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第 五十九 話
「そんな、簡単じゃないけどな。
俺は、何十年と時間を掛けて、使えるようになったし」ハルトは、少し考え込むような感じになって、答えた。
ここで、『そうだね』なんて言っていてはいけない。
それは、分かっているけど。それでも、仲間のプラスになれるように努力させてほしい。
「簡単なもので、いいから…」
すると、ハルトは、生き生きとした目になった。
「偉いっ。その向上心、好きだな。さすが、アキ」
ハルトは、手に似た枝をカバンに入れていた巾着から出した。
「俺も、まだまだだからさ。この枝とは、よくコミュニケーションをとれるようにしてさ、俺の考えをこの枝が受けとめられるように、力の扉を開いてくれるような感じにしているんだ。
俺のオーラを飛ばして、頼みを聞ける状態になっているってことだな」
「凄いっ。それって、枝が心を開いているってこと?」
「まあ、物でも使ううちに、馴染んで使いやすくなるだろ。そういう状態になっているってことだ。
準備しやすくさ」
続く
アキ。取り敢えず、やってみようとするのは偉いっ。




