戒め
子供の頃から好き勝手やってきた。
小学生の頃は人の物を盗んだし、中学生の頃は自分より劣っている物を見下し
高校に入るころには平気で仲間を裏切って自分の欲のままに生きてきた。
好き放題していても誰にも咎められることは無かった。
誰も私を罰することはできなかった。
二十歳を過ぎても私の自分勝手な行動は収まらない。
ある日、普段から言い争いをしている友人に腹をたて、頭に血が上り、ついに私は一人の人間の命を奪った。
事を済ませて、家へ帰り布団に入る。
気に入らない人間を始末できて清々した気持ちで夢の世界へ。
人の命を奪っても、どうせいつもと変わらない日常が訪れるのだろうと思っていたが、私の意思と反して、翌朝には警察が訪問してきた。
そこで初めて気が付いた。誰も私を罰せられないのは、大いなる力によって守られていたからであったからである。大昔、7歳を迎えた少年少女は神の加護が消え、これから先は己の身は己で守らないといけないように、現代を生きる私には二十歳を過ぎれば加護は消え去っているのだ。
加護が消えれば自由になる。しかし、その自由には責任が伴う。
人は皆、何かを背負って生きている。私は今、罪を背負い、これから先も生きていくことを決めた。
それと同時に、罰と言う物は誰かに課せられるものではなく、己自身で罪を認め、罪を背負い続ける責任の一つであることも知った。