第 二十四 話
「熊人間は森の木を斧で切って、家の材料に出来るようにしたり、木で机や椅子など家具を作ったりしていた。後、畑をちょこっと作ったり、釣りなんかをして生活をしていた。熊人間は手で、魚を獲っていた。俺もある程度出来るようにはなったが、上手い人には敵わなかった」
ハルトは昔の話を、顔を綻ばせて、言った。ほんのちょっと前まで、悲しげな顔をしていたのに。リラックスをしようとしているのかもしれない。
ほぐれた感じでないと、語れそうにないのかも。
「俺の熊人間の親は、結構、家を留守にすることが多かった。俺は、その母の妹にあずかってもらっていた。で、帰ってくるたんびに、変な絵や置物、金貨がたくさん入った袋を持って帰っていた。金貨は、仲間に分けていた。〈もっと凄く多く、盗んだけど。でも、それはもう配っちゃったんだよ〉って言っていた。そして両親は、〈自分たちが働くたんびに、貧しい人が減っているんだよ〉って嬉しそうに話していた。金貨を仲間に分けに行く時は、俺も連れて行ってくれた。その時の、人々が喜ぶ姿を見ていると、俺、とても嬉しくてね。だから、今、飲食店で、接客の仕事をしているのかもな」
ハルトが接客の仕事を嬉しく想う気持ちは、共感出来た。私も、そういう姿を見るのが力になっていたからだ。大変な仕事では、あるけれども。
「ずっと、怪盗をしていた親だが。しかし、ある時優秀な探偵が現れて、盗まれそうな物を予想して、包囲網を張って親が、どこに住んでいるかを当ててしまった。森に軍隊がやって来てしまった。そん時でも親は〈悪どい貴族・商売人から奪って貧しい人たちに渡していただけだ。何が悪い〉泥棒は悪いことな訳だけど、格好いいと思ったね。まあ、でも探偵に〈もっとシンプルに綺麗なお金を、貧乏人に渡したいと思わないのか。よく分からないお金をもらっても、出どころを疑われてもらった人が泥棒と怪しまれるかもしれない〉って言われてしまったんだけどね。〈それなら、怪盗にもらったと話せばいい。今を何とかするために、怪盗をやっているんだ〉と言いきった親も、凄かった」
本当に凄い親御さんではあるけど、ハルトが両親を愛しているということが、分かる。
「だけど、親が連行をされてしまう時に、俺は抵抗をしてしまった。それで、本当なら、こんなことあってはいけないことではあるんだが、運悪く指揮官の癪に障ってしまって殺されそうになった」
ハルトは、辛そうに話す。
続く
ハルトは親を救いたいと思って、抵抗をした。




