第 二十八 話
「〈大臣。あなたの配下が、国王に毒を盛っているんだろう。そして、兄に、景色がいいと言って、そっちへと向かわせた〉
〈キュウジロウ王子。いくらずっと怪盗と暮らしていたとはいえ、言っていいことと悪いことがありますぞ〉大臣は怒った。ちょっと、焦って話してはいたけどな。
〈大臣が手厚く世話をしている食事係の身の回りの物を探せば、毒が出てくるはずです〉
兵士たちが、〈行って参ります〉と言って、食事係の荷物検査をしに行った。
その兵士たちは、事前に両親に相談をして大臣の息がかかってないかを調べてもらって、大丈夫と言われていた人たちだった。
すると大臣が、〈もし出てきたとしても、あたくしがやらせたかどうかなんて、はっきりと分からないでしょ。それに、あなたのお兄様のキュウイチロウ王子が死んだのだって、あの場所が危険なのは、皆、知っていたでしょ。それを、たまたまお亡くなりになられたのを、あたくしのせいにされても…〉
〈兄が亡くなったのは、偶然だと思います。でも、あなたに勧められなければ行かなかったのに。それに、亡くなる前の母、王妃の、様子のおかしさ。舌がもつれて上手くしゃべられなくなったり、訳の分からないことをしゃべっていたと聞きました。それは、今の父と症状が似てますよね。あなたは母を殺す、指図をした疑いがある。それと、俺は三度死にそうな目にあった。あなたが命令を出したからだ、確実に〉」
なるほど。こうやって大臣を攻めたのか、ハルトは。だけど、攻めるにしては、有力な証拠が少ない。これでは、ちょっと言い訳をしていけば、まだ、逃げられそうだ。
続く
このまま、大臣は、言い訳出来てしまうのか…?




