第 五十 話
「二日後、俺は毒を飲んだのが、まるで嘘のように元気になった。すると、トキノジョウは俺を呼び出して言った。
〈私が、将来、この国の王様になる。
ただし、約三十年後だ。お父さんはまだ、四十年は生きるからな〉
〈一体、国王陛下はどういう存在なんだ?〉
俺は、取り敢えず、一番気になったことを聞いた。
〈お父さんは、珍しい、悪魔に本当に本気で、愛された人間なんだ。でも、悪魔に愛されている時点で、普通の人間じゃない。
だから、不思議な力が宿って、お父さんは五百何十歳という年齢で生きている。
お父さんは、私が生まれる数年前から国王をやっていた。でも、私が生まれ、国の民たちは、悪魔を愛したお父さんと、その子供の私、もちろんお母さんのことも許さなかった。
それで、お父さんは悪魔の世界に四百五十年間、ほとんどいた。
ところが、王家は、色々あって跡継ぎがいない状態になってしまった。そのことで、国内外の政治のバランスが悪くなって、国が三つに分裂してしまいそうな程になっていた。
そこで、当時の王(お父さんの兄弟の子孫)は、跡継ぎにお父さんを選んだ。
その時、調子に乗った他の悪魔たちが出てきそうなのが我慢出来なかった伝説の勇者たちに私と、お母さんはこっちの世界にきていたのを追い出されてしまった。そして、伝説の魔法使いが、こっちの世界と悪魔の世界の入口を封印してしまった〉
〈そっからは、ワシが話そう〉
国王が、はっきりとした声で、俺へと話し掛けた。国王もすっかり、元気になっていた。
〈五十年前、ジャビコとトキノジョウを追い出されたワシは、長い間、外国で生活をしていた当時の国王と付き合っているのを隠された、身分の低い母親の息子ということで戻された。
ワシは、愛する者たちを奪われた。
だが、ジャビコとトキノジョウを、呼び戻した者たちに馬鹿にされたくはなかった〉
続く
国王は、ハルトが十四歳の頃から五百年前の時も、国王だったのだ。




