表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/42

EPISODE3-10 test test test

「ねえ、それ何?」

 

 朝一の空の発言である。

 

「うん?卵以外に何に見える?」

 

 飄々と答える琥珀。

 

「いや、そんなことは見てわかるけど、肝心なことはどうしてそれを持っているかと言う事であって・・・

 ってかそれって鶏の卵じゃないよね?」

 

 研修旅行から帰ってきて数週間がたった。

 今日からみんなで中間テストの勉強をする予定になっている。

 その日の朝に琥珀はいったん家を出たものの、この卵を家にとりに帰ったのだ。

 

「そうだと思うけど、よくわからない。」

 

「・・・」

 

 あまりに変すぎる琥珀の行動に空は何も言えない。

 そして顔を引きつらせながらさらにたずねる。

 

「それをどこで拾ったの?」

 

「あれ言ってなかったっけ?研修旅行の最終日に近くの山で拾ったんだよ。」

 

「じゃあ何で胸ポケットに入れてるわけ?」

 

「だって温めると孵化するかなって。」

 

「・・・」

 

 再びの沈黙が襲う。

 あまりの琥珀の突拍子もない行動に空は黙り込んだ。

 突っ込むべきか、それとも暖かく見守るべきかと。

 

「そ、それで、孵化しそうなの?」

 

「う~ん。どうだろう。」

 

 ボケッとしながら歩き続ける琥珀を見ながら空は大きくため息をついた。

 琥珀のことだからいろいろと調べたのだろうけど、それでもわからない卵って何だろうと空まで気になってしまった。

 

 ~~~~~~~~~~

 

 放課後

 みんなで琥珀の家に来ている。

 理由は簡単、家が広くて使い放題だから。

 

『おじゃましま~す。』

 

 と、それぞれ一言ずつ言いながら家に入ってくる。

 場所は居間になった。

 6人もいると普段広く感じる部屋も手狭に感じてしまう。

 

「お茶か、紅茶か、コーヒーかどれにする?」

 

 琥珀がいったん部屋に行って荷物を置いて戻ってきて尋ねる。

 それぞればらばらな答えにも琥珀は淡々と準備を始めた。

 さっそくまじめな要と泉が勉強を始める準備を始めている。

 

「なぁみんな勉強とかしてんの?」

 

 明の早くも投げやりな発言に

 

「それなりにね。」

 

「困らない程度には。」

 

「す、少しは・・・」

 

 空、要、泉の順に明に答える。

 さすが"S"クラスと言った所だろうか。

 それに対して残った東条は

 

「いや、ぜんぜん。」

 

 と答えてしまう辺りに差が現れているのだろう。

 琥珀はぼんやりとお茶を入れて、お盆に乗せて居間に持って行った。

 

「琥珀はどうなんだ、勉強やってんの?」

 

「ぜんぜん。」

 

 と答える辺りやはり同じクラスなのだろう。

 

「じゃあ仲間か。」

 

 とうれしそうに肩に手を回す明に空は笑いながら、

 

「でも琥珀は勉強できるよ。」

 

 と言った。

 

「おい。それは裏切り行為だぞ。」

 

 と責めてくる明。

 視線だけだが責める東条。

 どうやらこの勉強会の方針がたった今決定した。

 

「じゃあ明と東条さんはがんばって。」

 

 とだけ言って琥珀は自分の勉強を始めた。

 それぞれの場所でみんなが勉強を始める。

 

「・・・」

 

 開始30分

 

『・・・わかんない。』

 

 明と東条が脱落した。

 それを見かねた泉と要がそれぞれフォローにまわる。

 琥珀は一通りざっと目を通したテキストを置いて、胸ポケットに入っている卵を取り出す。

 

「ねえそれって孵化するの?」

 

「さあ、どうだろ。」

 

 朝のやり取りの続きが始まる。

 空の言葉にみんなが一度琥珀の手の中にある卵を見る。

 鶏の卵より少し大きい程度の卵である。

 

「それはどこで手に入れたんですか?」

 

 不思議そうに要が尋ねる。

 

「研修旅行で拾ったらしいよ。そのときはまだ温かかったから孵化させようとしてるみたい。」

 

 それを聞いた明はゲラゲラと笑い出す。

 

「いやどう考えても無理だろ。」

 

 まったく持って夢がない明である。

 それに対して要はまじまじと琥珀の手にある卵を見る。

 

「これは面白いことになるかもしれないですね。」

 

「桜井君わかるの?」

 

 と食いついたのは空だった。

 意外にも気にしていたのかと、琥珀は内心で思った。

 

「ええ、少しだけですが。でも生まれたときの楽しみをとるのは忍びないので秘密です。」

 

 爽やかな笑顔と共に要は会話の流れを断ち切った。

 期待に胸を膨らませる空と、意外にもじっと見ている泉。

 東条は勉強疲れでダウンしている。

 琥珀は琥珀でぼんやりと卵を見ていた。

 

 ~~~~~~~~~~

 

 そんなこんなでテストが始まった。

 連日の琥珀の家での勉強会に明も東条もそれなりにがんばって勉強していた。

 琥珀もなんだかんだと勉強はしていた。

 相変わらず胸ポケットに入っている卵を気にしつつもテスト問題を解く。

 

「・・・」

 

 テスト中の教室は普段では考えられないほどの静けさである。

 クラス中の生徒が机にかじりついている。

 日程は3日間で、今日は最終日の最後のテスト。

 魔法基礎理論の筆記テスト中だ。

 実技試験のテストは授業中にそれぞれ行われている。

 

「(テスト終わるまであと5分か。)」

 

 一通りの問題を解き終わった琥珀は念のための確認作業を行う。

 チラッと目に入った明も必死に机に向かっている。

 

 キ~ンコ~ン・・・

 

「うえぇ~」

 

 気持ち悪い声の後に明と東条が机に崩れ落ちた。

 おなじみの一番後ろの席の人間がテストを回収に回る。

 ちなみに琥珀は一番後ろだったりする。

 

「おつかれ。」

 

 明に軽く声をかける。

 ぐったりとうなだれたまま顔だけを上げて明は返事を返してきた。

 

「お、う。もう無理だ。」

 

「んじゃ打ち上げのご飯に行くか。」

 

 昨日決めたテストの打ち上げに3人で向かう。

 

「東条さんもおつかれ。」

 

「・・・おつかれ。」

 

 ワンテンポ遅く返事が帰ってくる。

 そうとう疲れたらしい。

 苦笑しつつ待ち合わせ場所の校門へと向かった。

 

 ~~~~~~~~~~

 

『おつかれー!!』

 

 打ち上げが始まる。

 そしてなぜか琥珀のうちで開催と言う事になった。

 

「どうでもいいけど何で俺の家?」

 

 琥珀はとりあえずさっきからの疑問をぶつけることに。

 

『落ち着くから。』

 

「・・・」

 

 全員の言葉がハモる。

 机の上に並べられたお菓子とジュースの山を見ながら琥珀はため息をひとつこぼしてあきらめモードに入った。

 ちなみに言うと明日は学園が休みになっている。

 まず間違えなく夜通しになりそうな予感を感じていた。

 

「今日はどうするんだ?」

 

 琥珀がみんなに尋ねる。

 

「どうするって・・・決まってるだろ。」

 

『もちろんフルコースで。』

 

 こうして琥珀の一日が終わる。

 それはもうどんちゃん騒ぎで、ご近所さんに怒られないかと冷や冷やしていた。

 

 ~~~♪

 

「誰か携帯なってんぞ~。」

 

 明がお菓子を食べながら左手で鳴っている携帯を掴みあげる。

 

「ああ、俺のだ。」

 

 琥珀は明から携帯を受け取りディスプレイを見る。

 

「・・・」

 

 榊

 

 とディスプレイに表示されていた。

 その画面を見ながらしばし硬直した琥珀は、ため息をついてから部屋の外へでた。

 

「・・・はい。」

 

『何で今日も不機嫌なのかな?今日でテスト終わったはずだよね?』

 

「仕事ですか?」

 

 琥珀は榊の返事もせずに続けざまに言葉を投げかける。

 

『まぁそういうことだね。』

 

「何時からです?」

 

『できれば早い方がいいかな。』

 

「はぁ、わかりました。すぐに行きますんでいつもの場所で。」

 

『了解。』

 

 それだけを言うと琥珀は携帯を切った。

 またため息をこぼして部屋に戻って行く。

 着替えを済ませてからみんなのいる居間に戻る。

 

「悪い、ちょっと用事入った。すぐ戻ってくるから勝手にやっててくれ。」

 

 それだけを言うと琥珀は家から出て行ってしまった。

 言葉を返す暇もなく出て行ってしまった琥珀に戸惑う。

 

「えーっと・・・」

 

 明が戸惑いを隠さずに話す。

 

「まあ僕たちは琥珀さんが戻ってくるまで待っていましょう。」

 

 爽やかな要の提案にうなずくものの、みんな少なからず落ち着きを失っていた。

 それも少しの間だけで、すぐにさっきまでの盛り上がりを取り戻す。

 ただ空だけがその場に取り残されて・・・

どうもです。

とりあえず急いで書きました。

誤字脱字があれば報告してください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ