第 三十九 話
「〈あたくしもね、人を殺すなんて、やったことなかったですからね。
でも、毒を使うのを決心するほどに、化物人間を見てしまうたびに、害虫の醜さのように感じておりました。害虫のどういったところが、醜いんですかね?血を吸ったり、不衛生にしても何も感じないとこでしょうか?人の気持ちを聞こうとしない隔絶みたいな存在に、一気に醜さを感じるのでしょうかね?それとも、その害虫たちを殺さねばならない自分の醜さを、害虫に背負わせているんでしょうか?〉
〈害虫を殺さなくても済む社会も、もしかしたら人間の課題かもしれない…。
色々、問題もあると思うがな…。下手したら、人間の社会が大混乱をするほどの…〉
〈おや、キュウジロウ王子。大分、具合が悪そうになってきましたな…〉
〈いいから、早く言え…。俺は、お前の言葉を待っているんだ〉
〈それは、申し訳ありません。あなたの今の表情は、王にも王妃にも、似ていませんな。
きっと、あの怪盗…ラクタとカンナのお二人に似ているんでしょうな……〉
〈父さんと母さんに…〉
〈お城には、お金の流れが確実に不明だと思われる、三代前のお宝が少なくても袋一背負い分、ありました。
それを、あの日、ラクタとカンナの二人組の怪盗が盗みにきた〉」
続く
ハルトの、育ての父と母は、ラクタとカンナ。




