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第 四十 話

「〈ラクタとカンナは優秀って言ったら何ですが、スピーディーに盗みを働きましたね。

 五日前に予告状がきて、城の警備はしっかりしているんだからと思っていたら、警備兵の指揮官に変装して、変なところもなく兵士たちの指揮を執り、そして、見回りの兵が一人来て、『怪しい者がいた』と言って、指揮官が、その見回りの兵を残して話を聞くと言い、多くの兵をそこへと向かわせる。そして、残りの兵は『宝に、盗まれた物がある』と指揮官が言って注意を向け、眠くなる、放浪キノコの胞子を風の魔法で届ける。

 しかし、宝の周りには、魔法のラインがあって、中に入ると軽く爆発して、火傷などの負傷をするようになっていた何回でも。そして、城内に知らせを出すベル音が鳴る魔法も同時に動くようになっていた。

 だが、同じ部屋にいた微妙に意識があった兵士によると、指揮官と見回りの兵士の二人は、ちょっとかぶいた仮面舞踏会のような格好へと変わって、別の人間の姿に、なったとのこと。ちなみに、カンナと思われる方もズボン姿だったそうです。動きやすい格好の方が、良かったんですな。そして、それぞれ爆発とベル音の魔法と、ダンスを踊っていたとのことです〉

〈実体化する、魔法。

 父さんと母さんは、色んな魔法の仕掛けに、魂の火を付けることが出来るんだ。

 綺麗な心の、持ち主だからね。そして、一緒にダンスを踊ることでその魂を虜にする〉

〈なるほど。それで、仕掛けは解除の状態になっていた訳か…。

 そして、お宝をまんまと持ち出し、逃げようとした時、赤ん坊のキュウジロウ王子を抱いていた王妃と出会った。

 これが、王妃がおっしゃるには、何か身体が動けなくなる魔法を使われて、その場で書かれた『可愛いので、この赤ん坊も連れて行きます。安心してください、大事にしますので』と書かれた紙を王妃の服に(はさ)み込んで、出て行ったそうです〉

 連れていかれた時の状況。この話は怪盗の親と、王妃の母親の接触のエピソード。王妃の母親は、そう言って嘘をついたのか。

 自分が赤ん坊の時、守られていた話だ。聞いていて、何だか心が、温かくなった。記憶はないけど、まるで自分の思い出のように感じた。もっと、聞いていたいけど、まだ大臣の話は、他へと続きそうだ。

 毒のせいで、時間もない。

〈あたくしには、それぞれがそれぞれ合う、完璧に毒を飲ませようという考えがあったのに、あたくしに、いいアイディアをくれる存在の手下が、キュウイチロウ王子に乗馬で景色がいいところがあると、さりげなく危険な場所を教えるといいなんて言うから……つい、言ったら本当に事故死されてしまった。

 そこから、あたくしの計画は狂ってしまった。もちろん、余計なアドバイスをした手下は、別の手下に殺させましたけどね…〉」



             続く


キュウイチロウの死から、大臣の計画は狂っていた。この後、どうなっていくのか?

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