表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/165

第 六十八 話

「そんなの、暇つぶしに決まっているじゃないですか…ハハハハハッフッハッヒャッ」

「ひ、暇つぶしのためにこんなことを。そ、そんなの、あんまりだよ。本当に、酷い」

「ちょっと。本当に、酷いってどういう意味ですか?僕は、国王の政治を邪魔する人を本気で、現実的に真面目に人殺ししようとしているだけですよ。

 ふざけないでください」

「ジヤタ…。本気で、言っているの?」

「僕は、本気です。僕は、僕なりに、この国に貢献(こうけん)しようとしているだけですよ。暇なんでね。

 でも、真面目です。真面目に、人殺しです」

「オジさんの国政審議機関長は、どういう考えで動いてるの?」

 ジヤタはしばらく無言になった。アレコレ思い浮かべて、整理をしているようだ。イメージがまとまったのか、ジヤタは話した。

「叔父は、お金のことしか考えていません。それが、僕には嘆かわしいんですけど。だから、その分、僕が正しいことをしようとしただけです。どこかおかしいですか?」

「な、何で、そんな、お金のことしかない機関長の考えのやり方を、取り入れたの…?」

「えっ?」

 急に、ジヤタの顔が青ざめたように、私は感じた。

「だって昔、お金のこととかでお世話になったし。お世話になったなら、お返ししなきゃ、酷いでしょ…」

「私が、殺されるのは、いいんだ…」

「アキさんが殺されるのは、お気の毒ですけど。…自業自得でしょ。無茶苦茶な話ですが」

「ほら、今、言った。無茶苦茶って。酷い」

 すると、ジヤタは段々、顔が険しくなった。

「うわ――っ!!」ジヤタは着ている上着を、地面に叩きつけた。

「僕だって、そりゃ、本当はアキさんの方が、正しいと思ってますよ。そうだ。そうです。僕は、ただ叔父に借りを返したかっただけだ」

 ジヤタは、頭の毛を掻きむしって、自分の顔を、まるでこの現実にいるのは自分なのかを確かめるように触った。

 ジヤタは、さらに、しゃべる。

「借りたままじゃ、気持ちが悪いから。僕の家は、昔、叔父にお世話になったから。僕の家の人間は、性格の悪い叔父に頭が上がらなかった…。

 そのままじゃ嫌だったから。もっと、対等な関係にしたかっただけだ。ただ。

 そのために、僕は人殺しを、しようとしたんだ、僕は」



            続く

ジヤタは、国政審議機関長に借りを返したいだけだった。きちんと、冷静に物を考えないといけない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ