第 六 話
「皆、ハルトみたいに魔法使える人ばっかじゃないんだよ。ハルトが羨ましい。私が魔法を使える可能性は、低いんだって。魔法能力鑑定人に昔、言われた」私は喚く感じで言ってしまった。
「えっと。…そうかな?アキは、魔法を見る目は、結構いいと思うけど」
「えっ…?」
意外なことを言われ、私は驚いた。
「何か、俺が襲ってくる男の相手をしていた時、結構場をしっかりと見ていたよね。あれ、魔法の力がないと何やってんのか、よく分からない状況だったよ。目がクラクラしたりしなかっただろ」
「そっ、そうなの…?」
「魔法の力を使う時、自分の力も使うけど自然の力も吸うんだ。アキの魔法パワー、何か良かったよ」
「そんな感じなんだ」
私とハルトは、見つめ合った。
「こんばんは…」
「あっ、こんばんは」
気が付くと、お店のオーナーがいた。
眼鏡にチョビ髭の生えた、五十代ぐらいの男性。
「片付けは終わったようだね」
「はい…」私は何となく恥ずかしくなりながら、答えた。
「ハルト君、アキさんをもう遅いから、女子寮の前まで送ってあげなさい」
「はい」
このお店は、中々大きくやっているので、寮がある。ここで働いている人は、その寮に入っている人が多い。
取り敢えず、ハルトの言葉で、元気が出た。魔法の力はそのうち開花するかもしれない。今は、とにかく仕事が出来るようになろう。私は、そんなことを考えながら寮に帰ったのだった。
続く
アキも、そのうち魔法が使えるよ、きっと。




