45/165
第 四十五 話
「〈なぜ、この部屋に毒があったのか、お話をしましょうか…。それは、あたくしが毒愛好家で色んな毒に興味をもっていました。
あたくしは、毒に詳しい証拠になるので、自分の部屋には、ほとんど毒を置かなかった…。けれど、コレクションしたい精神はありました。だから、珍しい毒を手に入れた時、嬉しくて、つい部屋に置いておいたのをうっかり、忘れてしまったのです。
そそっかしいことを、しました。…悔しい〉
大臣は、穏やかにしながら、表情を歪ませた。…きっと、もう断罪されるのから逃れられないという諦めが大きいから、騒がないのだろう…。
却って、怖くもあるが、そういう風にされると。
〈悔しい…化物人間だけじゃなく、『化物』自体を消してしまおうと思っていたのに…〉
大臣はそう言った後、兵士たちに囲まれて、牢へと連れていかれた」
私は、何だかびっくりして、ハルトに尋ねた。
「『化物』自体…?百年近く前、化物は、まだ、悪魔の世界にいたんでしょ…?えっ?
それなのに、大臣は消そうとしてたんだ…」
続く
化物は、百年近く前、悪魔の世界にいた?




