第 六十三 話
町に行く途中で急に追い掛けられたので、町の方に来てしまった。
このままじゃ私は、真っ黒焦げにビームで焼かれてしまうだろう。
一か八か、勝負するしかない。
私が出来ることといったら、最近ハルトに習った、アレだ。
「砂粒。飛んで、カブトムシの目に、出来るだけずっと当たって」
私は小さな巾着袋から、砂粒を出して言った。
砂粒は私の願いの通り、当たっては向かい、そしてまた、当たっては向かいをした。
その間に、町の人々はビームを出すカブトムシがいるので、逃げていった。
カブトムシは、砂粒の攻撃で涙を流し、混乱したのか、自分のビームのエネルギーを充填するのが狂って漏れて、自分の身を焼いてしまった。
飛んでいたカブトムシが、地べたへと落ちた。
「わっ、私、倒しちゃった」
「果たして、倒したと言えるのかな…」
左の道から出てきた、人がいた。
「だっ、誰…」
「虫使いの少年ですよ」
「む、虫使い…?」
少年は、ニコッと笑って私を見つめ、言った。
「僕は、国政審議機関長の甥ですよ。
こんにちは、アキさん。アキさん、あなたがいなければ、キュウジロウ様も、王の化物を治すことを諦めるでしょう。
僕の心が生み出した、虫たちをあなたは倒せますか。アキさん、死んでください」
少年の背後には、丸い闇の世界の入口がある。やはり、化物人間だ。
「虫たち…」私は口に出すが、その姿を見つけられない。
「ほら、そこにいるでしょ」少年は後ろへ振り向いて、指をそこへと差した。
すると、白い煙を纏って、虫たちが現れたのだった。
もちろん、さっきのカブトムシのように大きい虫なのが、六体いる。
続く
六体の虫たちを相手に、アキは切り抜けられるのか!?




