14.狂気に満ちた
「あらあら。相打ちですか。名高き軍神が凡愚を相手に見っとも無い」
横たわる己が片割れを見下ろして、殺戮の女神は嘲るように呟いた。
血を分けた片割れとはいえ、優しく手を差し伸べてやるほどの情はない。
エニュオの手はクラウディアを愛でる為にあるのだ。焼死体一歩手前のみすぼらしい男を介護する為には使いたくもない。
それにどの道、この男が死ぬことはない。何人にも死を想像させないその強靭さこそ彼が最強たる所以だ。少し休んで体力が戻れば、勝手に転移でこの場を離れるだろう。
専らエニュオの興味は傍らで膝をついて座り込む赤髪の女に移った。
「……ぁ…………」
異界の少年の傍らで茫然としているアレクシア。
侮蔑に満ちていた女神の表情に愉悦の色が滲む。
強者との戦いを好むアレスと違って、エニュオは殺戮そのものを性とする。抵抗できないものを一方的に蹂躙するのが何より楽しい。骨肉が裂け砕ける音と十人十色の悲鳴による奏楽は、女神の心を満たす調べだ。
いまのアレクシアをさらに甚振れば、きっと極上の相好を見せてくれるだろう。
極彩色の粒子の中から、一体の戦乙女が顕現する。
エニュオが従える乱戦キュドイモス。主の目的意思に沿って動く自我を持たない傀儡の兵だ。
戦乙女が掲げる槍が、今まさにアレクシアの背を穿たんとする。
だが、粒子で形成された槍は彼女の右腕に阻まれて砕け散った。
「――ッ!」
彼女が纏っている貝紫色の粒子が、怒りに呼応して紺青色に侵食されていく。
そのありえない光景にエニュオは傍らのクラウディアを抱えて大きく後退した。
個人が魔法を扱う際に放出される粒子の色は、通常、術者本人の遺伝子によって変わる。エニュオであれば極彩色。アレスであれば薄紅色で、ユランであれば白縹色。晴馬とオリオンのような同一の身体に二重の魂という場合も、参照されるのは晴馬の肉体由来の遺伝子である。粒子には指紋や虹彩と同様に個人特有の色があり、二種類以上の色はない。
極彩色のような特殊な事例を除けば、基本的には一人一色だ。
常々食えない女だとは思っていたが、隠されていたのがこんなことだとは予想だにもしていなかった。
「どういうことでしょうね、これは」
エニュオは怪訝そうにそう呟き、己の周りに盾の乙女を出現させて万事に備える。
だが、
「なんか変。苦しそう」
アレクシアの様子を注視していたクラウディアが呟く。
放出された紺青色の粒子は渦巻くように滞留し、まるで意思を持つかのようにアレクシアの身体を取り囲んでいった。
粒子が濃くなるにつれてさらに呼吸は荒くなり、目は真っ赤に充血していく。
「ぁ……ぁぁっ……!」
慟哭というにはあまりに静かで、掠れるような声だった。
しかし、湧き上がる感情は確かにそれに値する。
――オリオンが、お父さんを。
怒りの中に浮かぶ幼き頃のアレクシアの声。
あの時も、こんな風に理不尽な力を無作為に振るって大勢の人を巻き込んだ。
父も友達も街の人もみんな死んで、ユランに拾われるまで私は一人ぼっちだった。
――こいつが、お父さんを……っ!
眼前に横たわるのはイチヤハルマという少年で、憎むべき仇敵ではない。
そう、頭では理解している。
しているのに。
私憤に染まった心が、理性を追い越してしまう。
アレクシアは震えながら右腕を振り上げた。晴馬に対して振り下ろすつもりだ。猶予は幾許も無い。それを直感したクラウディアはエニュオの腕を叩いて短く言う。
「あれ止めて」
「クラウディアは優しいねぇ」
「撫でてないで早く。エニュオも死なれたら困るでしょ」
クラウディアが急かすと、盾の乙女の一体が茨の騎士に変化した。
蔓が伸びて、アレクシアの身体を捕縛する。
だが、完全に理性を失った状態のアレクシアは、血が溢れるほどに棘が突き刺さろうがお構いなしに腕を振り下ろそうとする。
「なんて力の強い」
エニュオはさらに蔓の本数を増やして拘束を強めるが、アレクシアの動きが完全に止まることはない。火事場の馬鹿力にしてもにわかには信じられないほどの力だ。
主人がアレクシアの動きを抑制している間に、クラウディアは跳躍でもって彼女に近づいた。背後から首と振り上げた腕に神器を絡め、強引に引き剥がそうとする。
が、止まらない。言葉にならない叫びを上げるアレクシアの姿からは、落ち着く様子など微塵も感じられなかった。
「知性を飛ばしてしまっては仕方ありませんね」
エニュオはアレクシアに巻き付けた蔓から枝分かれさせた細い蔓を、彼女の身体に突き立てた。
細い蔓は皮下を通り、アレクシアの身体を侵食していく。
たとえ力を抑制する枷が外れていたとしても、靭帯や腱を損傷すれば人体は動けなくなる。暴れる彼女を抑えながらなのでとても外側からは狙えないが、内側から辿って断裂させることは可能だ。
本音を言えばさっさと殺す方がはるかに楽でなおかつ手っ取り早い。とはいえどうやら愛しい我が子はこの女が死ぬのが嫌な様子。ならば殺さず止める必要があろう。クラウディアの為になるなら多少の面倒など厭わない。もちろん、多大な面倒だって厭うことはない。それがエニュオ。殺戮とクラウディア限定溺愛の女神だ。
まずは振り上げた右腕を使えなくし、続いて左腕、両足と立て続けに蔓を伸ばしていく。
本来なら、蔓が皮下を通るだけでも失神級の痛みのはずだ。
そんな強烈な痛みさえ凌駕するほど、彼女が内に溜め込んだ負の感情が強いということでもある。
「流石に止まりましたか」
四肢の腱を断裂した後、エニュオは彼女の体内に入れた蔓を消滅させ、クラウディアも神器を外す。
クラウディアはアレクシアの名を呼んで、自分なりに出来る精一杯の言葉を掛けた。
「アレクシア、落ち着いて。その人はあなたの敵じゃない」
「そう言われて落ち着けるならこうも暴れていません。……まったく、腱を切られているのに元気なことです」
エニュオはゆっくりとアレクシアのもとまで歩み寄り、辟易とした様子で言った。
やや感情の起伏が激しいきらいはあるものの、エニュオの知るアレクシアは基本的に理性的な女だ。少なくとも人目も憚らず喚くような人間ではない。
それがいまは、だらりと腕を垂らしながら地面に座り込んで、はち切れるような勢いで叫び続けている。普段の姿とはあまりにもかけ離れすぎていて見るに堪えず、エニュオは蔓を彼女の口元に巻き付けて強引に口を閉ざした。
それよりもだ。
次いでエニュオは横たわりピクリとも動かない少年を見た。
クラウディアのお願いなのでアレクシアの制止を優先したが、本来の目的は異界の少年の身柄確保および彼に宿るオリオンの権能の奪取だ。
原則、死した魂は冥界の王ハデスの支配下に置かれる。死者の霊魂は『タルタロス』と呼称されるハデスの権能によって管理されており、仮にハデスと敵対する場合、すべての霊魂含めた死者の軍勢が相手となる為、奪取の難易度はオリオン一人を相手にするのとは比にならないほど跳ね上がる。
冥王との交戦となればアレスあたりは喜ぶだろうが、エニュオにとっては面倒極まりないことだ。その時間を使ってクラウディアの柔肌を優しく蹂躙する方が一千万倍重要である。
故に、既に虫の息で生きているかどうかも怪しい少年の手当てをしなければならない。
「パナケイアの権能で治ると思う?」
「訊く暇あるなら試して」
「権能の複製は貴重なのよぉ?」
「早くして。この人死んじゃう」
「普通ならとっくに死んでいる怪我。オリオンのおかげかしらね」
エニュオが手のひらから放出した極彩色の粒子が晴馬の身体を包み込む。
パナケイアは医療の神として知られるアスクレピオスの娘であり、医学の象徴とされる父アスクレピオスと違い、権能そのものが生物を癒す効力を持つ『癒しの神』として知られている。
彼女の権能は『治癒』という一点においては比類なき力とされ、父アスクレピオスの権能さえも凌駕する。
それとは、権能の使用者に専門的な医学の知識がなくとも、権能を発動した時点で患者の肉体の治癒が始まるというもの。
特に酷い腹の傷が、粒子に覆われて徐々に閉じていく。
とはいえ、エニュオが使えるのはあくまで複製された権能。オリオンのようにオリジナルを奪ったわけではないので、効力のほどはいくらか落ちる。その為、複製で出来たのは損傷した内臓や流れ出た血液の補填までで、腹に空いた穴までは完全に塞げなかった。
「あとは圧迫しておいて医者に見せましょう」
エニュオは晴馬の腹に蔓を巻き付けてそのまま持ち上げた。
口を塞いでいても喚くことを止めないアレクシアは放っておいて、エニュオはその場を後にしようとした。
これほどの騒ぎ。まもなく当局が到着するだろう。
事の大きさからして軍が出張ってきてもおかしくはない。アレスという荷物を抱えながらディオス軍とやり合うのは御免被りたいところだ。
エニュオはクラウディアを抱きかかえると、ちょうど喉に突き刺さった柄を引き抜いているアレスを見やった。その程度の力はまだ残されているようだが、立ち上がるほどの余力はないらしい。
「アレス、あなたは自力で逃げなさい。私とクラウディアは先に逃げますので」
「血を分けた家族を相手に……っ、冷たいなエニュオ」
「己の性に逆らえず大義を見失ったのはあなたよ。その瑕疵は私たちが補うものではないわ」
エニュオは冷たく言い放ち、晴馬とクラウディアを連れ立ってその場から離れ始めた。
地に倒れて天を仰ぐアレスと、立ち去るエニュオの背に唸り声を上げ続けるアレクシア。
数十メートルほど離れたところで、その声が途端に止んだ。
不審に思い、エニュオは身体ごと背後を振り返ると、眼前に迫る革の手袋が視界に広がった。
「な――っ!?」
紺青色の粒子を纏ったアレクシアが、右の義手でエニュオの顔を覆う。
驚愕の色に染まり一瞬固まったエニュオ。動けずにいる女神の顔を掴み、アレクシアは勢いのまま後頭部を地面に叩きつけた。
「にが、さない……っ! お父さんの仇――ッ!」
アレクシアは鬼のような形相でエニュオを抑えつけると、そのまま粒子を右腕に集中させ、一極集中の魔法を解き放とうとした。
――これを喰らうことは神であっても許されない。
エニュオはそう直感する。
すぐさま自分とアレクシアの間にキュドイモスを出現させ、彼女の身体を押し出すようにして引き剥がす。
寸毫の間があり、粒子がうねる。
土煙さえ上げない圧縮されたエネルギーの奔流。地面を深く貫いて穴を開ける。
その威力は、貝紫色の粒子の時とは比べるべくもない。
それを顔面で喰らいかけたエニュオは、寸でのところで回避に成功していた。極彩色の長髪が一部巻き添えを喰らって消滅してしまったが、アレの直撃を避けられただけでも運が良い。
焦燥感に満ちた表情のエニュオ。アレクシアを見つめる目の色が露骨に変わる。
なぜなら彼女が振るったその力は、エニュオもよく知るものだったからだ。
「その力はアルテミスの権能のはず。どうしてあなたが……?」
怒りに支配されたアレクシアがその問いに答えることはない。
貞潔の女神アルテミス。
かつてオリオンと共に中央諸国で難民救済に当たった女神で、紆余曲折の果てに彼と袂を分かち、その命を奪った張本人。
彼女の権能『消滅』は、その字義の通りあらゆるものを消滅させる。
今し方アレクシアが使ったのは『消滅』とまったく同じ力だ。
エニュオの複製魔法のようにオリジナルと比べて劣らないということは、あれは正真正銘アルテミスの権能。死ねば魂が摩耗しいずれ消え去る人間と違い、不滅の神を相手に完全な死を与えられる唯一の力だ。
これまで余裕を崩さなかったエニュオの額に初めて汗が滲む。
アレクシアは正真正銘の人間だ。神であるエニュオにはそれがわかる。故に彼女がアルテミスと同一人物であるという可能性は、少なくともエニュオの主観からは認められない。
粒子が放出されている上、放たれたのは魔法のはず。
しかしだ。現に彼女はアルテミスの権能を使った。
が、その理由を考えるだけの間をアレクシアは与えない。
「邪魔をするなァ!」
「――ッ、躊躇いもありませんか」
肉壁として召喚した盾の乙女が絹豆腐のように容易く姿が崩れる。
神さえ滅する比類なき力を怒りのまま振るう者を相手に近接戦は愚策の極み。エニュオは距離を取ってキュドイモスの複製で応戦する択を選んだ。
まずは持久戦を仕掛け、相手の消耗を待つ。
腱を切ったのに動けているのは、おそらく身体中に薄く纏う紺青色の粒子が理由だ。さながら糸操り人形のように外から強引に動かしているのだろう。その為、関節の動きが不自然で身体の動き自体にキレはない。
脅威なのは『消滅』と圧縮衝撃波による予測不可能な高速移動。
普通ならあれほどの怪我で身体への負担の大きい衝撃波による高速移動などしないが、経験上、怒りに飲まれた者の思考論理に通常の定石は通用しない。相手が盤面を斧で叩き割ってくることを前提に動くことこそが定石となる。
現にアレクシアは傷から血が噴き出すことも構わず、躍起になってエニュオの背後を取ろうと動く。
故にエニュオはとにかくアレクシアの姿を視界の内に捉え、盾の乙女で正面を固め続けた。
アレクシアの高速移動は極めて原始的なもので、背後へ回るにはどれだけ最短距離を取ろうとも二度の方向転換を要する。アレクシアの技量がどれほど優れていても、対個人の戦闘においてアレスよりも豊富な経験を持つエニュオが後れを取ることはけしてない。
だが。
「複製だけじゃ足りないわね……どうしようかしら」
消滅を相手に強度は不要。現在進行形で複製を急増してはいるものの、複製の作成速度を向こうの手数がわずかに上回っている。
権能を使うか。エニュオの中で迷いが生じる。
と、アレクシアの背後から影が迫る。神器の複製を装着したクラウディアだ。
唐突な少女の介入にエニュオは切迫した声を上げる。
「下がりなさいクラウディア!」
「下がらない。援護して」
クラウディアはアレクシアの両腕を神器の足で拘束すると、彼女の首に腕を回して力の限り締め上げた。
頸動脈を圧迫して酸欠状態にし、そのまま失神を狙う。
少々危険な方法だが、腱を切断しても暴走を止められないならば、もう意識を奪うしかない。
「まったくもう!」
エニュオに選択の余地はなかった。
アレクシアは既に右腕側の神器を消滅させている。次に消滅の対象に選ばれるのは左側の神器か、最悪の場合はクラウディア本人だ。彼女が右腕を動かす前に、腕ごと蔓で覆って地面と繋ぐ。
「……がっ、クラウディア……ッ!」
「お願いだから止まって」
「じゃぁ、まを……するなぁっ」
紺青色の粒子がさらに色濃く、その体積を増していく。
「――! クラウディア、離れなさい!」
右腕を掴んでいた蔓が一瞬で塵と化し、背後のクラウディアへと向けられる。
クラウディアの反応も速かったが、首を絞めていたせいで咄嗟に躱せない。
粒子が揺らぎ『消滅』が放たれる。
「クラウディア!」
悲鳴にも似たエニュオの叫び。
しかし、クラウディアが消えることはなかった。
なぜなら『消滅』が放たれる直前、クラウディアをかばうように何者かの腕が割って入ったからだ。
その何者かを排除しようと振り返ったアレクシアは、一瞬、動揺する。
交戦開始と同時にエニュオの拘束が解かれ、クラウディアによって路傍に寝かされていた壱夜晴馬が、左腕を犠牲にしてクラウディアを守ったのだ。
喉の奥から湧き出た血ごと奥歯を噛みしめて、晴馬はアレクシアの胸倉を掴んだ。
「――落ち着けェエ!」
そのまま彼女を引き寄せて、顔面目掛けて思い切り頭突きを見舞う。
昨日と同じように、仰け反りながらたたらを踏んで尻餅をつくアレクシア。追い縋るような形で晴馬も膝をつき、アレクシアの前髪を掴んだ。
たった一度、息をするにも地獄の痛み。
しかし、晴馬は怯まず腹から声を出した。
「俺は、誰だっ!」
「……オリオン」
「違う! よく見ろ、壱夜晴馬だ! オリオンは俺の中にいるだけ! 分離した後一緒に十発ずつ殴るって約束しただろ!」
晴馬の剣幕に圧倒され、アレクシアは言葉を失う。後ろでエニュオに保護されたクラウディアが「変な約束」とぼそっと呟いた。
変だろうが約束は約束だ。晴馬はもう一度同じ問いを投げ掛ける。
「アレクシア、俺は誰だ?」
「ハ、ハルマ……」
「そうだ、壱夜晴馬だ……わかったなら、落ち着け……」
言いながら、急激に脱力してアレクシアにもたれ掛かる晴馬。
気力だけで起きているのもそろそろ限界だ。腹の傷は少しだけ治ったが、新たに左腕を半分失い、無理に動いた結果出血も増えた。
オリオンが起きないと死ぬ。というか、起きても死ぬかもしれない。
それでも蠍の権能だけが、晴馬の命を繋ぐ唯一の道だ。
が、オリオンが起きる気配は一向になかった。
「た、助けて……ハルマが死んじゃう……」
晴馬の身体を抱きながら、幼い子供のように声を震わせるアレクシア。
「エニュオ。治して」
「パナケイアの権能はさっき使ったでしょう?」
「オリオンの権能取って」
「双方合意の上で譲渡できない以上、この子を殺さないと取れないわ。殺せばハデスの支配下に置かれる。それじゃあクラウディアは納得しないでしょう?」
「……」
打つ手なし。クラウディアは苦虫を噛み潰したように顔をしかめる。
と。
「あら?」
エニュオが空を仰いで声を出す。
続いてクラウディアも視線の先を追うと、白い御衣の女神がこちらへ向かって降りてくるのが見えた。
すぐ近くに降り立った女神ユランは、晴馬とアレクシアの姿を見るとすぐさま駆け寄り、死に体の晴馬と茫然自失のアレクシアを抱え上げてエニュオを睨みつけた。
「話は後だ、エニュオ」
「私はむしろ彼を守っていた側ですが」
「どうでもいい。早く病院行って」
クラウディアに急かされ、ユランは湧き上がる感情を噛み殺して飛び去る。
残された二人は、いつの間にか転移で消えているアレスのいた場所を見やり、短く言葉を交わした。
「今回はやりすぎだった。今後はアレスに任せちゃダメ」
「そうねぇ。加減を知らない愚か者には向かない仕事だわ」
その後、遠くから聞こえてきた当局のものらしきサイレンの音に気づき、エニュオたちもその場を後にした。




