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異能が内在するこの世界で赤月白摩は頑張ります。  作者: かざむき


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18/22

今日だけ生徒に戻りました。

 普段なら静かな高校の日曜日。部活動の声が聞こえてこない訳ではないが、平日に比べれば静かだろう。

 しかし、今日は違う。校内は人で溢れかえり、道端には生徒によって行われている屋台がある。たこ焼きにポップコーン、ベビーカステラにチュロス、その他様々、コンプリートは大変そうだ。


 今日は年に一度の文化祭。

 生徒の汗と涙と青春の結晶とも言えるほど、この学校の生徒はそれに力を入れている。生徒の熱気は凄まじく、その団結力はカリスマ率いる軍隊と比較できるほど。

 そんな中で、白摩はかなりのアウェー感を感じながら、看板を持って歩いていた。


「1年4組、お化け屋敷やってまーす!」


 隣には鬼の角付きこ白い長髪のカツラを被った白装束の風丸が歩く。

 二人は現在、4組の宣伝役として校内を練り歩いていた。


「なあ、この衣装本当に必要か?」


 白摩は腹に包丁が刺さったような衣装になっており、顔色もメイクで青くなっている。

 完全にクラスの出し物の手伝いをしているのだが、一応警備隊員として目は光らせてはいる。


 二人が元所属していたクラスの出し物の手伝いをしている理由は彼の元担任の田原伊作の言葉が原因である。彼の「いっそのこと、富岳桜さんも含めて、お前ら制服で来たら?」という言葉から話は一気に加速した。

 どうしてか、西夢はそれに結構乗り気であったらしく、彼女の(背中の後ろで拳を握りしめた)笑顔によって白摩はしぶしぶ了承した。

 白摩は却下されることを望みつつ赤崎と鵜張の二人に聞いてみたところ、二人は満面の笑顔で了承した。何なら任務を忘れて遊んできてくれてもオッケーとも言っていた。


 現在の役回りとしては風丸、白摩の二人は校内を回りながらの宣伝。西夢は入り口の前での客寄せパンダになっている。工業高校に女子は少ないので西夢を入口に配置したことで入ってくる人の数は大幅に増加していると言っても過言ではないだろう。


「剣道部に顔見せといた方がいいかね。」

「知らねえよ。校内歩いてたら先輩ともエンカウントするだろうしそれでいいんじゃないの? 真面目にやらなくてすいませんでしたって。」

「一応真面目にやってたんだけどな。なんかやる気でなくてさ。すいません! たこ焼30個頼んでた者です。」


 二人は適当に買い食いをし、特に美味しかったものを選んで差し入れとしてクラスに持っていくことにした。その他にもいろんなものを買っているので他学生から見れば豪遊も良いところであるが、二人は既に社会人。滅多に使わない金は結構な額が貯まっていた。

 結構な量であるが、二人は軽々とそれを持ち運んでお化け屋敷となった教室の休憩スペースに向かった。


「お前らたこ焼の差し入れだ。休憩してる奴から順に食えよ。一人一皿な。」

「社会人からの奢りだぜ。ありがたく頂きな!」


 二人が差し入れをすると、昼前というだけあって休憩スペースの男子生徒は大喜びし熱々のたこ焼を頬張った。火傷者が出たことは言うまでもない。


「ありがとう社会人。」

「俺お前らのこと見直したよ。」

「富岳桜さんってフリー?」

「あっつあっつあっつ!!」


 いろんな声が飛び交っており、風丸と白摩は一息つきながらとても懐かしい物を見る目をしていた。


「何、元気な若者をみるご老人みたいな顔してるのよ。」


 休憩に入った西夢は二人に声を掛ける。


「いや~、何と言いますか。青春って感じをひしひしと感じまして。」

「授業受けるだけって楽だなって。久しぶりに剣道で一本取られたくなった。」

「負けるんかい。」

「あたぼうよ。」


 くだらない会話をしている二人に西夢はため息を吐く。


「あの中には混ざらなくていいの?」


 西夢は騒いでいる男子生徒たちを見ながらそう聞いた。


「俺達は元から三人がデフォだったからな。」

「俺と白摩と龍太郎。昔から三人組で行動してたからな。俺達二人だけがウォルフに来たのはめっちゃレアケースだな。」

「つまり、三人組と言う名のボッチだったわけね。」


 西夢はため息を吐いてそう言った。


「ゼロだったわけではないぞ。仲良い先輩もいたし。」

「風丸。それじゃあ弱い。」


 白摩は風丸の方に手をおいて言った。ボッチの自覚は大いにあるのだろう。


「まあ、休憩時間になったんだし、見回りに行くわよ。」

「そうだな。あくまで仕事だしな。風丸行くぞ。」

「わかった。お前ら少し校内を回ってるぞ。」


 三人は休憩スペースを出て歩きながら、情報交換をする。


「怪しい人はいたか?」

「明らかに女子生徒を見に来たおっさんが数人いたわ。私のことをジロジロ見てくる人もいたし。」


 西夢は少なくとも嫌な視線を感じたようだ。


「そういうのはデカい事件を起こすような奴はそうそういないから問題ないな。というか、お前を見てきたのは教員の可能性もあるくないか? お前は明らかに部外者側だろ。」

「確かに。白摩達の方は?」

「俺達の方は特に問題なさそう。ただまあ、気になったのは、」


 白摩はそこまで言いかけると、窓の外へと視線を向けた。そこには運動場があり、そこには大きな特設ステージが設営されていた。その上では宙を浮かぶ人、ゴムのように体が伸びている人がパフォーマンスをしていた。


「あー、確かに危険ね。もし、この学校でいじめがあったとしたら―」

「銃を用いずとも大量殺戮ができる可能性が出てくるな。」


 異能はときに概念にまで影響を及ぼす。風丸の言う通り、大戦期では、たった一人が町を、国を滅ぼすなんて珍しくなかった。


「そういうのは心配しても意味がないしな。それにしてもいじめか。あまり聞いたことないな。」

「そう? 女子とかの方は見えてないだけで凄いわよ。」

「この間まで女子高生だった人が言うと説得力違うな。」


 西夢の返答に白摩は少し苦笑いをした。


「まあ、大丈夫だろ。異能が脅威になることもあれば、助けになることもある。事件が起こったら俺達の異能が覚醒するかも。なんてな。」

「風丸の異能は、竹刀が真刀に変化する感じ?」

「それいいな。西夢は炎で燃える拳とか。白摩は、―そうだな。超再生とか?」

「確かに、回復速度いつも異常だもんね。」


 西夢は風丸に同意し、白摩も


「確かに。そうかも。」


と納得した。



◇ ◇ ◇



 さて、ところ変わって、学校の屋上へと続く薄暗い階段。

 そこには満足気な顔をした男子生徒が数名、階段を降りてきていた。手には己のではない財布が握られ、中身を見ながら何が買えるかを話し合っていた。


 屋上で何があったかは語るまでもないだろう。

 

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