第 七十六 話
「お父さんを出したい?」
まだ、事情を知らないハルトは、どういう意味なのか分からない感じで言った。
私は説明した。
「うん。まあ、出来そうだけど、もうちょっと練習した方がいいんじゃないか。
取り敢えず、皆で一旦、食事の買い物だけして、山の方の空き家に戻ろう」
「うん」
内部調査官の人が転送で四人も出てきたので、メンバーは八人になった。
お父さんは、長距離バスの用心棒をやっていた。盗賊が出たりするからだ。
ところが、お客さんに化物人間がいた。他の乗客の幼い女の子の振る舞いが気に入らなかったらしい。周りの人の話だと、ちょっと騒がしかっただけだったみたいだが。一緒にいた、若い母親と共に、闇の世界へ連れて行かれそうになったのを、お父さんが庇った。ところがその人の連れも、化物人間で、うっかりお父さんは闇の世界へ連れて行かれてしまったらしい。
けれど、お父さんを連れて行って満足したのか、母娘は許されたらしい。その母娘から、私とお母さんは謝罪され状況を知った。
私にも、優しかったお父さん。
私に、肩車をしてくれたり、小さい頃、ご飯を食べさせてくれた。まあまあ大きくなってからも一緒に、買い物に付き添ってくれた。
必ず、救い出してみせる。
続く
早く助け出したいの、分かる。思い出とセットで、たまらないよね。
冷静に、ならなきゃいけないだろうけど。




