第 六十五 話
私は、一斉の攻撃を、後ろ向きにでんぐり返しをして、何とかかわした。だが、そこにバッタが跳ねて、キックをしてくる。私は、斜め前へと靴を擦らして、状態を低くして滑りよける。
目の攻撃をしたクワガタはカブトムシと同じようにビームの力が漏れて、自分を焼いてしまった。ただ、エネルギーがまだ弱かったのかヨロヨロして動いている。
それにしても、まずい。本気で、まずい。私には、攻撃の術が、砂粒ぐらいしかないのだ。
どうすれば…。
そういえば、最初に虫たちを出すとき、ジヤタは何か、持って回った動きをしていたっけ。確か、指を差して、後ろを向いて…あっ、そうか…。
アレは、ごまかしていたんだ。自分の弱点を。それと、一番最初に話し掛けて近づいて来たのは、私の力が、カブトムシを倒したので分からなくなって、六体で逃げないように攻撃をするため、距離を詰めたかったんだ。ということは…。
「ジヤタ…」
私は、虫たちの攻撃をかわしながら、ジヤタへと近づいていく。
私は、砂粒を二つ出して、ジヤタの目を狙った。
「砂粒よ…」
ところが、蝶が、自らの片羽の大きさの竜巻を、二つ出してきた。
「あっ、砂粒が……」
砂粒は、竜巻の回転に巻き込まれて、見失ってしまった。
こんな道端で砂粒を探すなんて、時間的に無理だ。
クワガタに使った砂粒は、新たな攻撃をよけるのに必死で、集中力が切れてどこかになくしてしまった。
「後、一粒…」私は、呟く。
私は、望みが薄くなりながらも、何とか助かる糸口を探していた。
続く
アキは、諦めていない。まだ、一粒ある。頑張れ、アキ!




