第 八十四 話
ハルトは、四十分程走って、戻ってきた。
「まあ、走ったり、筋力トレーニングは、続けようと思うが。要は、戦略が大事かもしれない」
ハルトは、水を飲み終わった後で、言った。まあまあ走って、冷静になったのかもしれない。
「戦略?」私は、分からないので聞いた。
「防御魔法を作り置きしておくとかな」ハルトは、説明をする。
「作り置き?」これまた謎な内容で、私は質問をする。
「結界魔法もかけた状態でいるから、俺とアキは、ずっと、そこそこしんどいだろ」
「それは、あるね」
そうは言ったけど私は、多分、ハルト程はしんどくない。なぜなら、何となくだけど、しんどいとこをハルトが補ってくれている感じがあるからだ。そうでなければ、ハルトだけ足が震える程、筋力や体力がないと思うほど追い込まれる訳がないのだ。
「防御魔法を作っておいて、それで圧縮させて丸く縮めて、俺がそれに砂をかけて魔法をかける。それを、半分で合わせる、薄い金属にする。
そうすれば、必要な場所で投げたり、かければ、時間をかけず直ぐに使える。まあ、使い方によるけど、三、四十分くらいしか、もちはしないと思うがな。
後は、逆防御魔法のものも、あるといい」ハルトは、語った。
「逆防御魔法って、何?」私は、知りたくて、聞いた。
「防御魔法は、普通、外側が強くて、攻撃を防ぐ。だが、逆防御魔法は、内側を強くしておいて、敵を無力化することが出来る」
「な、なるほど。だけど、攻撃の反射は敵にもろに返らないように出来る?それを敵にかけて、それで死なれるとさすがに嫌だな」
「甘いけど。アキの、そういうとこ好きだよ。
そういうイメージで魔法を作れば、大丈夫だよ」
続く
やっぱり、冷静なハルトが好き。




