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第 八十五 話

「私は、優しい訳じゃないよ」

 私は逆防御魔法の反射で、人が死なないような具合にしてほしいとハルトに言った。普通に温かい心で聞けば、敵に情けがあるように思えるだろう。けど、私は…。

「自分が死にたくないんだ、ただ。殺しのナイフが、死のルーレットの針みたいに見える。次は、私だって思いたくない」と、ハルトに伝えた。

「それで、いいと思うよ。殺したいとか、死にたがってる方が、怖いし。

 俺も、多分アキと同じような気持ちがあるんだ」なぜかハルトは、冷たい血が体内に流れている感じの声で、悲しげに言った。

 時々、ハルトの判断が、冷酷で冷たいと感じることがある。それは、やっぱり一度死んだから。そこから肉体の成長も、止まっている。年齢的には、大人なはずなのに、ハルトを子供っぽく感じてしまう時も、ある。どうしてかは、それは肉体が十四歳で子供な部分がまだ割とあるから、それに引きずられているのかもしれない。

 ハルトの人間的成長(心)は、毒によって、壊されている部分もあるんじゃないかな。と、私は、思う。



             続く


ハルトの心は、成長するのだろうか?

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