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第 七十五 話

 転送魔法の中へと、手を伸ばした、私は。

 んっ、布の柔らかさ。壁のところに掛けられた、エプロンな気がする。そっと、引っ張って出すとエプロンだ。ハルトが、いつも使っている物だ。

「アキ、ナイスだ。こんな不可能とされる、魔法が使えるなんてな。

 やっぱり出来るようになった。アキは、そのうち難しい魔法も、使えるようになるんじゃないかなって思ってたんだよ。これは、想像以上だ」

 ハルトは、私のことを信じてくれていた。仲がいいんだから、ありそうなことなんだけど、嬉しい。心が、温かくなった。

 と、なると、この魔法を意識して、安定して使えるなら、どうしても叶えたい願いがあった。

「ハルト。私、お父さんを転送で、こちらに現したい」

 闇の世界に行ってしまったお父さんを、これで一気に、助けられるかもしれない。



            続く


思わぬところで、アキが抱えていた問題が解決するかもしれない。さて、どうなるのか?

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