第 五十三 話
「〈私が、国王になりたいのは、この世界を矛盾のない、綺麗なものにしたいからだ。おかしいとは思わないのか?化物だからって、差別をして、なくそうとするのは変だ。化物は、化物らしくするために生まれたんだ絶対に。
それを隠そうとするのは、ごまかしだ。私は、化物も人間も、平等に扱う。私は、化物目線で、化物が生きやすい社会を作る〉」
「それだよ。それが、おかしいよ。
何で、普通の民が、化物中心の世の中で生きなくてはならないの。皆、幸せにならないよ。
いかれてる。どうかしてるよ、絶対」私は、ハルトに、納得がいかないのを伝えた。
「俺も、変だとは思った。だが、何も言えなかった。アイツも、悪魔と人間のハーフで辛い思いが、あっただろうし」
「何でだ、ハルト?お前なら、心に思っていること、二つや、三つ言えそうな気がするんだけどよっ」トツタは、勢いを付けて聞いた。ハルトが出来るって信じてるから、そういう風にしたのかな…。
「毒がな…多分、ちょっと感覚的な部分で話すが、毒を中和する力をトキノジョウに俺は放たれた。そのお陰で生き返ったんだが…。
どうやら、その力のせいで俺は、アイツが正しいって気持ちが心に、浮かぶんだ…自然に。半分くらいな…。同情や、兄弟愛的なものと言った方が正しいのかもしれないんだけどな。
何か心に影響を受けてしまったんだ、なぜか…。俺は、自分の心を守るだけで、精一杯だった」
「だから、三十年後、化物が国王になってもいいって認めたの?そのせいで、化物人間に有利な世界になってしまったんだよ」
私は、少しハルトを責めてしまった。それと私は、ハルトが急に、結構、弱い人間に思えてきてしまった。それは、嫌だけど本当は。
「俺だけだと、どうしようもないんだ。…俺だけならな…」
ハルトは、私の方を見て、ニッと笑った。
「俺、アキ…ゴホッ…とトツタがいれば、どうにかなるって気がするんだ、有難いことにね」
トツタは、素早くつっこんだ。「おい、今、俺をメンバーじゃない感じで、飛ばしそうになっただろ…」
ハルトは、まずっといった顔になった。
「とにかく、お城にどうやって行くかをもうちょっと、考えよう」ハルトは、うっかりを吹っ飛ばすように、元気よく言った。
続く
トツタも、仲間っぽくなってきたね。




