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EPISODE4-6

 悩んでもお腹は空くし、眠たくもなる、それを体感した数日間だったような気がする。

 いつかの立て篭もり事件は同じ日に計10件にも及んでいた。

 そのどれもが警察の魔法対策斑による突入にやって解決されたと報道されたのを私はテレビで見ていた。

 琥珀くんたちが解決したはずなのに、そのことは一切公表されておらず、遂に最後まで私たち一般人に知らされることはなかった。


「うーみだー!!」


 隣のチカちゃんのはしゃぎ回る声が聞こえる。

 今日はこの間決めていたみんなで海に来る予定だった日だ。

 けど、正直私はそんな気分ではなかったのは言うまでもない。

 良い意味で言えば琥珀くんのことで頭が一杯、悪く言えば不安だった。

 家から電車で1時間ほど行った所にある有名ではないけど、ミチルちゃんオススメの海水浴場。

 人はシーズン中ということもありやっぱり多いけど、それでもテレビで見るような砂浜が埋まるほどはいない絶好のポイントだ。


「じゃあ先に男子は着替えてきてね。」


 美代ちゃんの一声で、要くん、明くん、琥珀くんが近くの簡易更衣室に向かって行き、しばらく待つと中から水着姿の3人があらわれた。


「双樹、顔赤いよ。」


「ふえっ!?」


 チカちゃんの声でやっと意識が戻ってきた。

 正直琥珀くんに見とれてたよぉ。

 無駄のない体に程よく筋肉がついてて・・・あぁ、私変態さんみたいだ。


「次は私たちだよ。」


 私は美代ちゃんに引きずられる様にして更衣室まで連れていかれ、着替えることとなった。


「(あーあ、もっと自信持てる体型だったらよかったのにな。)」


 チカちゃんと比べると余りにも・・・なんと言うか・・・ひ、貧相と言うか・・・。

 着替えながら落ち込む私を置いて、早くも私以外の女性陣は水着に着替え終わっていた。


「ねぇチカちゃん。」


「どした、双樹?」


「泣いても良いかな。」


 美代ちゃんとチカちゃんと空ちゃんは、私と違って女っぽいし、あきらちゃんとミチルちゃんはかわいいし・・・


「大丈夫だ双樹、そういうのがタイプかも知れないよ。」


 こうしてみんなそろっての海水浴が始まった。

 ちなみに言っておくと、男性陣の反応は以下の通りだった。


「うおぉぉぉ。」


 と意味不明な叫び声をあげた明くん。


「みなさん素敵ですね。」


 と浜辺の他の女性の心までも射止めた要くん。


「・・・」


 特にリアクションもなかった琥珀くんだった。

 これには美代ちゃんもチカちゃんも猛講義をしていた。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『いただきまーす!!』


 海と言えば海の家―――――もちろん言い出しっぺは明くん。

 みんなで近くの海の家で昼食をとることになったわけですよ。

 着いて着替えるなりみんなおおはしゃぎで、お腹の空き具合はいつもより3割り増しなぐらいだ。

 ただ、琥珀くんだけは荷物の近くでゴロゴロしてたけど。


「やっぱ海の家と言えば焼きそばだよね。」


 チカちゃんが口いっぱいに麺を頬張っている。

 それはさすがに女の子として如何なものなのでしょうか。

 みんな思い思いのメニューを笑顔で食べている。

 その中でも、どうしても私の視線は琥珀くんに向かってしまう。


「神崎さん、どうかした?」


 あまりに見すぎていたのか、琥珀くんに気付かれてしまった。


「えっ!?

 いや、何でもないです。ハイ。」


 言い終わってから自分のいかにも動揺していた発言が恥ずかしくなった。

 俯いた私をチカちゃんとミチルちゃんだけが面白そうに笑っていた。


 本当は聞きたいよ、琥珀くんのことを、もっと沢山、色んなこと。



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「なんか最近いろいろと流されてる気がするなぁ。」


 海岸で琥珀は一人スポーツドリンクを飲みながらみんなが遊んでいる様子を見ていた。

 ちなみに明は少し離れたところで東条と空によって砂に埋められていたりする。

 意外なことに要は城塞作りに没頭していた。

 ほかのメンバーは海の中でビーチバレーをしたりしていた。


「琥珀くんはみんなと遊ばないんですか?」


 不意に横から声を掛けてきたのは少し前まで海の中にいたはずの神埼双樹だ。

 琥珀の中での神崎双樹という少女は明るくて表情が豊かだ。

 どことなく見ていて心配になるタイプの人間である。

 たとえば将来変な詐欺師に引っかかりそうな人ナンバーワンだったりする。


「いや、俺はここで荷物見てるから。」


 正直言うと遊ぶのは勘弁してほしいかった。

 この間の事件からバイトの時間が増えて睡眠時間が減っているのだ。

 事件らしい事件は今のところ起きてはいないが、それでもあれだけのことが起きれば警戒レベルは上げざるを得ない。


「なら私もいてもいいですか?」


「わざわざ聞かなくてもいいのに。」


 ニッコリ笑って双樹は琥珀の隣に腰を下ろした。

 普段と違って水着姿の双樹に琥珀は少しばかりドキドキしていた・・・ということはなかった。

 それどころではないぐらいに疲れていたし、少しでも時間があれば朝も寝ていたのだ。

 双樹はパラソルの下のクーラーボックスを開けた。

 氷を敷き詰めておいたクーラーボックスからはひんやりと気持ちのいい冷気が漂う。


「う~ん、コレかな。」


 中からジュースを取り出してふたを開けた。

 昔は石油を使ったペットボトルだったそうだが、今は石油を使わずに化学繊維を用いた生分解性ペットボトルだ。

 つまりはその辺にポイ捨てしたとしても数ヵ月後には土に返るすぐれものだ。


「ねえ、聞いていい?」


「うん?」


 海をぼんやり見ながらウトウトしていた琥珀に声が掛けられた。

 もちろんその主は双樹だ。

 双樹は海ではしゃぐ友達を見ながら言葉を続ける。


「琥珀くんはどうしてあんなことしてるの?」


 あんなこと・・・

 普段なら何の事だかわからないような単語だが、今の二人にはその言葉が何を指しているものなのかは理解している。

 つまりは先日の事件に琥珀と要がかかわっていたこと。


「・・・」


 どう答えるか悩んでいた。

 正直に言おうか、それとも適当にごまかそうか

 考えがまとまらないうちに再び双樹が口を開く。


「私ね、最初に会ったときから琥珀くんは違うなって思ってたの。

 それは単に助けてくれたからかもしれないけど、それでもやっぱりそう思ったの。」


「・・・」


「学際の準備で一緒に授業受けたりしてて、琥珀くんも普通の人なんだって思えるようになったの。

 でも、」


 その一言で双樹が言わんとすることがわかった。


「・・・」


 最後まで何も言わない琥珀に双樹はまた笑顔を見せた。


「それでも良いの。

 でもね、一つだけ約束してほしいの。」


「約束?」


「うん。

 琥珀くんはもっと自分を大事にして欲しいの。」


「・・・ああ。」


 そんなあいまいな返事しかできなかった。

 それでも双樹は満足そうにみんなのところへ走って行った。

 何事もなかったように。

 残された琥珀は、さっきの双樹の言葉を反芻していた。


 ―――――もっと自分を大事にして欲しいの。


「・・・もっと、大事に、か。」


 琥珀の消え入りそうな声は波の音に消されて、誰かの耳に入ることはなかったけれど、確かにその響きには大きな気持ちがこめられていた。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「うっし、帰るか!!」


 荷物をまとめ終えた明の声が響いた。

 荷物は基本的に男子が持たされている。

 小さな着替えなどは各自が持っているが、大きなものは意外とかさばって邪魔になる。


「うーーーんっ。」


 大きく伸びをした空は疲れきった体をブラブラしていた。


「遊んだね〜。

 もうクタクタ。」


 東条が駅のベンチにドッカリと座った。

 シーズン中は普段よりも本数が増えたと言っても、それでも都市部に比べて電車は少ない。

 ちなみに次の電車はタイミングがよかったため、10分後だ。

 何人かに分かれてベンチに座った。


「そうですね、疲れました。」


 珍しく疲れた顔をして泉が東条に同意した。

 それに無言で琥珀を除いた全員が肯定した。


「でも琥珀さんだけがずっとパラソルの下でしたね。」


 若干陰っているが、それでも普段の笑みを消すことなく要が話を振った。


「ああ、最近寝不足でな。」


 そう言いつつも、琥珀の顔色は行きに比べてずいぶん良くなっていた。

 少しの間話をしていると、すぐに次の電車が来てそれに乗り込んだ。

 電車自体はそれほど混んでおらず、みんなが座れた。


「・・・ん?」


 座って数分して琥珀が隣を見ると、見事に全員が眠りこけていた。

 それを見て琥珀も再びまどろみの中へと向かうことにした。

お久しぶりです、こんにちわ。

センターも近いことですからまだまだこのペースは続きそうです。

申し訳ないです。

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