第 六十七 話
「ねぇ、ジヤタ。私を殺そうとしてまで、手に入れたいものって何?」
本当は、怖いんだ。生々しい殺意の心境なんて聞きたくない。でも、このまま殺意を分からない状態にして、野放しに過ごすのは、もっと怖い。私は、今、嫌で辛いけど、殺される前提で生きている。
それだけ私は、実際、弱い。ハルトみたいに、あんなに自由に魔法、使えないから。さっき、虫たちをちょっとの間消すのに成功したのだって、奇跡に近いほぼ偶然だ。
そりゃ、ハルトに直接仕事で、色々教えてもらったり、ハルトが化物人間と戦ったりしているのを間近で見てきたから、何か切り抜け方みたいな力が養われていた気がするけど。虫たちの攻撃をよけるのも、ちょっとセンスがあったかもしれないけど。何回かやったら、きっと二、三回は死ぬ。たまたま上手く助かっただけだ、今回は。
ジヤタ以外にも、殺そうとしている者がいるかもしれない。
だから、今、ジヤタに聞きたい。何で、私を殺したいのかを。
そうすれば、まだ安らかに死ねる気がする。何かあっても。
後ろ向きなんだろうけど、今を生きるための必死の震えるような想いの質問なんだ。
ジヤタ、答えて…。
続く
命を狙われるアキは、辛い。ジヤタは、どう答えるのだろうか?




