第 三十五 話
「〈それを飲まれたのであれば、あたくしはもう、終わりです〉
〈ジュウ爺……〉
〈キュウサブロウ王子。…申し訳ない。爺は、あなたの父上を殺そうとしました〉
〈そ…そんな〉
〈そして、キュウジロウ王子。あたくしは、あなたの母親、王妃に、徐々に弱らせて殺す毒薬を盛りました。
元々、病弱なとこがおありでしたので、思っていたより早く亡くなりました〉」
ハルトが、可哀想だ。こんな、言い方。
ハルトは、きっと赤ん坊の時、母親が怪盗の御両親にどうしても生きててほしいと思って、あずけたことを想って、王妃のお母さんの愛を本当に感じたはずだ。それを、事務仕事をこなしたぐらいの感覚で、母親は早く亡くなりましたって。堪んないよ、そんなの。
「〈キュウジロウ王子。あなたが、怪盗に連れていかれなければ、私の仕事はもっと早く済んだんですよ…〉
〈仕事…〉
俺は、その言葉に引っ掛かったが、さらに話の先を聞きたかったので、我慢をした」
ハルト、偉い。少なくても、平手で、顔を叩くぐらいはしたくなるのに。
「〈キュウジロウ王子。…毒って、素晴らしくないですか?
仕事をする上で見て…〉
〈俺には、分からない〉
〈あたくしは、毒の愛好家でしてね。だから今回、失敗してしまいました〉」
続く
大臣は、この後さらに、何を語るのか…?




