっくりと立ち上がり、観客と対談者を見渡して):
「――こうして、すべてのラウンドが終わりました。
勝ちとは何か。負けに意味はあるのか。
スポーツと社会、そして、究極の勝負とは――」
(言葉を区切りながら、一人ひとりの顔に目をやる)
あすか:
「皆さんは、それぞれの立場で、それぞれの戦いを、静かに、時に激しく語ってくださいました。
そして私は、皆さんの言葉に、何度も胸を打たれました。」
(小さく深呼吸してから、少し笑みを浮かべる)
あすか:
「それでは、最後にひと言ずつ。
この対談を終えた“今のあなたの言葉”を、いただけますか?」
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ピエール・ド・クーベルタン
クーベルタン(椅子に深く座りながら、静かに):
「私はずっと、“スポーツは教育の延長”だと信じてきました。
けれど今日――“スポーツは命の声”でもあると、皆さんに教えられました。
理想は、現実と手を取り合って、ようやく輝くのですね。」
キング(柔らかく微笑んで):
「あなたの理想があったから、私たちは走れたんです。」
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モハメド・アリ
アリ(腕を組みながら、遠くを見るように語る):
「俺の勝負は、終わってねえ。
勝った日も、負けた日も、リングの外で声を上げた日も――
全部、“誰かの勇気”になってくれたなら、それが最高の勝利だ。」
武蔵(低く、はっきり):
「拳に込めた“覚悟”、確かに受け取った。」
アリ(笑って):
「ありがとよ、剣豪。今度は手合わせ……じゃなく、握手だな。」
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ビリー・ジーン・キング
キング(涙をこらえるように、優しい声で):
「私は今日、たくさんの“戦いの形”に触れました。
静かに戦う人、叫びながら立つ人、ただ黙って歩く人。
でも、どれも、美しかった。
“勝負”って、本当は誰かを倒すことじゃなくて、
“自分の中の諦め”を超えることなのね。」
あすか(静かに):
「その言葉……きっと、たくさんの人の“道しるべ”になります。」
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宮本武蔵
武蔵(眼を閉じたまま、ゆっくりと):
「剣を持たずとも、人は“戦い”を生きている。
拳を振るわずとも、誰もが何かと“勝負”している。
今日、そう思った。
――だから私は、今夜も“己”を斬る。
迷い、恐れ、慢心。
それを断ち、静かに歩む。
……それが、私の“勝ち”だ。」
(観客席からすすり泣くような静かな声。アリが軽く頷き、キングがハンカチを目元に当てる)
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あすか(深く一礼し、ゆっくりと語り始める):
「勝ちとは何か。
負けることに、意味はあるのか。
それは、たぶん、生きる限り、誰もが何度も立ち止まる問いです。
でも、こうして皆さんの言葉を聞いて、私は思いました――
勝ち負けは、“結果”じゃなく、“姿勢”なんだって。
“どう挑んだか”、
“どう立ち上がったか”、
“何を信じて進んだか”。
それこそが、“本当の勝負”なのだと。」
(声を震わせず、しかし胸に深く届く言葉)
あすか:
「皆さんの“戦い”に、心からの敬意を。
そして、これを見てくださったすべての方に――
あなたの“勝負”が、あなたの人生を豊かにしてくれることを、私は願っています。」
(あすかが一礼すると、4人の対談者もそれぞれ立ち上がり、客席に向かって一礼。スタジオ全体が静かに拍手で包まれる)
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(照明が少しずつ暗くなり、中央スクリーンに浮かぶ文字――)
《歴史バトルロワイヤル》
また、次の問いでお会いしましょう。
(静かに幕が下りる)