第 五十一 話
「〈ワシは求められていることを理解して、民衆が何を望んでいるのかをよく考え、頑張った。そうすれば、またジャビコとトキノジョウに会わせてもらえるんじゃないかという思惑が、あったからだ。
だが、それは全く叶えられることはなかった。二十年程で頑張るのを止め、ある仕事をただ普通にこなすように、なっていったが。
まあ、国の危機を回避することが出来たし、ワシを呼び戻した国王の願いは叶えられただろうから、レベルとしては、それで良かったのかもしれない。
悪魔の世界の入口を封印され、ワシの身体は普通に年を取る状態になった。ジャビコの愛のパワーが届かなくなったのだ。それが、またワシを寂しくさせたのだ。
だから、三十年程前、チョウコと結婚をし王妃になってもらった。それまでは、意地でトキノジョウを跡継ぎにすればいいと、言い張っていたからな〉
俺は、なるほどと思った。それで、あんなに俺たちと、トキノジョウとの年齢差が開くことになったのだと分かったからだ。
〈そして、新たな気持ちで子供を作った。キュウイチロウが生まれた〉」
続く
ハルトの父親の、国王のことが、少し分かった。それが、現在とどう繋がっていくのだろうか?




