プロローグ:開幕、歴史を超えた勝負の対話
(照明が落ち、静寂がスタジオを包む。
やがて、中央から一筋のスポットライトが舞台に差し込む)
あすか(司会)(華やかで軽やかな声):
「ようこそお越しくださいました、時代と世界を越えた知と魂の競演――
『歴史バトルロワイヤル』、本日の幕がいよいよ上がります!」
(スタジオ奥に掲げられたバナーが、黄金の照明を受けてきらりと輝く)
あすか(笑顔で):
「私が進行を務めさせていただきます、あすかです。
文学と歴史の風をこよなく愛し、皆さまの“物語の声”に耳を傾けることを使命としております。
…まあ、たまに鋭く突っ込むこともありますけどね?」
(観客席から笑いが漏れる)
あすか:
「さて、本日のテーマはこちら――
『スポーツの勝ち負けを考える』。
勝利を求めることは人の本能でしょうか? それとも、“勝ち負け”を超えてこそ見える世界があるのでしょうか?」
あすか(間を置いて、語りかけるように):
「“勝つこと”がすべてなのか。“負け”には意味があるのか。
その問いを胸に、今日お集まりいただいたのは、歴史上の4人の猛者たち――
勝負の世界で、実際に戦い、考え、時代を揺さぶった方々です!」
---
【登場者紹介&一言コメント】
(スポットライトが対談席に順番に当たっていく)
あすか(優雅な所作で手を差し伸べ):
「まずはこの方――
近代オリンピックの父、ピエール・ド・クーベルタン!」
クーベルタン(椅子に腰を下ろし、静かに微笑む):
「スポーツは、国を越え、人を結ぶ“教育”の場です。
勝敗は通過点にすぎません。真に尊いのは――挑戦です。」
あすか(軽くうなずき):
「ありがとうございます。まさに“理想の体現者”ですね。
では続いて――
この男を知らぬ者は、この対談を聞く資格なし!
拳で世界を変えたチャンピオン、モハメド・アリ!」
アリ(立ち上がって軽く拳を突き上げて、笑顔で着席):
「俺は最高だ。だって、俺は勝った。勝ちまくった。
でもな、それ以上に大事なのは――何のために勝つかってことだ。俺は、それを拳で語ってきた。」
あすか(にっこり):
「“蝶のように舞い、蜂のように刺す”…そんな台詞、私も一度言ってみたいです。」
アリ(笑いながら):
「なら、蜂の役は俺に任せろ。ツッコミも刺すぜ?」
(再び観客の笑い)
あすか(流れるように手を伸ばす):
「続いてご紹介するのは、テニス界の革命家にして、女性のために戦い続けた闘士――
ビリー・ジーン・キングさん!」
キング(やや緊張気味に、それでも毅然と微笑む):
「勝つことがすべてじゃない。
でも――誰が勝てるのか、誰にチャンスが与えられるのか、そこにはいつも、社会が映っている。
私はラケットを持って、世界と向き合いました。」
アスカ(真剣な眼差しで):
「フェアな勝負のために、不公平と戦った先駆者。今日も、鋭いスマッシュをお願いしますね。」
キング(微笑して):
「任せて。どこにボールが来ても、返してみせるわ。」
あすか:
「そして最後にご紹介するのは…日本が誇る孤高の剣豪。
60余戦無敗、武の道を極めし“二刀流”――
宮本武蔵、いざ見参!」
武蔵(黙って軽く一礼し、静かに着席):
「勝つとは、斬ることではない。
心の中の、迷いを断つことだ。」
あすか(息を飲みながら):
「……言葉が刀のようですね。すでに、場の空気が研ぎ澄まされてきました。」
---
あすか:
「さて、今日のテーマ“スポーツの勝ち負け”について、すでに皆さん、それぞれの思いがあるようですね。
本音でぶつかり合っていただければと思います。」
アリ(腕を組みながら):
「俺は、勝ちがすべてとは言わねえ。でも、“勝った者だけが語れる言葉”ってのがある。
それを無視するのは、ズルいぜ?」
クーベルタン(冷静に):
「語る資格は、勝者にだけ与えられるものではないと、私は思います。
“努力”と“挑戦”に敬意を払う――それがスポーツです。」
キング(小さくうなずきながら):
「その言葉、救いになります。
でも、“勝たなきゃ注目もされない”って現実も、私はたくさん見てきました。」
武蔵(瞑目したまま):
「勝っても、己を見失えば、それは“負け”だ。」
あすか(目を輝かせて):
「まさに、“勝ち負け”を超えた視座が交錯する場になりそうです。
さあ、それでは――
歴史バトルロワイヤル、開戦です!」
(照明が切り替わり、ラウンド1への幕が上がる――)