第 七十七 話
「正直、俺はジヤタに期待している」
ハルトは、山の空き家に戻って直ぐに、言った。
「えっ、僕ですか?僕に、何かあるかな…」
「ジヤタは元・化物人間だろ」
「はい」
「化物人間だった者は、魔法の力が強いはず」
「なっ、なるほど」
「化物は、個性魔法と考えてもいいと思う」
「個性魔法」
私は、何となく意識してこなかった言葉を、口にした。
「機関長は、何とか自分の立場を守ろうと、総力で攻撃してくるだろう。
その時に、ジヤタが戦ってくれると、助かる。叔父が相手じゃ、やりづらいかもしれないが」
「確かにやりづらいですが、叔父が放った刺客や、攻撃してくる兵隊ぐらいとは戦います」
「ハルト。この、話も聞かれてたりしないの?」私は、敵が監視しているんじゃないかと、不安を言った。
「結界魔法を張った」ハルトは、少し難しそうな顔をして話す。
「結界。あの、とても上手くやらないと、微妙な力加減で直ぐ破れてしまうと云う」私は、例を上げて言った。
「あんまり得意じゃないんだがな。長時間だと疲れるし。
今まで、攻撃をされたら、守備能力で使おうかなと、考えていたんだ。苦手だけどな」
とうとうハルトは、苦手と口にした
「そうだ、アキの力を借りれば、結界を楽に作れるかもしれない」
「私が?転送魔法を使えるから?」
ハルトは、コクリと頷く。
続く
ハルトは、結界魔法が苦手だった。この世界だと、今のところは、そこまで上手く結界を使える人がいなさそうではあるけど。
アキが協力すれば、どうなるのかな…?




