ジョーカーの勘違い
はぁ〜
今日も暑かったなぁ
帰省前に腰痛くなるし、
散々だった。
今年は例年以上に、
真夏日が続く
暑い暑い夏になった。
でも私は
例年以上に、
この帰省を楽しみにしてる。
久しぶりに大親友と会うし、
実家の飼い猫と会えるし、
楽しい事ばかりを想像し
夜行バスに乗る場所へ
地下鉄で向かっている道中だ…
そんな事を考えながら
車窓を見ると、
電車に乗る前とは違い
冷房が酷く効いた
車内から外景を見ると、
何処か涼しげに見えるのが、
不思議だ…
田舎から上京して
4年目になるが、
少し臆病な私は
皆が言う
大都会には行けなかったが、
全国的にも都会の
地方都市に、
住み慣れてきた人間だと思う。
少しは都会人になったと思う。
毎年、実家に帰省する度に
変わった自分を感じる事も
増えたんだろう。
小さい頃嫌だった
景色、人、ルール…
郷愁と言うのだろうか、
懐かしく想い、
少し、今は、
あの情景を想い浮かべている
自分に内心、
苦笑しながら、
今日、あの場所へ帰る
夜行バスに乗る駅に近づいた。
普段、帰る夜行バスとは
勝手が違う便に乗車する為に
家を早めに出たが、
いつもこの地方都市は、
人が溢れている。
何処から来たとか、
何処に住んでるとか
初めは気にしたが、
知らぬ間に私もこの街の住人だ。
気にならない事が当たり前になっている。
少しバスが来るまで
時間があるから、
街を見ながら、
歩こう。
そう想いに耽りながら歩いていると、
来た事がないはずの通りなのに、
道が分かる…
何故だろうと思いながらも
私は予定通り、
予め予約していた
夜行バスに乗り込んだ。
一旦、冷えた身体は、
また外気から来る熱気を纏って…
バスに乗り込んだ後、
冷房のせいか、
えらく冷え込んだ車内で、
自分の予約席を探し、
座り込むと同時に、
疲れている訳じゃないのに、
目を瞑る訳でも無く
気を失った様に私は眠り込んだ。
気が付けば
私の出身のマンモス駅に近い
ところまで夜行バスは
来ていた。
休憩時間も寝ていたのだろう…
気が付けば
一宮まで来ていた。
後少しで高知駅だ。
そのタイミングから
違和感を感じ始めた…
夢でも記憶にもあるはずなのに、
そこから先の道のりが、
ボヤけているのだ…
記憶では駅から
2時間、鈍行で
地元の駅に向かうはずなのに、
地方都市の道のりは、
夜行バスを予約するのに、
確認した筈なのに…
はっ!
確認⁈
予約だけすれば帰省出来る筈なのに!
何回も帰ってるのに…
何故?
確認?
今、思えば
夜行バスに乗る時も
誰も乗っていなかった…
運転手は居たが
確認出来るくらい
近くでは居なかった…
高知駅に着いた時、
怖くて目を瞑っていた私に、
車内アナウンスで
到着を告げた。
目を開けると
車内には、
いつも通り、
満席になるくらい
人が溢れかえっていた。
安心すると共に、
少し大きな駅で
小走りにトイレに向かった。
すると、
気分が悪くなっているにも関わらず、呼び止める人間がいた。
苛立ちながら
振り返ると駅員だった。
そして、こう告げられた。
お客さん、
そっちじゃないよ
無視して行こうとする私に
強い口調でこう言い放った。
そっちは女子トイレ
戸惑いながら駅員の顔を見ると、
記憶してる自分の顔だった…
髪はボブに近い短髪で、
よく年齢確認される小柄な女性だった。
その後ろのショーウィンドウに
映っていた自分は
髑髏の様な顔した
暑い夏にはそぐわない
黒いコートを着ている
酷く痩せた男だった…
チッ…
企画部の野郎…
画像とデータ情報間違いやがったな
前世と今世、混在してやがる…
徹夜のやっつけ仕事過ぎて、
自分をターゲットだと思って込んでしまって
いたじゃん…
何やってるんだよ。
さぁ、仕事仕事…
あっまただ。
勘違いで
今月も業務成績ゼロじゃん〜
頼む〜
誰か俺を殺しに来てくれ〜〜〜〜
終わり