第 四十六 話
『化物』は、今から六百年前、『腰掛けの国』で生まれ育った、人人族の父親と、悪魔の母親から生まれた存在だった。
悪魔は、人間の二十倍は長生きだ。『化物』も人間の十倍くらいは長生きするので、母親と一緒に、悪魔の世界で百年近く前はまだ、暮らしていたはずだ。
かなり初歩的なこの国の歴史の本に、載っていた、その情報は。
まあ、普通の感覚で考えてみると、半分、人間の人を『化物』と呼んでいるのは、何か酷い気がする。
が、やはり、悪魔とのハーフというのが、人間の感覚でどこか受け入れ難さを感じるのも、良くないことだが、分かってしまう。取り敢えず、今のこの国の国王という立場の存在だし、化物と呼んでいてもいいだろう。
歴史の本によると、『化物』が生まれた日から『化物人間』が世界で人々から、現れるようになったとのことらしい。それまでは、心だけの存在だったのだと、思う。
化物人間になるので多いのは、人人族だ。それは、化物の父親が人人族だったからというのが、理由のような気が、やはりする。はっきりとは分からないが。
化物人間は、悪魔の力が人間全体の中に入ってきたから、魔法を使うのと同じ状態で実際に出て動くようになったのだと、私は思っている。
その代わり、悪魔は昔と比べると、まだ可愛らしいぐらいの存在になってきているところがあるそうだ。
まあ、確かに、昔、悪魔が現れたら神に助けを願うというような方法しか出来ることがほとんどなく、倒せる人間は滅多に現れず、いたら伝説のヒーローのような存在になったそうだ。
続く
『化物』は人と悪魔のハーフだった。




