表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/165

第 十一 話

 結局、黒い玉をお婆さんに返すことになった。ハルトは壺の栓を抜く。

 お婆さんの顔が嬉しいのか、緩んだ。


 その時、ハルトは黒い玉の一つを掴み、ギュッと力を入れて握った。お婆さんは痛いのか、辛そうに涙を流した。


「お客さん。なぜ、泣くんだ。俺は魔法を使っていますが、さっき、そこの女の子のアキにしようとした攻撃よりも、全然弱い。ダメージなんて、しばらくジンジンする程度だ。なのに、なぜ泣く」

「痛いものは、痛いんですよ。…馬鹿者」お婆さんは、闇のオーラを出し始める。

 また、角や牙がある状態に、なっている。


 それでも、栓を抜いて出した黒い玉は、ハルトの光のオーラの中に捕まって動けないでいる。


「アキはな、当たったら、もっとボロボロになったんだよ。お客さんの無自覚でな」


 ハルトは、思いっきり、お婆さんに向かって黒い玉を投げた。


 この人が、普通のお年寄りなら、あり得ない行為だっただろう。

 お婆さんは、顔の前で止めた。力で、キャッチした感じだ。


「お客さん、シチューは食べられますか?」ハルトは、真剣な顔をして、聞く。

「た、食べられるわい…好物じゃ」お婆さんは、微妙に、ビクビクしながら答える。

 グーッ。お婆さんのお腹が、鳴った。

 私は、あまりの空気の違いがおかしくなって、笑った。他の三人も、何となくおかしかったのか、同じく笑った。

「直ぐ、用意しますね。パンも付けますから、お待ちください」

 ハルトは、お婆さんに優しく話し掛けた。さっきまでのハルトと全然違う。でも、こっちの方が、ホッとする。

 ハルトは丁度来ていた、コヨに話し掛けて注文をお願いしている。まあ、私たちは地べたに倒れ込んだりして、汚れてるもんね。


 ハルトは、こっちへ来た。戦士の持ち主に言う。

「お客さん。俺、素早いだけで、周りが見えてなかった。でも、さっきみたいにして何とか守るし、今度は絶対見逃さないから、信じてほしい…です」

「分かった。君を信じるよ。つい…気になってね」

 戦士の持ち主は、ニッと笑った。


 ちなみに、今さらだが戦士と馬の見かけは、(よろい)を着ている。戦士の鎧の(かぶと)は、真ん中の辺りが真っ直ぐ、ラインで、毛が生えているものだ。

 つまり、騎士みたいな格好で、ある。

 だけど、騎士のような、どこかきちんと、軍隊に所属しているぞという雰囲気がない。

 どっちかと言うと、傭兵(ようへい)のような感じがしたので、戦士と表したのだ。



              続く

ハルトは、アキのことを…思っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ