第 十七 話
「百十二歳…。何言ってるの?おかしいよ」私は、ハルトの話していることが理解出来ない。だって…どう見たって、十四歳ぐらいにしか考えられないというのに。
こんなの、嘘ついているとしか、思えない。
「見た目に関しては、俺の体内に年を取らない毒があるっていう理由があるんだ」
そんなの、伝説級の、魔法毒だ。
全く違う人間に変身する魔法はあるけど、身体に負担が掛かって、二十分ぐらいしか、変えていられないらしい。
ハルトと出会って、一週間ちょっと見てきたが十時間以上の仕事の間、変身魔法をし続けていけるとは思えない。
毒の話が、嘘だろうか?そんな感じではないようではあるが。
雨が、さらに降ってくる。
「……」
私は、掛ける言葉が、見つからない。
「王様に、会いに行こう」
ハルトは覚悟を持っているかのように、また提案をする。
「無理だよ。ただの住人である私たちになんか会ってくれないよ」
忙しい立場の王様だ。頼もうにも、まず、その周りの人間が、願いを通さないだろう。
「そこは、何か方法を俺が考えるから、任せといて」
化物の王様がいる、お城なんか怖くて行きたくない。私は、強くそう思ったが、ハルトの本気の目を見て、そうは言えなかった。
寒い。雨が…。私たちは、撥水の魔法の力が付いている敷物を、二人で被った。そして、一緒に座る。
私は、王様に会いに行くかどうかを決める時間が、たくさんほしい。
続く
アキは王様と会うことをどう、決断をくだすんだろう?




