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第 三 話

 うっかりミスをしてしまったかもしれないのは、コヨ。

 コヨはまだ、十一歳の女の子だ。年齢が多くなくても、上手く出来たりする場合もあるかもしれないが、少し出来なくても仕方ないと思うが。


「この店の者に、水を持ってこいと二回も言ったのに、水を持ってこなかったのだ」

 そんな…。確かにそういうミスはよろしくはないけど、今日は店が混んでるようだし。

 あんな、机を叩いて、大声を出さなくても……。

「お客さん、すみません。すぐに水を持ってきますから。物に、荒く当たるのは、やめてください」ハルトはすまなそうに、けれど凛として、お客さんに伝えた。

「ああんっ…。何を言っているんだ。もっと、謝らないか。というか、ずっと謝り続けろよ、バカ。それが、店員に出来ることだろうが」

 客の男は立って、手を無茶苦茶に動かす。

 段々、男の手は布のようにヒラヒラして、七つ八つの腕がある。客は、化物人間へと姿が変わった。

 そして、男の後ろには、円の形をした、真っ黒な宙に浮いた入口が出来ていた。『闇の世界』だ。

「ハルト、危ない」私は、思わず大きい声で、声を掛けていた。

「アキ、大丈夫だ」ハルトはニッコリ笑って、私の目を見た。



          続く

『闇の世界』へと連れていかれることになったら、危ない。

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