75/165
第 七十五 話
転送魔法の中へと、手を伸ばした、私は。
んっ、布の柔らかさ。壁のところに掛けられた、エプロンな気がする。そっと、引っ張って出すとエプロンだ。ハルトが、いつも使っている物だ。
「アキ、ナイスだ。こんな不可能とされる、魔法が使えるなんてな。
やっぱり出来るようになった。アキは、そのうち難しい魔法も、使えるようになるんじゃないかなって思ってたんだよ。これは、想像以上だ」
ハルトは、私のことを信じてくれていた。仲がいいんだから、ありそうなことなんだけど、嬉しい。心が、温かくなった。
と、なると、この魔法を意識して、安定して使えるなら、どうしても叶えたい願いがあった。
「ハルト。私、お父さんを転送で、こちらに現したい」
闇の世界に行ってしまったお父さんを、これで一気に、助けられるかもしれない。
続く
思わぬところで、アキが抱えていた問題が解決するかもしれない。さて、どうなるのか?




